#2
一騒動があった後、俺は風呂に入っていた
「ふぅ~~~…、随分と賑やかだったな…」
再会初日なのか、娘たちは異常と言うほどに興奮していたな…
しばらくしたら、落ち着くだろう
と思っていたら…
ガラッと風呂のドアが開く音がして
「父さん、背中流してもいい?」
「コラ、ジェシカ!4人でやるって約束だったでしょ!」
「まったく、すぐ調子に乗るんですから…」
「平等に…やらないと…ダメ…」
タオルを巻いた娘たちが乱入してきた
「って、ええええええええええええええ!!???」
俺は咄嗟に後ろを向く
チラッと見えてしまってたが、娘たちの体は、出ているところは出ていて
くびれもあった
成長期…恐るべしだ
「もう、そんなに驚くことないでしょ?昔は、一緒に入ってたのに」
「それは、お前たちがまだ子供のころの話だろ!?とにかく、俺はもう出るから!」
「クラリス」
「…了解」
クラリスは、ドアの鍵や窓の鍵を魔法で閉めてしまう
完全に密室になってしまった
「さあ、父さん。もうこれで逃げられないよ?」
と、今度はシュルシュルとタオルが開けていく
「な、何やってるんだ!??」
「え?普通に風呂に入るんだけど?」
と、ジェシカがニヤリとして
「もしかして、エッチなこと考えてた?」
「考えてません!!!」
「じゃあ、何かな?教えてくれないと、この浴室から出してあげないよ」
鬼かお前は!!
「年頃の女の子なんだから、恥じらいを持ちなさい!じゃないと、変な男に襲われる危険だってあるんだぞ!?」
「それは、大丈夫。だって私たち、父さん以外の男の人興味ないから」
今、この子。とんでもないことを言ったような…
この4人は、俺以外には…興味がない…?
そして、躊躇わずに湯船に入る娘たち
「はふぅ~~…、いいお湯だね、父さん」
「10年ぶりに父さんと入るのもいいわね」
「あの頃が懐かしいですね…」
「これから…もっと…思い出作れる…よ」
「お、クラリス。いいこと言うね」
そう言った4人は、俺にピタッとくっついてくる
「な、何…?」
「じゃ、父さん。背中を流そう」
「ルイも手伝うわ」
「さ、父さん。早速洗いましょう」
「皆で…仲良く…」
「さっき、もう洗ったから出るわ!!」
俺は瞬時に魔法を解除
脱出成功!!
「あ~あ、逃げられちゃった…」
「強引過ぎましたかね…」
「でも、まだまだこれから!」
「うん…、絶対に…諦めない」
☆
ベッドに横になる
「…はぁ~~~~~~…、疲れた…」
主に精神的にだ
「大丈夫ですか、タクトさん?」
「…ん?ああ、大丈夫だ…」
アリアが久しぶりに一緒に寝たいと言ったので
俺の部屋に招いた
それにしても、あの子らのアプローチ激しすぎるな…
それに、ジェシカのあの言葉が本心だとしたら…
いやいやいや!!
それは絶対にありえないだろ!?
だって、血が繋がった家族なんだぞ!
それこそ、俺とジェシカたちがそんなことしてたら
周りの目どころかアリアにもドン引きされるのは100%目に見えてるし!
とにかく、これ以上アプローチするなって明日言わないと、俺の理性が保たないぞ!
もう、寝る時間だから
おやすみ!!
☆
「う~~~~ん…、眠れん…」
どうしよう…、なかなか寝れない
寝返りをしても変わらない…
外の空気でも吸うか…
窓を開け、冷たい空気が肌に刺さる
「まさか、ここに戻ってくるなんてな…。人生、どうなるか分からないもんだな…」
すると、ドアのノックがして俺はどうぞと応える
入ってきたのは、パジャマ姿の娘たちだ
「どうした、お前たち?」
「その…、あまり眠れなくて…」
「ルイたちと寝てほしいの…」
「俺と?でも、ベッドは狭いぞ…」
「狭さなんて関係ありません」
「昔みたいに…父さんの…ぬくもりを…感じたいの…。ダメ…?」
一瞬悩んだが、せっかく戻ってきたんだ
娘たちの願いを叶えるべきと思い
「いいよ」
「やった!」
「お姉ちゃん、声でかい…。母さんが起きちゃうでしょ…?」
「活発なのは相変わらずですね…」
「もう起きてますよ」
アリアが眠たそうな声を出した
「ご、ごめん、母さん…。その…、起こしちゃって…」
「大丈夫ですよ。私も、あまり眠れなくて…寝たふりをしてました…」
どうやら、家族全員似た者同士みたいだ
そして、俺を中心に4人が俺の腕と足に絡みつく
「温かい…。やっぱり、父さんといると落ち着くな…」
「何だか、懐かしいね。この感じ、父さんがいなくなるときに少し似てるかな…」
「私も同じこと思いました」
「あの時…、みんな…泣いた…よね…」
俺も10年前の別れの日を思い出す
☆
「やだ!やだやだやだ!!父さん、置いていかないで!」
「ルイたちとずっといるって約束したのに…!?」
「お別れなんて…絶対に嫌です!!」
「離れたら…一生…泣く…」
娘たちは、ずっと泣き続けていたな…
「俺だって、別れたくないよ…。でも、これも国王陛下と契約したことなんだ。許してくれ…」
「それでも、離れたくない…離れたくないよ!!」
ジェシカの声を皮切りに、4人は俺にしがみ付く
だが、大人たちが無慈悲に引きはがす
「いやだ、父さん!!!行っちゃいやだーーーー!!」
「ごめんな…、みんな…。本当に…ごめん…」
俺も情けなく涙を流す
でも、俺の手に優しく握ってくれたのはアリアだ
「タクトさん…、ずっと忘れませんよ…。あなたと過ごした時を…」
「俺もだ…、アリア…。娘たちを頼む…」
「…はい」
そして、光に包まれて俺は異世界から現実世界に戻っていった
最後の瞬間に、娘たちが父さんと叫んでいたのは今でも鮮明に覚えてる
☆
「…ぐすっ」
「…え?父さん…?」
俺は、いつの間にか涙を流していた
「ごめんな…、ずっといるって約束したのに…破ってしまって…」
「タクトさん…」
すると、4人は俺の手を包み
「私たち、怒ってなんかいないよ?」
「父さんが、この世界の人間じゃないのは分かれる前から知ってましたから」
「うん…。というか…、母さんから…直接…聞いた…」
「そうだったのか…」
「すみません、タクトさん。この子たちがぐいぐいと質問するものですから…」
「いや、それは仕方ないよ。何で別れなきゃならないか疑問に思うのは普通だから」
「やっぱり、父さんは優しいな…。昔とホント変わらないや」
と、俺は欠伸をしてしまう
それに釣られるように、4人も欠伸をする
か、可愛い…
い、いかん…
不覚にもドキッとしてしまった…
「話してたら…眠くなってきた…」
「そうですね…」
「それじゃみんな、おやすみ…」
「「「「おやすみ」」」」
その後、5分足らずで俺たちは眠りにつく
どうも、茂美坂 時治です。
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