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カードゲーマー百合  作者: 橋比呂コー
第2章 各務敦美
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滅べ、転売ヤー


「ってなことがあったんだよ」

 バスケの試合内容という、特段重要ではない情報も含まれていたが、とりあえず言わんとしようとしていることは理解できた。

「要するに、練習試合に敦美らしき人物が参加していたってことでしょ」

「さすがは唯ちゃん。話が早い」

 パネルクイズの司会者みたいなポーズをするけど、このくらいは小学生の読解力でも判別できる。


「でも、塩反応からして、別人だったということはない」

「うーん、あっちゃんそっくりだったんだけどな。トックリケンカーだっけ。自分そっくりなお化け」

「ドッペルゲンガーのこと? 出会うと死ぬ奴」

「ああ、そうそう。ポ〇モンの名前が入ってたなって思ってたんだ」

 合点がいったと手を叩くが、ドッペルゲンガーはこの際どうでもいい。と、いうか、丑三つ時でもないのに妖怪と出会った話とか聞きたくない。


「練習試合に参加していたかどうか、本人に直接確かめればいいんじゃない」

「だよねー。じゃあ、今度の土曜日に高野商店に集合ね」

「なんで、遊ぶこと前提になってるのよ」

「唯ちゃん、暇でしょ」

 無言の圧力は止めなさい。暇だけど。


「それに、土曜なら新パックが買えるかもしれないじゃん。昨日も、学校帰りにヨロヅヤ行ったら売ってなかったし」

「確かに、本当に買えないわよね」

 件のミラクル・フュージョン能力持ちのカードが封入されている新パック「超次元融合の勇者たち」。発売されてから数週間というのに、数パックしか入手できていない。レア度は高いが、ウォーリアの新カードも入っているというので、是非とも手に入れたいところだ。


 ちなみに、ヨロヅヤはここら近辺を中心に展開しているローカルスーパーである。知島にある本店は大規模で映画館も入っている。そんな店でも入手不可なら、よほど品薄みたいね。


「まったく、転売ヤー滅ぶべしだよ」

 友美にしては珍しく、本気で遺恨がこもっている。握りこぶしでそのまま学校の備品の机を破壊しそうだ。


 品薄とはいえ、休日であれば需要を見越して大量に入荷されているかもしれない。覗いてみる価値はありそう。

 そういうことで、土曜日に約束を交わし、友美は図書室を後にする。部活帰りのキムっちこと木村さんと約束があるみたいだ。なんとなく嫉妬してしまったのは何故かしら。


 時は流れて約束の土曜日。シャツにジーンズという、外出用スタイルに身を包み、知島駅の間で手持無沙汰にしていると、手を振りながら呼び掛ける声が届く。

 カーディガンにミニスカと女子力高すぎる装いの友美だ。この子、地味にファッションセンス良いのよね。


 出会い頭に友美はじっと私を観察する。寝ぐせとかついてないわよね。

「唯ちゃん。スカートとか持ってないの?」

「これの方が動きやすいのよ。っていうか、遠回しにダサいとか思ってるんでしょ」

「いや、いいと思うよ。唯ちゃん、背が高いからジーンズとか似合うし。むしろ、その背を分けてほしいぐらいだよ。ねえ、一日に何本牛乳飲んでるの?」

「牛乳さえ飲めば背が伸びるとか思ってない?」

 背を伸ばすのに努力をした覚えはない。これは遺伝子のせいだ。


 休日でも健在の犬のしっぽ(髪の毛)を揺らし、友美は先導する。サンダル履いてるわりに、足が速いわね。亀有の警察官かしら。


 目的地に到着し、扉を開けると、

「お、来たね。今日は唯ちゃんも一緒?」

 エプロン姿の芽衣が出迎えてくれた。

「芽衣姉ちゃん、お勤めごくろうさんです」

「よせやい。組長じゃないんだから」

「そうか、分かったゾ」

「そっちの組長じゃないわよ」

 なんで、妙に似ているのよ。笑いをこらえるのに必死になったわ。


「おぉ、どうしたんだゾ、みさえ」

「誰がみさえよ」

「で、カード買いに来たんでしょ」

「そうとも言う」

「友美。あなた、いつまでそれ続けるのよ」

 私が白い眼を送ると、芽衣は苦笑しながらもボックスを取り出した。それを前に、友美は比喩的表現でなく跳ね上がる。


「休みの日に買いに来るだろうと思って、確保しておいたのよ。転売ヤーっぽいのを追い払うの大変だったんだからね」

「おー、さすがは芽衣姉ちゃんだよ」

「ただし、一人3パックまでね。本当なら、このボックスごと売りたいんだけど。あっちゃんなら、すんなり買ってくれると思うけどな」

 転売対策で世知辛い世の中ね。私と友美はそれぞれパックを購入する。したところで、気にかかったことを尋ねる。

カード紹介

異界追放

魔法カード コスト5

場のカード1枚をゲームから除外する。

補足

サーバントカード以外も指定できる。ただし、エマージェンシーカードを除去することはできない。

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