表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/179

7-43

 神流原の偽物がバイクに乗って突っ込んでくる。


 バイクから飛び出す刃を身を回転させながら避けて、すれ違いざま、バイクごとその胴体を裂く。


 背後で、バイクが倒れる音。


 それに見向きもせずに、真正面から振り下ろされた雷を纏う刀を受け止める。


 皆見の偽物。


 その腹を思いきり蹴り飛ばし、バランスの崩れたところで、首に刃を入れる。


 偽物とはいえ、知り合いの首を飛ばすってのは気分のいいもんじゃないな。


 左側から放たれた、無数の魔力弾を避ける。避け切れないものは剣で叩き落とした。


 マシンガンを構えたアイの偽物。


 倒した偽皆見が持っていた刀を拾い、それを投擲。


 刀が偽アイの額に突き刺さる。


 と、目の前から砂を巻き立てながら突っ込んでくる巨大な影。


 葬列車の偽物まであるのか。


 その車体の上には、シオンの偽物。


 偽シオンがやはりどことも知れない場所から、魔力を取り出す。


 その魔力を九割ほどかっさらった。


 ……シオン、魔力掌握、弱いんだな。


 今は嬉しい事実だが、あいつ少しは鍛えた方がいいんじゃないか。


 奪った魔力を全て剣に込める。


 そして、放つ。


 偽葬列車が、真っ二つになった。


 二つに分かたれた車体が俺の左右を過ぎ去る。


 跳ぶ。


 そして、空から襲いかかってきたリリーの偽物と、剣を交えた。


 火花を散らせてぶつかった刀と剣。


 その刀に、魔力が籠もった。


 その丁度半分ほどの魔力を奪い取る。


 零距離から、俺と偽リリーが同時に斬撃魔術を放つ。


 爆発。


 偽リリーの身体が吹き飛ぶ。


 俺は僅かに傷ついた身体が訴えてくる痛みを押さえつけて、地面に着地した。


 そのまま、前に転がる。


 俺の着地した場所に、刀が突き刺さった。


 また刀かよ……。


 三度目の刀使いは……コック長の偽物。


 これは……またとんでもない人が出てくる。


 直感的に、俺は剣を右に立てた。


 瞬く間もなく振るわれた偽コック長の刀を、奇跡的に俺の剣が受け止めた。


 今のは冗談抜きでやばかったな。


 冷や汗とともに、後ろに跳ぶ。


 と、魔力の気配。


 見れば……ルミニアの偽物が、黒の魔術を行使する直前だった。


 それも洒落にならないだろう……!


 偽ルミニアが黒い槍を構え、俺は慌ててその射線から外れた。


 と同時に、こっそり偽ルミニアから魔力を取っておくのも忘れない。


 鼻先を黒い槍痕が吹き抜ける。


 安堵するまもなく、偽コック長の偽物による攻撃。


 目で捉えきれないほどの速さで振るわれる偽コック長の刀を二度三度とどうにか避け、俺は剣を振るった。


 偽コック長はそれを刀で弾こうとするが……その直前、俺の剣から魔力刃が放たれる。


 魔力刃が、偽コック長の肩口を思いきり切り裂いた。


 倒れてゆく偽コック長の身体を、思いきり蹴り飛ばした。


 蹴り飛ばした先にいたのは、イェスの偽物。


 そのまま偽コック長の身体にぶつかって、偽イェスが姿勢を崩す。


 その隙に、俺は偽ルミニアに向かって翔け出した。


 既に偽ルミニアは黒い槍の二本目を構えていた。


 放たれる。


 目の前から迫る絶対消滅の概念に……俺の思考は不思議なくらい冷静だった。


 右足を、深く折る。


 身体が思いきり傾いた。


 耳の真横を黒い槍が掠める。


 そして俺は、偽ルミニアの懐に潜り込んだ。


 下段から刃をはしらせる。


 至近距離における戦闘に関してそこまでの技術を持たないルミニアの偽物に、それを防げるわけもない。


 偽ルミニアを切り捨てて、右に跳ぶ。


 その場所に、偽イェスの収束させた魔力が解放魔術により爆発のような解放を見せる。


 あと一瞬回避が遅れたら、俺の身体はミンチになっていたろう。


 更にステップを踏むように、続けて右に数度跳ぶ。


 それを追うように、雷光やら巨大な剣やらが襲いかかってきた。


 ……天利の偽物に、麻述の偽物か。


 変な三人娘が揃いやがって……!


 偽天利が構えたレールガンのトリガーを絞る。


 レールガンの弾速は、撃ち出された後じゃ人間の反応速度じゃとてもじゃないが回避は出来ない。


 だから、偽天利がレールガンのトリガーを引く、その指の動きを見て、レールガンの銃口から射線を見極め、レールガンが放たれる直前に、その射線から身体を外す。


 想定通りに、レールガンを避ける。


 続いて、偽麻述の攻撃。


 ゴーストで作られた大剣を、偽麻述が振りかぶる。ただしそのゴーストの色は、本来の赤とは異なり、緑だが。


 大剣が、風を切り、俺に迫る。


 俺はそれを思いきり跳躍して回避。


 空中を舞いながら、偽麻述の首に剣を叩きこ――めない。


 偽麻述の首は、ゴーストで瞬時に構築された装甲板によって守られていた。


 舌打ち。


 空中にいる俺に、偽麻述が再度大剣を叩きこむ。


 それを剣で受ける。


 衝撃。


 俺の身体が吹き飛ばされた。


 砂の地面に脚を深く突き刺して、どうにか転ばずに着地した。


 視界の端で、電火が躍った。


 咄嗟にジャケットを翻す。


 絶縁加工を施されたジャケットが、襲いかかってきた電撃を防いだ。


 偽イェスのインドラか……!


 電撃を防いだ俺は、即座に身を低くして偽イェスへ駆けた。


 飛んでくるレールガンやら大剣やらをどうにか避けて、偽イェスを刃の届く域に収める。


 偽イェスが、雷撃の纏った拳を振るってくる。


 それをジャケットの袖で弾き、偽イェスの胸の真ん中に剣を突き刺す。


 そして、そのまま頭の先まで剣を引き上げた。


 振り向き、手に鋭い爪をつけ飛びかかってきた偽麻述の攻撃を避け、脚を振り上げて踵を首の裏側に叩き落とした。


 延髄を砕いたのか、鈍い感触が伝わる。


 さらに地面にうつ伏せに倒れた偽麻述の背中の胴を斜めに裂く。


 安堵は出来ない。


 まだ、とんでもないやつが一人残っているから。


 目の前に、なにかが飛び込んできた。


 楕円の物体。


 手榴弾か。


 それを素早く剣の腹で叩き飛ばす。


 少し離れた位置で手榴弾が炸裂した。


 その爆発で身体が後ろに転がり、細かな破片が皮膚を裂く。


 爆煙の向こうから、偽天利が飛び出してきた。


 その手にはナイフが握られていて、俺はその刃を剣で受け止める。


 すると、偽天利はもう片方の手でレールガンを器用に構え、その銃口を俺に合わせて来た。


 迷う暇すらなかった。


 俺は剣を手放して、レールガンの銃身を殴りつけた。


 銃口の向きが俺から外れた瞬間に雷光が弾ける。


 すぐ脇の地面が吹き飛んだ。


 そうして……剣を手放したせいで防ぐことができなかった偽天利のナイフが、俺の肩に刺さる。


 刺された肩に、思いきり力を込めた。


 偽天利がナイフを引き抜こうとして……けれどその刃を俺の筋肉がとらえて離さない。


 足元に落ちた剣を蹴りあげて、柄を握る。


 そうして、偽天利の胴を横に一刀両断した。


 偽天利の身体が地面に転がる。


 俺は肩に突き刺さったナイフを抜き、捨てた。


 さて……。


 周囲を見回す。


 まだまだ、偽物は残っていた。


 どれも見知った顔ばかり。


 ……こいつら全員、か。


 は……いいさ。


 やってやる。


 SWの偽物だろうが魔術師の偽物だろうが、誰の偽物だろうがかかってこい。


 吐き気のする贋物どもが。


 全部叩き切ってやる。




なにシーマンとか強すぎるんですけど。

そしてアマリンとカーヤンは平常スペックでの登場。

流石に敵さんも二人の情報を最新にアップデートするのは間に合わなかったようです。ていうかされてたらシーマンでも勝てないよ!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ