表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーマー百合  作者: 橋比呂コー
第1章 小鳥遊唯
2/109

唯VS友美 あたしのターン!

 デュエル・ザ・バース、通称デュエバはトレーディングカードゲームの元祖に倣い、毎ターン増えていくプレイポイント内でカードを使い、相手の体力をゼロにした方が勝つというものだった。

「唯ちゃんは初めてだからね。ウォーリアデッキとかおススメだよ」

 そう言われて渡されたのは、屈強な戦士のカードが数多く含まれたデッキだった。サーバントと呼ばれるカードをテンポよく出していき、展開力で勝つデッキ、だそうだ。サーバントには攻撃力と体力が設定されており、このカードで攻撃していくのがゲームの基本のようである。


 手札を5枚引き、エマージェンシーカードと呼ばれるカードを場に3枚セットする。そして、私からバトル開始だ。

「えっと、コスト1のカードを出せるのよね。じゃあ、見習い戦士キットを使うわ」

 気弱そうな少年戦士のカードを場に出す。攻撃力と体力は共に100。ゲーム中の最低値のようである。

「それで、先行は攻撃できないのよね」

「そう。ターン終了だね。じゃあ、あたしのターン!」

「何よ、それ」

「遊戯とか勝舞がよくやってるやつじゃん」

「だから知らないっての」

「このターンはパスでいいや」

「あ、そう。えっと、砲撃手カノンを召喚」

 次に場に出したのは、巨大な大砲を抱えた女性戦士のカードだ。コスト2だからか、先ほどの戦士よりも能力が100ポイントずつ上だ。


「そして、キットでプレイヤーを攻撃」

 キットのカードを横向きにし、攻撃宣言をする。友美のライフが減らされ、1900となる。

「まだまだ、ゲームはこれからだよ。あたしのターン!」

「それ、毎回言うの?」

「唯ちゃんもやってみなよ。面白いから」

「結構よ」

「つれないなー。じゃあ、アーチャー・キャットを召喚して能力発動。体力100のサーバントを破壊するから、キッドを墓地送りにする」

 弓矢を装備した猫のサーバントが弓を飛ばし、キットを狙い撃ちにする。場に出ただけで効果を発揮するカードもあるのね。なんか、私の手札には特に効果を持たないカードが多いのは気のせいかしら。


 私はコスト3のメタル・ガーディアンをプレイ。そして、カノンでプレイヤーを攻撃してライフを1700に削る。

「キャットを放置なんて、アグロなプレイするね」

「さっさとライフを削ればいいんでしょ」

「その割にはデコイで守りを固めちゃって」

 デコイ能力を持つサーバントが場に出ている際、相手は攻撃可能ならばこのサーバントを攻撃しなくてはならない。深い意味はなく、出せるカードがこれしか無かったのだ。


「なら、あたしのターンだね。狼の群れ長を召喚」

 使用したカードは枠ブチが他のカードに比べて豪華な代物だった。私が注視しているのに気付いたのか、「ふふふ、レアカードだよ」と勝手に注釈を入れてきた。

「群れ長の効果発動。山札からコスト2以下のサーバントを無償召喚する。あたしはムササビ伝令兵を召喚。効果でカードを1枚引く」

 狼とムササビのカードを加わったことで、相手の場のカードは3枚だ。でも、ライフは私の方が上。おまけに、攻撃せずにターンを渡された。恐れるに足りないわ。


「コスト4の大斧使いの巨漢を召喚。カノンとガーディアンでプレイヤーを攻撃」

 既に相手のライフは1400。巨漢の攻撃力は400だから、次のターンには半分にまで削ることができる。本当にくだらないゲームだったわね。この調子だと、一方的に勝ってしまうじゃない。


 しかし、劣勢に立たされているのに、友美に焦りはない。むしろ、したり顔をしている。

「初めてのバトルにしてはよくやるじゃん。でも、デュエバの面白さはここからだよ。手札から2枚目の伝令兵を召喚。そして、ジャガー・パラディンにランクアップ」

 そう言って、伝令兵のカードの上に、甲冑を纏ったジャガーのカードを重ねた。一見したところ他のカードと大差はない。違うところは、左上のランクという数字が1ではなく2というところだろうか。


「これぞデュエバの醍醐味、ランクアップ。サーバントにはビーストとかウォーリアみたいな種族があって、同じ種族同士のカードならランクアップできるんだ。今のはランク1ビーストの伝令兵をランク2のパラディンにしたってところだね。まあ、ポ〇カやデュ〇マの進化と似たようなシステムだよ」

 よく分からないけど、とりあえず、状況を打開されそうなカードを出されたことは分かった。そして、その予想は間違いではなかった。


「ジャガー・パラディンの効果発動。アーチャー・キャットの攻撃力を200ポイント上昇させる。ランク2のサーバントは場に出たターンに攻撃できる。ジャガー・パラディンでメタル・ガーディアンを攻撃」

 ジャガー・パラディンの攻撃力は500。体力400のガーディアンは破壊されてしまう。

「続いて、攻撃力400になったキャットで巨漢を攻撃。巨漢の攻撃力も400だから、体力200のキャットは相討ちだね」

 バトルする際、相手サーバントの攻撃力がこちらの体力を上回っていた場合、こちらのサーバントも破壊されてしまう。ジャガーで巨漢を攻撃してきてくれたら相討ちできたものの、体力の高いサーバントを残されてしまった。この子、アホそうに見えて、意外と狡猾なことをする。


「まだあたしのターンは終わってないからね。群れ長でカノンを攻撃して相討ち。そして、伝令兵でプレイヤーに攻撃!」

 私のライフは1900に削られる。まだ余裕だけど、相手の場には強力なサーバントであるジャガー・パラディンが健在。更には伝令兵のおまけまでいる。こちらの場はこのターンで壊滅させられてしまった。

カード紹介

砲撃手カノン

クラス:ウォーリア コスト2 ランク1

攻撃力200 体力200

プラスパワー4(このカードをプレイする時、4コスト支払ってプレイしてもよい。そうした場合、以下の能力を得る)

このサーバントの攻撃力を+200し、デコイを無視して攻撃できる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ