#8
夜
娘たちは当然のように俺の部屋に入り浸っていた
「…で、何の用だ?」
「そんなの決まってるでしょ?父さんを労うためだよ」
ジェシカが躊躇いもなくそう言った
「労うって…。それはお前たちも同じことじゃないのか?」
「あのね、父さん。私たちを労ってくれるのは嬉しいことだよ。でもね、そもそも論として、父さんは私たちの年齢の倍なのよ」
「何が言いたいんだ?」
「つまり、年齢による疲労が溜まってきているのではと訊いているわけ」
それは、否定できないな
久々に体を動かしたら、思った以上に来るなと感じてたからな
多分、明日筋肉痛になりそうだ…
「そ・こ・で!!ルイたちが父さんのマッサージをすることにしたのよ!」
ルイが堂々と宣言した
「マッサージね…。子供が親にする定番の労い方だな」
「母さんにも週に一度やってるんだ」
「ほほぅ。なら、かなり上達したんじゃないか?」
「もちろんですよ、父さん。ささ、ベッドにうつ伏せになってくださいな」
ハローラがポンポンとベッドを叩く
よほど、俺にマッサージしたかったんだろうな…
☆
こうして、娘たちによるマッサージが始まった
もちろん、4人いっぺんにするんじゃなく、交代交代でやるのがセオリー
そして、4人ともマッサージの仕方も異なる
まず、肩と首はジェシカ
「それじゃ、やっていくね。痛かったら無理せず言っていいよ」
と優しく声をかけてくれる
「…んっ…、ふぅ…」
俺の肩を揉むたびに甘い声を出す
絶妙な力加減で俺の肩のコリをほぐしていく
うん、めちゃくちゃ気持ちいい…
「どう?」
「…ああ、すっごくいい」
「フフ、よかった。もう少し続けるね…」
☆
10分後
「じゃ、父さん。うつ伏せになって」
次はルイが担当だ
マッサージする箇所は、背中
腰に跨り、手のひらや指先を使ってググっと押していく
「うぉっ…、これは効くな…」
「どう、父さん?ルイのテクニック、なかなかでしょ?」
「…ああ。ツボにはまって、痛気持ちいいよ…」
「母さんも、ルイのマッサージ絶賛してたからね」
その言葉に、3人は
「うぅ~…、私だって褒められてるのに!」
「自分だけ特別だなんて思わないでください!」
「抜け駆け…禁止」
と拗ねていた
「ま、まあまあ…。ルイだって悪気があって言ってるわけじゃないしさ。そこは勘弁してやってくれないか?」
「父さんがそう言うなら…」
「仕方ありませんね…」
ほっ…
☆
次はハローラ
この子は腕と脚
両手で水を少し含ませた小麦粉を捏ねていくような感覚で押してくる
若干、痛いところもあったけど、ほぐされていく感覚はあるので問題なし
「ご、ごめんなさい…。少し、強くし過ぎましたね…」
焦るハローラを見るのは久しぶりだな
「いや、そのまま続けてくれ」
「…ですが」
「俺がいいって言ってるんだから、遠慮なんてするな」
俺の言葉に安心したのか、ハローラは止まることなくマッサージする
「痛いところ、ないですか?」」
「ああ、問題ないよ。続けて」
それにしても、この子たちのマッサージは本当に心地良い
元の世界でも、マッサージ専門店に行ったことはあるけど
逆に痛すぎて断念してしまった
何かが違うんだろうな…
☆
「はい、オッケーです」
「ありがとう。それじゃ、最後はクラリスか」
「うん…最後は…任せて」
俺の足元に正座して、俺の足を掴む
何をするかと思いきや、足の裏を指で押してきた
「おお、これはいい」
「父さん…嬉しそうな顔…」
「俺、顔にやけてたか?」
「そうじゃ…なくて…、心地よさそうな顔…してたから…」
「うん…、思わず寝てしまいそうなくらい、気持ちいいから…」
「よかった…喜んでくれて…」
小さな手ながらも、しっかりと足のツボを刺激してくる
コツをちゃんと掴んでるようだ
足の裏のマッサージが終わり、これで仕舞いか…
と思ってたら…
「それじゃ…仕上げを…するね…」
ん?
終わりじゃないの?
何をするつもりだ?
そんなことを考えてたら、クラリスは俺の背中に立ったまま乗ってきた
これは…まさか…
クラリスはそのまま足を俺の背中に踏みつける
「おぅ…ふぅ…あぅ…」
思わず声を出してしまうが仕方ない
クラリスの体重が乗って、ヤバいくらいの気持ちよさが来る
クラリスは4姉妹の中で一番小柄
だから、このマッサージが適しているんだろう
が、ここで一つ疑問が
「クラ…リス…。この…マッサージ…、アリア…にも…やって…るのか…?」
「ううん…父さんが…初めて…。母さん…には…両手で…背中の…筋肉を…伸ばす…マッサージ…してる…」
「そ…そう…か……」
この気持ちよさ、癖になりそうだ…
※危険なので、良い子の皆は真似しないでね
5分後
「はい…これで…おわり…」
「お…おぅ…。ありがとう…」
思った以上にぐったりしてしまった…
これ、毎日やらされるのか…?
そうだとしたら、俺の身が保たないかも…
と、クラリスが俺の背中に再び乗ってくる
今度は、ゴロンとうつ伏せになってだ
「父さん…お疲れ…さま…」
チュッ♡
不意に頬にキスされた
「…え?」
「だめ…?」
その涙目は卑怯じゃないか?
その時、悪寒を感じた
何故なら、3姉妹が嫉妬の炎で燃えていたから
「ク~ラ~リ~ス~?何、抜け駆けしてるのかしら~?」
「あなたも抜け駆け禁止って言ってたよね?」
「あれは嘘だったんですね。最低な妹です」
おいおい、どうすんだよ…これ?
「私が…したのは…労いの…キス…。3人も…マッサージ…した後に…すれば…よかったのに…。鈍感…」
それ、火に油を注ぐ言い方だ!
「なら、私も今すぐするわ!」
「ルイも!」
「それじゃ、3人一緒で」
「…ちょ、ちょっと…!?」
クラリスが背中に乗ってるから、身じろぎできない
「さあ、父さん」
「覚悟~!」
3人が俺に飛びついてくる
「ちょっと待てーーーーーーーー!!!!」
その後、4姉妹とどうなったかは想像にお任せしよう。
どうも、茂美坂 時治です。
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