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ロジェを追放したパーティーの窮地を救う⑵

連続更新5話目

「はあ!? あいつが新迷宮を発見したですって? あり得ない!」


 ロジェがソニアとゼダール大森林に出かけてすぐ後。休息が終わって冒険者ギルドに来ていたアラン達のパーティーは、周りの冒険者からロジェが新迷宮を発見したことを聞いたのだった。


「ロジェがゼダール大森林に向かったことは知っているが、新迷宮を見つけたとはどういうことだ? 何かの間違いじゃないのか」


 パーティーにロジェのことを話した冒険者にアランが疑問を投げかける。


「どうもこうもねえよ、そのままさ。ロジェがゼダール大森林で迷宮を見つけて、ギルドに報告に来たんだよ。ギルドマスターはロジェの話を聞いて、Sランク冒険者のソニアに確認してくるよう命令を出したんだ」


「あいつが新迷宮を発見したなんて……そんなことを真に受けるなんてどうかしてるわ!」


 男の冒険者はシルファの言葉に困ったような顔をしてこうつぶやいた。


「でもあのギルドマスターが判断したことだからなあ……」


 迷宮都市バーデルのギルドマスターは間違った判断を下さないことで有名だ。ギルドマスターは他人の嘘を見抜けるという噂もある。


「あなたが適当なことを言っているだけじゃないの……」


 シルファはそう言って周りを見渡すが、近くでやり取りを聞いている冒険者はみな、彼の言葉が真実だと言外に告げている。


「っ!」


 シルファがたじろぐ。否が応でも、ロジェが新迷宮を発見したことを受け入れざるを得ない。


「ギルドマスターが言うならそうに違いない」


「信じがたいが、認めるしかないな」


 ベンディとアランが事実を受け入れる。


「…………そうね」


 不本意ながらもシルファも肯定した。


(こんなの何かの間違いよ……あいつが口先でギルドマスターをだましたに違いないわ! ええ、きっとそうよ)


 シルファは内心ではいまだに信じていなかった。見下していたロジェが新迷宮を発見できるわけがないと無根拠に思い込んでいた。ロジェが嘘をついていたとして、それをする意味がどこにあるのかという疑問は頭の隅に追いやっていた上で。







 アラン達のパーティーは、順調に深層探索を進めていた。()()()複数体の魔物と同時に遭遇することがなかったのだ。


 パーティーは着実にAランクの魔物と戦うことに慣れて、力をつけていった。3対1であれば、問題なく処理できるレベルまでに。


「やっぱり、リッチとミスリルゴーレムに襲われたあの時は不運な出来事だったのね! 普通にやればこんなものよね」


「今なら2体が相手でも危なげなく勝てそうな気がするな」


 シルファの言葉に、アランも追従する。


「油断は良くないぞ、気を引き締めろ二人とも」


 ベンディが二人をいさめる。


「はーい」


「わかっている」


 二人の返事には力がこもっていない。


「はあ……」


 ベンディがため息をつく。


(大丈夫か……?)


 ベンディの心の声は、口に出されることはなかった。


「それより、ロジェのことだ。新迷宮の存在をソニアが確認したらしいじゃないか」


「ギルドマスターの判断は正しかったな」


「……運がいいやつ」


 シルファが吐き捨てるように呟く。


 Sランクの冒険者がこの目で見て確認したとなれば、シルファも否定はできない。シルファはようやくロジェが新迷宮を発見した事実を心から認めた。


 角から、魔物が姿を現す。


「リッチか……ベンディいくぞ」


 アランが突撃の合図を出そうとしたとき、角からもう一体リッチが現れる。


「……! 2体か!」


「来たわね。かかってきなさい」


 アラン、シルファ、ベンディのパーティーとリッチ2体との戦いが始まった。







 2体のリッチは特に連携をするでもなく、各々が好き勝手に動いている。アランとベンディが1体ずつ受け持ち、シルファが両者に都度支援の魔法を放っている。


 アランはリッチの攻撃を避けながら、着実にダメージを与えている。リッチは少々の負傷などものともせず果敢に攻め立てているが、アランは危なげなく回避している。シルファからの支援が入るたびリッチに生まれる隙を見逃さず、剣を振るっている。


 ベンディはリッチの重い打撃を大盾で的確に防御して、時折戦棍(メイス)で手痛いカウンターを食らわせている。リッチがベンディから距離をとろうとしても、離れた分だけすぐさま距離を詰めて魔法を使わせない。


 ベンディと対峙しているリッチはシルファの魔法の対応が遅れて、火球をもろに食らってしまう。


 リッチの乾燥した体は、非常によく燃え上がった。


 リッチはすぐに水の魔法で消化するが、生じた大きな隙をベンディは見逃さない。


 限界まで力が込められた戦棍(メイス)の一撃を頭に食らったリッチは、頭を爆散させた。頭がなくなったリッチが崩れ落ち、腐敗したからだが魔力になって拡散する。


「こっちは倒したぞ!」


「でかした!」


 ベンディの叫びに、アランが呼応する。


 残りは1体。となれば勝利は必至。


 そう全員が確信していたが、2体のリッチが来た方とは反対方向、つまりアラン達がやってきた方からミスリルゴーレムが姿を現した。


「またか……!」


 ベンディが悪態をつく。


「ミスリルゴーレムが現れた! こいつは俺が受け持つから、さっきのと同じように戦うんだ!」


 ベンディが他の二人に指示を出す。


 突然の魔物の襲来にアランとシルファは驚きの表情を浮かべるが、悲壮感はない。連戦とはいえ、まだどうにかなる。同時に2体なら、問題ない。


 だが、彼らに追い打ちをかけるように。


 今度はミスリルゴーレムとは反対方向から、ガーゴイルがその姿を見せた。


「もう一体……?」


 シルファがおびえたような声を絞り出す。


 アラン達のパーティーは、同時に3体の魔物を相手にしようとしていた。



  



 

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