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ギルドマスターに呼び出される⑵

連続更新3話目

「ソニアから報告を受けたよ。ゼダール大森林にて、新迷宮の存在を確認したとな」


 応接室に入ってきたギルドマスターは、開口一番にそう言い放った。


 俺の向かい側に座って話を続ける。


「ご苦労だった、あとはこちらの仕事だ。申し訳ないが、懸賞金が出るのはもう少し後になる。額が額だからな。いろいろと面倒な手続きがある」


 別に今すぐ必要なわけでもないが、ソニアを雇う約束もある。どれくらいかかるのかは知りたい。


「大体でいいので、どれくらいかかるか教えていただけますか?」


 ギルドマスターのラスロは顎に手を当てて目線を天井に向ける。


「そうだな……まあ一か月もあれば十分だろう」


 数秒ほど悩んだ後、ラスロはそう告げた。


「わかりました」


 思ったほど長くはない。


 ラスロの表情が真剣みを帯びたものになる。


「気を付けろよ? 君のうわさはギルド中に知れ渡っている。近いうちにこの迷宮都市中に、さらにはこの国中に広がるだろう。君の金を狙っていろいろなやつが近寄ってくるぞ」


 確かに、それは気を付けなければいけないだろう。すり寄ってくるくらいなら面倒くさいだけで済むが、穏便な手段ばかりとってくるとは限らない。


「……はい。ご忠告痛み入ります」


 自衛できるように、俺ももっと強くならなければ。


 ラスロはふっと笑って真剣な表情を崩した。


「ロジェ君にはソニアがついているから心配いらないかもしれないがね」


 ギルドマスターはソニアと俺との約束を知っているのか?


「なぜ、それを知っているのですか?」


「昨日ソニアから報告を受けた後、とんでもないことを言われてな。急にギルド直属の冒険者をやめるなんて言いだすもんだから、慌ててなんでか聞いたんだよ。そうしたら、ロジェ君とパーティーを組むだって? 一体どういう風の吹き回しかと思ったよ」


「新迷宮を発見した懸賞金でソニアを雇うことになりまして……」


 そりゃ急に辞めるなんて言われたギルドマスターは寝耳に水だろうな……。


「大方ソニアに言いくるめられたんだろう?」


「……まあ、そうです」


 ソニアの勢いに押される形だった。でも後悔はしていない。自分の本心でもある。


「やっぱりな。あいつはがめつい奴だからな。ギルドが出す給金もだいぶ吊り上げられたよ」


 ……確かソニアはギルドの給金の2倍程度を払ってくれれば良いと言っていたな。


「ちなみにどれくらいか聞いてもいいですか?」


 ラスロは小声で俺に言ってくれた。


「……他人に言うなよ。ソニアが一か月にもらう金は――だ」


「え?」 


 自分の耳を疑った。 


 直属の冒険者が一般にもらう給金の5倍近い。彼女がSランク冒険者であることを考慮しても、かなり多いと言わざるを得ない。


 確かに莫大な懸賞金からしてみれば、いずれにしろ大した額ではないかもしれないが、あいつわざと言わなかったな。


「いくら何でも今すぐにやめてもらっては困るから、後任が見つかるまでは続けてくれとソニアに頼み込んだ。ロジェ君には悪いが、彼女が君とパーティーを組めるのはしばらく先になるだろう」


「いえ、迷惑をかけているのはこちらなので」


 ギルドマスターにとっては、とんだとばっちりだ。

 

「ソニアは金をもらったら仕事はきっちりこなすやつさ。意外とプライドもある。ソニアのお眼鏡にかなうとは、大したやつだなロジェ君は」


「そうでしょうか」


「そうだとも! ロジェ君はもっと自分に自信を持ちたまえ。君は自分が思っている以上にすごい冒険者だ」


「はあ……」


 実感が持てず、気が抜けた返事をしてしまう。


 ソニアを除けば、褒められることなんていつ以来だろうか。どうにも自分のことにように思えない。


「ああそれともう一つ言うのを忘れていたな。新迷宮発見も冒険者の偉大な功績の一つだ。ロジェ君、おめでとう。君はAランクに昇格決定だ」


 さらりと。まるで今思い出さなければ言うのを忘れていたと思えるほど軽い口調で。ラスロは俺がAランクに昇格する旨を告げた。


 Aランク!? 俺が?


「本来は、新迷宮発見の功績がどの程度のもので、昇級にどれくらい寄与するのかは明記されていないんだけどな。Bランクのままだとソニアとパーティーを組めないだろう? だから今回は特別にギルドマスターの裁量で昇級を決定した」


 教導目的で臨時にパーティーを編成する場合を除いて、ランクが二つ以上離れている冒険者とはパーティーを組めないことになっている。SランクのソニアとBランクの俺ではパーティーが組めないことに、ラスロは気を配ってくれたのだろう。


 迷宮で見つけた剣があるので、そう遠くないうちにAランクに上がることはできると思っていたが、ラスロの好意はありがたい。


「ありがとうございます……!」


「何、このくらいなんてことはないよ。そもそも新迷宮発見の功績がどれくらいか書かれていないのが悪いんだ。ほとんど起こりえないことで、見つけた人のほとんどが冒険者をやめるから今まで規定がなかったんだろうな」


 ギルドマスターとの話が終わり、応接室を出る。


 部屋を出る際に、ラスロから「迷宮攻略頑張れよ」と檄をいただいた。


 


 


 



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