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軟禁姫の脱走

作者: 橙夜

軽い気持ちでお読みください。


ご指摘ありがとうございました。

誤字のご指摘いただいたところ修正いたしました。


私は、現在王宮に王妃になるための教育を受けるためという名目で、軟禁されている。そもそも、王妃教育はほとんど終わっていたのだ。

それを婚約者で次期王になる王太子に訴えたのだが聞いてくれなかった。

因みに、毎日通うから帰らせてくれも駄目だった。


自己紹介が遅れたが、私の名前は、エルディ・アケディア。アケディア侯爵家の侯爵令嬢だ。

父は宰相で大変美形だ。母は社交界の薔薇と呼ばれている程の美貌である。兄と妹もそんな父と母の遺伝子を受け継いで大変な美形だ。

私?私もまぁ美形だ。残念ながら、母ではなく父に似てしまったため少々かなり冷酷そうに見えるのが、難点だ。

兄と妹は母似で甘いルックスである。


少々話がそれてしまったが、侯爵令嬢であるため、王都にある屋敷は王宮からかなり近いところにある。

毎日通っても苦にならない距離だ。

なのになぜダメなのかと聞いてみたことがある。なんでも危険だからだそうだ。命を狙われたらどうすると言われた。平和そのもののこの国に限ってそれは無いと思うのだが・・・。

反論すると、鬱陶し・・・面倒くさいのでやめておいた。


そう言えば、家を出てこちらに引っ越すとき、父は諦めの表情で、兄は何やら喚いていて、母と妹はにこやかだった。

あれは、どういう意味だったのだろう?


と、まぁ、こんなくだらない事を考え出すくらいに暇である。

私は、少々かなり飽き性である。はじめのうちは良かった。やる事がいっぱいあったからだ。

王宮では自分が与えられた部屋と、部屋の近くの庭、書斎というには広すぎる言うならば図書室には自由に行くことが出来た。まぁ、そこしか行けなかったのだが。

図書室には私が読みたかった本や好きなジャンルしか置いていなかったし、庭もそれなりの広さがあり散策のし甲斐があった。

部屋には、チェスなどの娯楽も置いてあった。やる相手はいなかったが。


顔が怖いからかそもそも嫌われているのか、分からないが、使用人は必要最低限しか関わってくれない。

まぁ、あの才色兼備で、文武両道、なのにそのことを驕ることなく、気さくで優しく王子になるべくしてなったような人だ。

その人の婚約者が顔は綺麗だが長所とは言えず、かと言って勉強ができるかと言われればそんな事は無く、

体面だけ取り繕っているだけの軟禁されていることをいいことに引きこもっているゴミなら恨みたくもなるだろう。仕方ない。


そのおかげでボッチなのは悲しいが、仕方ない。


「ああ、それにしても暇ね。」

自分の呟きが虚しく部屋に響く。

流石に、一か月も経つとやることがなくて暇で仕方ない。

そろそろ、王宮の外から出て王都で買い物でもしたくなってきた。

前にこれも王子に言ってみたが、欲しいものがあるなら言えと言われて終わった。そういう事ではないのだ。

お店を見ながら買うのが楽しいのだ。意味もなくブラブラするのも好きだったりする。


あ、いっその事、抜け出してみようか。今は昼を少し回った所だ。お昼ご飯は食べたし、夕食の時間に侍女が呼びに来るまで人は来ない。それまでに帰ってきたらバレないだろう。

夕食の時間がこれまた苦痛なのだがまた今度話そう。


私は質素な服に着替えてつばの大きい帽子を深めに被り、バルコニーから外に飛び出した。





******


<とある男の嘆き>



侍女の悲鳴が王宮に響き渡ったのは、その日の午後の事だった。

仕事がひと段落し、昼食をとるには少し遅い時間だったので、軽食でも食べようと机をかたずけていた時だ。

その後、廊下がバタバタと騒がしくなり、慌てた侍女が入ってきた。余程慌てていたのか、礼儀作法は完全無視だった。


「たたたた大変です。姫様が。姫様が。」


「エルがどうかしたの?」


エルことエルディは王宮侍女達から姫様と呼ばれて愛されている。

現国王と王妃の間には男児しかおらず、王妃が実の娘のようにかわいがっていて、加えてエルが次期王妃という事もありそう呼んでいるらしい。本人はそんなこと知らない上に嫌われていると思っているようだが。


「脱走されました!!」


「ッ!!!?」


初め驚きのあまり何を言われているのか分からなかった。いや、脳が理解することを拒否したのだろう。


「もう一度言ってくれないかな?」


「ですから、姫様が脱走されました!」


「そう・・・」


僕はため息をついた。

飽き性の妹の事だ、縛られている生活がつまらなくなっていつか逃げ出すとは思っていた。

せめてもの救いは、公務で王子が王宮にいないことだろうか。

王子が戻るまでに連れて帰れば無かったことに出来る。

王宮を氷の城にするわけにはいかない。


「実はもう一つ悪い知らせがありまして・・・。」


その前置きと共に侍女は爆弾を投下した。


「王子が王都に入られたと知らせが来ました。あと数十分したら戻られます。」


「はぁぁぁぁ!?な、戻るのは夕方じゃッ!!」


「それが思ったよりも早く済んだとかで・・・」


「なっ、取り合えず今動ける騎士を集めてエルの捜索に当たって。王都で鉢合わせしたら最悪だ。」


あのくそ王子、エルに会いたいがために早く公務終わらせて帰ってきやがったな。


ああ、エルが早く見つかって何事もなく終わりますように。


残念ながら、男の願いは叶えられることは無かった。




******



ビバッ!!王都!!

かれこれ二か月ぶりの王都だ。

相変わらず活気であふれている。これもこの国が豊かで平和なおかげだろう。


色々な出店がある。食べ物やアクセサリー。

何から見て回ろうか。

小腹が空いたから何か食べるのもいいかもしれない。


ああ、楽しくて仕方ない。

たまに抜け出してみるのもいいかもしれない。


私はこの時油断していたのである。

この後、運悪く公務から帰ってきた王子に鉢合わせて、捕まり一週間監禁されることとなった。


因みに脱走を許してしまった騎士たちは王子にこってり絞られる事になり、連日王宮では悲鳴が響き渡ったという。






ヒーローであるはずの王子が一度も出てきませんでした。

初めは出てくる予定だったのですが、不思議ですね。


続編を書く機会があれば出したいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無駄に行動力のあるのんきな姫w [一言] >バルコニーから外に飛び出した。 パルクールばりに華麗に着地して走っていきそうですねこの姫様…… 以下、誤字っぽいの 王太子に訴えたのが聞いて…
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