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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あれ?俺は何をしようとして、したのか?ん?

作者: ヒロモト


「ただいまー」


高校生の息子が帰ってきた。

腕組みをしながらリビングでウロウロしている私を怪訝そうに見ている。


「なにしてん?」


「いや。なんかこう。何かを忘れているんだ」


「何かって?」


「……それを思い出せん」


「ウケる」


年をとるとこういう事がよくある。

そもそも二階の仕事部屋にいた私は何故リビングに?腹も減っていないし喉も乾いていない。

トイレは二階にもある。


「忘れちゃうような事なら大した事じゃないよ」


「そりゃそうなんだが」


モヤ〜っとするんだよな。

ここで諦めたら脳が衰えてしまう気がする。

大した事じゃなくても思い出すまで頑張ろう。


「ただいま」


「おかえり」


大学生の娘が帰ってきた。


「パパ何してんの?」


「何を忘れたのかを思い出せないんだってさ」


「なにそれウケるんだけど」


姉弟でウケるな。こっちは真剣なんだぞ。

何かを買い忘れたとかそんなレベルの些細な事だろう。

スマホのUSB充電器を買いに行ったらタイプCだったみたいな……いやいやそれは大事件だ。

もうちょっとレベルの低い……冷蔵庫を開けたら何を取ろうか忘れたとか……こらこら私は老人か。


「ところでパパ。玄関の死体。ママ?臭いから片付けて置いてよ〜」


娘は2階に上がっていった。


「あ〜!」


それだ。


私は妻を殺したんだ。

外に逃げようとした妻を玄関で捕まえて滅多刺しに……


「えー。もしかしてそれ?確かに玄関に死体があったけどあれ母さんかよー。原型とどめてないから知らんババアかと思った。ウケる」


息子も笑いながら2階に消えていった。

はー。自分の力で思い出せなかった。

悔しいな。

なんだ。よく見たら私は全身血を浴びているし、血だらけの包丁がテーブルに突き刺してある。

あれが凶器かぁ。

うん?


「……なんで殺したんだっけ?」


うわー。思い出せないなぁ。

どうせこれも大した理由じゃないんだろうな。

麦茶を買いに行ったら烏龍茶と間違ったみたいな……いや。それは言い過ぎか。

もっと下らない理由だろう。


……えーっと。






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