2話 聖剣入手?
前回は悠斗一人だけのパートだから地の文しかありませんでした。
かといって鉤括弧使うと知らない土地で一人で永遠と喋ってるやべーやつになってしまうという……
「……という訳で貴方は死にました。……殺したのは私ですけど」
再びの冥界。しかし迎えてくれたのは例の女神ではなかった。
白髪ではなく緑がかった青髪、スラッとした同い年くらいの女子だ。
「先輩から聞いたけどはっきりしない人だなぁ……」
「第一声でdisるのはどうかと思うが。ってかさっき『殺したのは私』っつったよな」
「……うん。それはごめんなさい。」
疑問は色々浮かんでくる。俺が今死んでいること、こいつが俺を殺したということ、例の女神がどうなってるのかということ、そして、こいつが誰だということ。
「ともかく説明を頼む。恒例のやつ。」
「恒例って……先輩……まあいいわ。少し前の貴方の記憶を映し出すわ。」
事の発端は数十分前……
スライムと魔方陣が一緒に戯れているのを見ていると急にスライムが走り出して……歩きだす? 動き出す? ともかくピョンピョン跳び跳ねて行ったのでついていくと白い巨大な円柱型の神殿にたどり着いた。
この白い巨塔が何なのかという疑問を解決しないといけない……ことはないけど、めっちゃ気になる。だから、入れそうなところをとりあえず探してみる。
……と、目の前の壁にスライムが吸い込まれていった。
一瞬でネタバレするのやめてください……
無事に塔の中に入ることができました。
塔の中はというと、上が完全に吹き抜けになっていて、建物感がしない。壁も立体感がしない。なんというか……縦に丸めた巨大な画用紙。
中央に剣が刺さっている。上から差し込む光も相まってこれでもかというくらい神々しい感じだ。
……聖剣にしてはセキュリティが甘い気がするけど。
だが次の瞬間、その剣が俺に向かって飛んできた。勿論刃先を俺に向けてだ。
そしてその刃は俺を貫通して壁に刺さった。
なんだよ……、結構……、(セキュリティ)しっかりしてんじゃねえか……
「ということらしいよ。」
「で、どうしてお前が殺したってことになるの?」
「……私は聖剣なの。で、この女神は副業なの。」
「自分で聖剣って言う聖剣なんて聞いたことないが……じゃあ、なんで俺を殺したんだ?」
「つい……」
「ついって……お前副業女神なんだろ……ってか副業女神って何だよ?」
駄目だ、ツッコミどころが多すぎる。
「……で、俺はここからどうすればいいんだ?」
「このまま死ねば?」
「現在進行形で死んでるじゃねーか! しかも殺したのお前だろーが!」
「冗談冗談。先輩から貴方を頼まれてるから。私が責任を持って貴方をサポートしろって命じられてるから。」
「殺した癖に……」
「……いつまで根に持ってるの?」
「普通殺されたら根に持たないか?」
「……ともかく、私が今から貴方を生き返らせるわ。そして、生き返ったら貴方は私を持って。それで話は進むから。」
「ちょ、それどうい……」
また戻ってきた。
剣は元の場所に刺さっている。
……また殺されないよな。
『取って。』
……また殺されないよな。
『取って!』
……なにこの自己主張の強い剣。
『取らないと殺しますよ』
「……こいつ本当に女神か?」
勿論殺されたくはない。という訳で取ります。
グリップを握って、マスター○ードを抜く勇者の如く上に引き上げた。
……のだが、抜けない。
『貧弱が』
「文句はお前の先輩に言え」
と、スポッと抜けた。そして剣が空中に浮いてさっき冥界で会った姿が現れた。
俺はというと、勢い余って尻餅をついた。……地面にはつかなかったけど。
「問おう、貴方が私のマスターでしゅね。」
「こいつ肝心なところで噛んだぞ……」
「……ともかく、これで契約完了です。なんなりとご命令を。」
……こいつのキャラがいまいちわからん。
「じゃあ、とりあえず自己紹介してくれ」
「人に名前を聞く前に自ら名乗るのが礼儀ってものじゃないですか?」
「……吉田悠斗。」
上下関係どういう設定なんだよ……
「私は聖剣兼女神です。名前は……シアンとでも呼んでください。」
という訳で聖剣少女シアンの登場です。
ご都合主義とか言わない。
マスターとなった悠斗はどうなるのか、というか悠斗がマスターでいいのかというのが凄く心配です。
次回 [はじめまして]