表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーマー百合  作者: 橋比呂コー
第2章 各務敦美
63/125

これは嘘をついている空気だ


 友美。それに唯。まさか、あなたたちがこんな所にいるなんて。渡りに船と思ったものの、わたしは苦虫を噛み潰したような顔をしてしまった。

「ねー、敦美。その子たち、あんたの友達?」

 山田先輩が不機嫌を隠そうともせず問いかける。「そうだ」と胸を張っても構わない状況。でも、そんなことをしたら。


「そうだ」

「違う!」

 友美が肯定しそうになるのを全力で否定する。友美が半口を開けているのも無理はないだろう。


「違うってさ」

「そんなことないよ! ねえ、あっちゃん」

「違う」

「ほら、違うって言ってるじゃん。部外者は黙ってなよ」

「もう、言いたい放題言ってくれるな! よく見たら、あんたじゃん! バスケの練習試合であたしに負けた人!」

 友美がズバリと地雷を踏みぬいてくる。先輩に青筋が浮かんでいるのがありありと分かる。


「友美、やっぱり、あなたの知り合いなの?」

「うん。正面から確認してはっきりしたよ。なーんか、感じ悪そうだったから印象に残っているんだよね」

 堂々と遠回りに宣戦布告してしまう友美。山田先輩は「ほぉ」と腕組みをしている。わたしはただ、右往左往するしかできなかった。


「ねえ、そこで何やってるのさ。あっちゃん、困ってるじゃん」

「別に。バスケ部のトレーニングしてただけじゃん。ねえ、敦美」

「うん」

 力なく首肯するしか無かった。そう、これはトレーニングだ。だから、友美が介入すべき事象ではない。


「嘘だね」

 しかし、友美ははっきりと断言する。わたしのみならず、先輩たちも瞠目している。

「ちょっと、友美。本人もトレーニングと言ってるじゃない」

 唯が取り繕うとする。そう、その調子だ。どうにか、はぐらかしてほしい。


「いいや、嘘だね」

 それでも、友美は否定を続ける。そして、奇妙なポーズを披露する。

「あたしレベルになると、嘘をついている空気が見破れるんだ」

 ブチャ〇ティじゃあるまいし、そんな能力を発揮しないでほしい。そういうふざけた態度を取るものだから、山田先輩は爆発寸前になっている。


 しかし、ここで素直に感情を発露しないのが、この先輩の厄介なところだ。噴火寸前だったのが嘘のような穏やかさで、ゆっくりと歩み寄ってくる。

「なーんか、勘違いしてるみたいだから言っておくけど、別にイジメとか、そんなんじゃないから。それに、あんた、他校の子よね。あまり、うちの学校の問題に首突っ込まない方がいいわよ」

 優しい口調だけど、密かにとげの付いた鞭を振るっているのは明白だ。少しでも踏み込もうものなら、容赦なく突き刺さってくる。


 でも、友美は危険なエマージェンシーカードが伏せられていようと、強引にジューオで突撃してくるような女だ。テヘヘと表情を崩す。

「ああ、そうか、ごめん、ごめん。ちょっと、探りを入れただけだよ。そうだよねー。デュエバリストに悪い人はいないもんねー」

「デュエバリスト? 何訳わかんないこと言ってるの?」

 山田先輩は嘲笑する。途端、友美は口角を上げた。


「ダウト-!」

 本当に何を言い出すのだ、この子は。

「友美、いきなりどうしたのよ」

 唯もまた困惑している。と、いうよりも、混乱していない人物なぞ、友美一人だけだろう。皆が状況を掴めていない中、ビシリと一点を指し示した。


「そこの先輩が持ってるの、デュエバのカードだよね。なのに、デュエバリストという言葉を知らないなんて、モグリだよ」

 そうか。デュエバリストは、デュエバをやっていれば自然と耳にする単語。本気で知らない素振りをしているのなら、違和感がある。


 いや、無理なこじつけだ。唯みたいに、始めたばかりで知らないという人もいるじゃないか。当の唯も異議を申し立てたそうにしているし。

 しかし、山田先輩はデュエバについては本当に無知。そのことが優位に働いたようだ。

「あー、このカードのこと? 別に気にすんなし。トレーニングの邪魔になるかと思って、没収しただけだし」

「とか言って、無理やり取ったんじゃないの」

 あまりに核心を突いた一言に、ついに先輩は爆発した。

マニアックな小ネタ紹介

ブチャ〇ティ

ジョジョの奇〇な冒険の登場人物。頬を舐めて「これは嘘をついている味だ」と言うセリフで有名。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ