会話記録
「あ、ねえねえ、これの続きってあります?」
「えー、あるけど…ダメ。8年後からの記録ならいいよ。」
「ええー?知りたいのはここから数年なのに…」
「ダメダメ。うっかり分岐したらまた最初から対策立て直しなんだから。」
「…また?」
「正確には5回目の立て直しかな…?」
「あっ…えっと、その節は…」
「せっっっかく世観の子置いたのに、その子ってば導くどころか爆発四散しちゃったからねー?」
「まことにもうしわけない」
「わかればよろしい。」
「…でも、だって、笑ってほしかったんだよ。事情はどうあれ、私の弟だったんだから…」
「気持ちは解らなくもないよ。ただの人として置いたんだからある程度は仕方ないと思ってたし。」
「ある程度…」
「想定の斜め上を行ってくれたわけだけど。その後ひとり呼び寄せて、ふたり譲り受けて何とか流れてるってんだから、この世界自体が相当だよ。根幹の設定いじっちゃってるから、このままうまく流れてくれるかちょっと心配だなぁ…」
「あの…私…そろそろ担当の世界に…」
「あれぇ?急に仕事熱心になってどうしたのー?」
「笑顔が怖い!」
「…ごめんごめん。やっと一息つけたから、ちょっと意地悪した。ま、こんなのよくあることだし、配置設定のミスは私の責任だから責めちゃいないよ。」
「うえ、こんなんざらにあるんですか…」
「もっと酷いののほうが多いよ。私らが呼ばれるときって大抵最後の悲鳴だから。」
「…担当を割り振っても、そうなるんですね。」
「世界の分岐はなにものにも把握しきれない。整頓は散らかってなきゃできないでしょう?私らが整頓係なんて言われる理由がひとつそれだよ。」
「…なるべくそうならないように、ちゃんと、観ておきます。」
「おー、気張りたまえよ新米ちゃん。」