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ロジェを追放したパーティーの窮地を救う⑴

連続更新4話目。

 迷宮都市バーデルに戻って3日後。俺は、一人で迷宮を探索していた。


 腰には火の魔法を使える剣ではなく、新迷宮で見つけた剣を下げている。これがあれば一人でも迷宮を探索できると思ったのだ。


 この剣を使うのは一人でゼダール大森林に向かった時以来だから、随分と久しぶりだ。使い心地は悪くない……どころか抜群に良い、いや良すぎるくらいだ。


 魔力を込めればBランクの魔物だろうと問答無用で両断できる。


 目の前には、Cランクのオーガがいる。俺一人では何とか勝てるレベルの魔物だ。だけど今は。


 剣に魔力を流す。魔法陣に沿って魔力が流れて、一つの魔法が形作られる。見た目には刀身が淡く発光する程度。


 襲い掛かるオーガの体に剣を横なぎに振るう。


 ろくに力も込められていない、及第点以下の振りだ。普通なら、オーガの分厚い筋肉の鎧に阻まれてろくに刃が通らない。


 だがこの剣に刻まれた魔法の効果は――――切れ味を恐ろしく良くすることだ。


 いとも簡単にオーガの体が上半身と下半身の二つに分かれる。


 絶命したオーガの体は魔力になって空中に拡散し、その場には魔石だけがぽつんと取り残される。


 オーガの魔石を拾いあげる。これで10個目だ。迷宮に入ってもうすでに10体の魔物を倒した。いずれも一撃、ないしは二撃で命を刈り取っている。この剣に刻まれた魔法の効果は圧倒的だ。浅層の魔物では相手にならない。


 迷宮産(オリジナル)の魔道具を直接見たのはこの剣と、ギルドマスターが持っている嘘を見抜くネックレスの二つだけだが、この剣はオリジナルの中でもとりわけ優れた魔道具なのではないだろうか。


 冒険者をやっていると、いや冒険者でなかろうと、人づてにいろいろな魔道具のうわさが耳に入ってくるものだ。それらのうわさは人を伝わるごとに強調されていくものだが、俺が聞くオリジナルの魔道具のうわさは、この剣に比べると幾分か劣るように思える。


 強調されてそれなのだから、実際にはこの剣は突き抜けて優れているのだろう。


 この剣さえあれば、迷宮の深層も攻略できる。そう錯覚してしまう程度には恐ろしい魔道具だ。いくら攻撃力が高いとは言っても、近づかなければいけない上に自身の防御力は貧弱なのでそう上手くはいかないだろうが。


「うぬぼれて自滅することだけは避けないとな」


 迷宮で強力な魔道具を手に入れて自分の力だと勘違いして調子に乗り、破滅した冒険者の話はいくつもある。俺も彼らの二の舞にならないよう、肝に銘じておこう。


 今は迷宮の第16層にいる。この様子なら、浅層の最下層である20層までは行けそうだな。


 Bランクの魔物すらも、敵ではない。


 出会う魔物のことごとくを、一刀のもとに切り伏せていく。


 圧倒的だが、決して油断はできない。Bランクの魔物ともなると、まともに一撃を食らうと致命傷になりうる。カバーしてくれる仲間もいない。一人で迷宮を探索している以上、慎重にならざるを得ない。


 特に魔物を避けることもせず、次層までの最短経路を通っている。その上魔物との戦いが一瞬で終わるので、層を降りる速度が尋常じゃない。


 もう、20層まで来てしまった。早すぎて、浅層の最深層まで来た実感がわかない。


 20層も同じような速度で進んでいく。もう少しで、深層につながる魔法陣の元へとたどり着く。


 少し思案する。深層に潜ってもいいだろうかと。


 資格はある。つい先日俺はAランクに昇格した。でも実力はどうだ?


 この剣があれば、Aランクの魔物とも十分渡り合える気がする。だが、Aランクの魔物と戦ったことが一度もないので本当のところはわからない。それに、俺一人しかいないので一つのミスが命取りになる。


「いかない方が無難、か……」


 うぬぼれないように決意したのがつい先ほどだ。別に焦る理由もない。ソニアがパーティーに加わってくれるまでは深層には潜らないでおこう。


「そういえば、21層を<魔力索敵>で探知したことはなかったな」


 今までにアラン、シルファ、ベンディと何度か20層に潜ったことはあるが、深層にいる魔物の魔力を感知しようとは思いもしなかった。あの時はまだBランクだったから、目の前のことに精一杯で深層のことにまで意識を向けることがなかったのだろう。


「試しにやってみるか」


 実際に行くことはないが、せめてどんな魔力反応で、どれくらいいるのかを調べるのも悪くない。感じる魔力の規模で、どれくらいの強さの魔物かはなんとなくわかるのだ。魔物の種類は、一度会ってみないとこれだと判定できないが。


 <魔力索敵>を使う。


 ぽつ、ぽつと点在する魔力の反応を感じる。数は浅層とそんなに変わらないな。だが魔力の強さは、Bランクの魔物に比べてもう一段上だ。実際の強さは想像しがたいが、かなりの強さだろう。やはり深層に潜るべきではない。


 人間の魔力も感じる。Aランク冒険者か。3人が固まっている。


 ……魔力反応に既視感。もう少し精度を上げよう……これは、アラン達か!


 俺をパーティーから追放した後彼らはAランクになっているはずなので、当然と言えば当然か。彼らもダンジョンに潜っているのだから。


 彼らの近くには、魔物の反応もいくつかある。どうやら現在進行形で戦っているようだ。数は2体。アラン達なら何とか倒せるだろう、多分。


 しかし嫌な予感がする。周囲にもいくつか魔物の魔力反応がある。21階層の地図を取り出して、感じる魔力反応と位置を合わせる。


「……まずいぞ」


 このままでは、さらに複数の魔物とアラン達のパーティーが鉢合わせることになってしまう。







 

次回は追放したパーティー視点。

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