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ミラーマン

作者: Oshi

新しいミラーマンがあってもいいんじゃないでしょうか

「ミラーマン」

 

 聞き飽きた目覚ましの音色で目を覚ました。ボタンを押して時計を黙らせる。気だるい体を布団から押し出し、カーテンを開けると気持ちのいい朝日が差し込んで少し生き返った気分になる。

 いつも通りの朝、いつも通りの毎日が待っているのだ。ただ少し違うのは前日の酔いがまだ残っていることだ。頭がふらつくのは否めない。何となく胸もむかつく気がする。TVをつけて椅子に座りこむと少し放心した。

 気が付くと座ったまま20分が経過していた。酒とは恐ろしいものだ。アル中になると時間の感覚も失うのではないだろうか。このままではいけない、学校とかいうものに遅刻してしまう。のそのそと立ち上がり洗面所に向かう。顔を洗えば意識もしっかりするだろう。鏡の前に立つと目の下にクマができているのが分かった。しばらく自分の顔を眺め続ける。なんとまあ疲れ果てた顔だ。目の焦点もろくに定まっていない。蛇口を捻って水を出す。冬が近づいているので日々冷たくなっている。そのまま両手で水を溜めると顔を洗った。終わると隣に置いてあるタオルを手に取り顔を拭う。幾分かさっぱりした。もう一度だけ鏡を覗いた時だった―

鏡の向こうの自分がくしゃみした

 

 目の前で起きた事が理解できず呆然と立ち尽くす。向こう側でも全く同じ格好で立ち尽くしている。自分の頬っぺたをつねってみた。あっちもつねっていた。いやいや、今あいつくしゃみしただろ。俺はしてない、あっちはした、不思議!

 一歩二歩と後じさり、後ろを振り向くと全速力で洗面台から離れた。リビングの椅子に再び腰を下ろし考えることにした。先程起きたことを整理する。熟考の後、幾らよく考えても理屈が付かないという結論に達した。冷蔵庫から牛乳を取り出しコップになみなみと注ぐ。空腹から来る幻覚だったかもしれない、不安を解消する為に一気に飲み干した。さっきのは幻に過ぎないのだ、そう自分に言い聞かせる。普段どおりに行動していればすぐに忘れられるさ。

 席を立ち玄関に向かう。洗面所の方は見ないように気を付けながら。辿り着くとドアを開け郵便受けから新聞を取り出した。

 まず上部の日付をチエックする。確かに前日から一日経過している。夢を見ている訳ではないと思う。ぐぬぬぬぬ。そのまま左にページを繰りながら主要なニュースを確認した。どうやら世界は普段通りに動いているようだ。

 天啓が走った。俺は疲れているのだ。なるほど、そうとなれば話は簡単だ。足は一路しいたままになっている布団を目指す。勢いよく布団に飛び込んだ。体は資本と言うし幾ら休ませても間違いは無いだろう。傍らの目覚まし時計を引き寄せる。アラームは4時間後にセットした。いつも通り左回りに動く秒針を見ている内に、まどろみに引き寄せられ目が閉じていく。やはり俺は眠たかったのだ。段々と意識を保てなくなる。だんだんとー…

[完]


時計の向きに注目

誰がミラーマンなんでしょうね

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― 新着の感想 ―
[一言] ミラーマンって、円谷のかと思ったが、ミラーワールドの住人の方か。しかも最後はそう言うオチで締めくくり。 よかったら俺のミラーウーマンも読んで下さい。
[一言] よくある話です。書く必要ないです。
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