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野々花凛の希望

 ども! 陽菜高校一年C組で二番目か三番目に可愛い凛ちゃんこと野々花凛(ののはなりん)です。


 何で二番目か三番目かの説明するね! まずクラスで一番可愛いのは美桜ね! あの子の可愛いさはマジパないから一番は潔く譲りました。



 んで私と二位・三位を争ってる相手が、委員長の奏真緒。真緒はcool系美少女でさ、顔立ち整い過ぎなんだって話。


 まぁ、凛ちゃんも整ってる方だけど真緒もいい感じだから同等二位って事でいっか!


 えっ? そんな話今は関係無いって? ちょっとちょっと、ひどくな~い。


 凛ちゃん最後のワガママを聞いてくれてもいいじゃん! 本当に最後何だし……



 あっ! 暗くなるから今の部分はカットね! チョキチョキっと。


 私の話してもいい? いいよね? ダメって言われても話すけどさ!


 実は凛ちゃん今異世界という所におりますですハイ。 意味分かんないって? 大丈夫! 凛ちゃんも正直分かってないから、ワラ~。


 いつも通り学校行ったらさ~急に教室がめっちゃ光って、で! 気付いたらすんごい豪華な部屋なの~もう意味ぷとはまさにこの事か! みたいな?



 んで豪華な部屋で大臣? みたいな人が状況を説明してたけど、話長すぎて途中で聞くの止めちゃったんだ~何話してたんだろ? あんまり覚えてないな。


 正直お家に帰りたかったし! そん時は、アイス食べながらベッドでごろごろしたいな~ってずっと思ってたから。


 でもでもこの日本じゃない世界って結構楽しくてさ!


 手から火が出たりするの! 凄くない? しかも熱くないの! 凄くない?


 魔法らしいんだけど、ってか魔法って! 漫画か! ってツッコミたくなるよね~。



 そっからは訳分からずのまま走らされたり、筋トレさせられたり、杖持って魔法の練習させられたり、ハードな毎日過ごしてたんだけど、もうあっという間だったな。



 んで! マモノ、まもの、魔物との戦い! この世界には魔物ってのがいて、人間食べちゃうらしいの! 怖くない!? でも正直、魔物ってどんなんだろ?


 とか思ってたら結構エグいのね。なんかずっと見てると胸焼けしちゃう感じ? 魔物悪い奴だから倒すおK? みたいなノリでクラスの皆盛り上がってたなぁ~。



 でも凛ちゃん頑張っちゃったよ! 魔法でバッタバッタ活躍しちゃったから! なんか凛ちゃん魔法の才能あったみたいで、スゲー褒められるんだよね~。



 イケメンのお兄様系魔術士? と、お姉さま系の魔導士? に褒められまくりでさ。でも魔法の才能よりもメイクの才能くれ! って感じだけどね。



 んで、魔物倒したあとなんだけどね。いつの間にかクラスメイト同士が戦う! みたいな流れになってて、訓練に一度も参加してないヤンキー君と無駄に体がデカイ……あれ? 名前何だっけ? まぁいいや!



 んで凛ちゃん的には、絶対ヤンキー君負けると思ってたのね、だってうちら毎日毎日スゲー頑張ってたから! でもヤンキー君勝っちゃったし! パンチで武器壊しちゃったし! ビックリ~みたいな感じで固まってたら地面が光ってさ。


 またまた瞬間移動しちゃったよ。ちょっと誰だよ! 手を繋いだら移動しないとか言った奴! 凛ちゃんに土下座しろって感じ。マジで!


 でもでも瞬間移動も悪い事ばっかりじゃ無かったんだよね。お家に帰れないのは寂しいけどさ……



 次の移動先はスゲー木がわっさわっさ生えてる場所だったのね。どこ見ても木、木、木でさ、なんつぅ~ド田舎~と思って、虫とか来ないよね? 大丈夫かな?


 って思ってた凛ちゃんの目の前に現れたのは虫じゃなく、なんと、なんとなんと! 精霊ちゃんが現れたんです。



 嘘じゃないよ! リアルガチだから!



 木ばっかの場所に飛ばされて、ぼっ~としてた所にわらわらと集まってきたの。精霊ちゃんは皆ミニマムサイズでさ。でかめのiPad位かな? んで背中には白くて綺麗な羽があるの。


 まさにリアルティンカー○ルって感じ? まぁ中にはおじさんの精霊もいたりしたけど……そこは一旦横に置いといて。



 か、可愛い~って声だしちゃった! だってぐぅかわなんだもん! ぎゅんかわなんだもん! ちっこくて、お目々パッチリでさ、キラキラしてんの! あうあう、してんの! 羽パタパタ動かして飛んでるの!  なんか小動物って感じ? 守ってあげなきゃ、みたいな!



 一目で凛ちゃんのハートは精霊ちゃんに奪われちゃいました。


 精霊ちゃん達にハァハァしてたらスゲードン引きされてさ。あちゃ~みたいな、悪ノリが過ぎちゃったか……さすが凛ちゃんも反省したね。



 んで精霊ちゃん達のお家にお呼ばれされたんだ。凄いのがさ、お家が葉っぱなの! 精霊ちゃん達パねぇ~所に住んでんな~が第一印象かな。


 凛ちゃんもそこに住んで良いよってなって、ラッキーみたいな。実際住んでみると結構居心地良かったりしてさ。まぁそこは置いといて。



 しばらくは精霊ちゃん達と一緒に過ごしてたんだけど、スゲー距離置かれてんの、どうしよ~? 仲良くなりたいけど嫌われてるのかな? って悩んでたけど。悩むのなんて私らしく無い! って思ってさガンガン話しかけに行ったの。そしたら精霊ちゃん達以外とフレンドリーなんだよね!



 ソッコーで仲良くなっちゃった! 皆ちょ~いい子でさ~凛ちゃんもう感動しちゃったよね。


 そういや精霊ちゃん達、日本人じゃないのに日本語話してたな? やっぱ精霊だから話せんのかな? まっいいや!



 今の私には考えても分からないし、


 っつう~! 痛っ……


 あっ、話し反れたねゴメン。んで精霊ちゃん達と楽しく遊んでたらさ、アイツらが攻めてきたんだ……


 色んな見た目の獣達、亜人族っていう奴等……

 

 人間っぽいのもいたけど、アイツら本当に許せない! 木を沢山燃やしたり、お家壊したり、精霊ちゃん達を沢山殺したり……お前らが死ねよって感じ!



 ……なんて強がってるけど、ホントは怖かった。


 凄い凄い怖かった。あぁ、ここは日本じゃないって改めて実感した。


 正直怖くて泣きそうになってたの、でも精霊ちゃん達の必死な姿見てたら、せめて足手纏いにならないようにしよって思って、大人の精霊ちゃんに何か手伝える事ないかって聞いたら。



 子供達を連れてここから逃げてって言われたの。だからそうした、必死に逃げた。でも獣達かどんどん迫って来て


 逃げてる途中で私になついてたチビの精霊ちゃんが疲れて飛べなくなって、地面に落ちちゃって。


 その子を助けようとしたら逆に私が捕まっちゃってさ……結局チビちゃんも助ける事ができなくて



 痛っ! ……ぁっ、ごめっ、また話しずれたね……


 捕まった私とチビちゃんは、ゴッツイ手錠嵌められてさ、それのせいで魔法が使えなくなって。他の精霊ちゃん達と一緒にデッカイ檻に閉じ込められたの。


 それから何日も移動して連れてかれたのが、石造りの建物がいっぱい並んだ場所。


 流石の凛ちゃんも怖くて泣いちゃたんだ。そしたらさ。精霊ちゃん達が慰めてくれたの、自分達だって怖いはずなのにさ。私の膝の上に乗ってたチビちゃんなんて頭ヨシヨシしてくるの。


 皆の姿見てたら泣いてらんないなって! 私が精霊ちゃん達守らなきゃって思った!


 でも、それからはあんまり思い出したく無いな……けど言うね。だから聞いてて。



 私達はそっから怪しい建物に連れてかれてね。そこは奴隷館っていう場所だったの。でも全部の精霊ちゃんが奴隷館に連れてかれた訳じゃなくて。


 全体の半分位かな、もう半分の精霊ちゃん達はどうなったかは分かんないんだ。皆無事だと良いけど……


 奴隷館にある大っきな牢屋に閉じ込められてさ、着ている服全部脱がされてすごい寒のに薄っぺらで汚い服一枚渡してきて、それで過ごせって言われて、頭きたから怒鳴ってやったら、



 ……スゲー鞭で叩かれちゃった。



 ははっ。凛ちゃんの玉のお肌がボロボロになっちゃった。



 そっからは……かなり辛かったな。



 一日一回の食事が凄く怖くて嫌だった。粗末なスープでさ、不味くてさ……でもスープの不味さなんてどうでもよかったの。食事が終わると絶対に始まる事があって、適当に選ばれた十人位の精霊ちゃんがどっかに連れて行かれるの。



 それから数分後に皆の泣き声がするの。連れて行かれた皆は私達の元には戻ってこなくて。


 何をやられてるのか分かんなかったけど、悲しくて悔しくて、怖かった。毎日毎日怖かった。


 逆らえば鞭で叩かれるし、でも、一番辛かったのはアレかな……


 私一人だけ牢屋から出されてさ、とうとう殺されちゃうのかなって……


 そしたらステージみたいな所に立たされて。観客席みたいな所には仮面を付けた獣達が沢山いて、そいつらの前で裸にされて手足を鎖で縛られて。ずっと鞭で叩かれた。


 その時もすっごい痛かったし、辛かったし、悲しかった。なんで私がこんな目に合わなきゃいけないんだろうって、叫び過ぎて喉潰れちゃてさ。


 叩かれてるのを見てる獣達はさ、私が叫べば叫ぶ程笑ってるんだよね。もう、死のうと思って舌噛み千切ろうとしたけどダメだった。


 なんかの魔法で止められてるみたいで体が動かなくなったの。


 それを見てまた獣達が笑っててさ。

 何が可笑しんだろって思った。

 私が鞭で叩かれてるのを見て、

 死のうとして死ねなかったのがそんなにおもしろいの。

 考えても分かんなかったな……

 そっから獣の顔と声がずっと頭の中でグルグルしてさ、

 あっ、とうとう凛ちゃんも、おかしくなったんだって思ったら

 笑えてきちゃたんだ。

 笑いながら獣の顔見てるとさ、全部自分の顔に見えてくるの。


 あ~ヤバイと思ったよ。凛ちゃんが正常になるためにはコイツら全員殺さなきゃって思ったの。そう思ったら笑ってた奴等の顔が、凛ちゃんの顔から獣の顔に戻っていったの。


 コイツら殺せば凛ちゃんは普通に戻れるって何となく分かった。だから速めにコイツら殺そうって思った。頑張って生き延びて皆殺そう。


 牢屋に戻されたら精霊ちゃん達が一人も居なかった。


 こっちを見る獣はニヤニヤしてた。獣の顔がゆっくり自分の顔に変わっていったから、コイツも殺そう、って思った。


 どうにかして逃げ出さなきゃって思ったけど、次の日もまたステージに上げられた。今日は客席にいたのは一人だけ。そいつは服を着た豚だった。


 凄い綺麗な格好してたけど、まん丸肥った体はまさに豚。豚が綺麗に着飾るとか笑えた。


 また裸にされて鎖で繋がれた。その後は当然のように鞭で叩かれた。


 しばらく叩かれたら、豚がニヤニヤしながらステージに登ってきて私にこう言ったの。


 貴様を妾にしてやるって。


 豚は凄い興奮してたみたい、キモ過ぎ、豚も殺そう。そう思って目を閉じたの。






 うるさい声で起きた。まだ眠いのに耳元でそんな叫ばないでよ!



 目を開けると豚がすんごい表情で睨んでいる。場所はステージの上じゃなかった。すんごい豪華な部屋だったの。


 でも相変わらず私は手足に鎖。身動きできないし、痛いし、本当に嫌だ。鎖なんて大っ嫌い。


 豚が怒鳴りながら私に鞭を打ってきたけど。


 この何日かで痛みには馴れたんだ。痛みを感じないようにすればいんだって分かった。後は鞭で叩かれているのは野々花凛じゃなくて別の人間と思うこともコツかな? ってこんなコツ別に欲しく無いし。


 豚はずっと私に怒鳴りつけている。私がこの豚に何かしたのか? こっちがヤられてるっての!


 暇だったので豚の話を聞いてみたんだ。どうやら豚は私を買えなかったみたい、ざまぁ。


 さらに分かったのは私を買ったのはこの国、亜人帝国だったの。理由は私が大罪人だからだって。しかも大罪人の私はもうすぐ処刑されるみたい……


 ははっ、何それ……普通の高校生がなんで殺されなきゃダメなの……意味分かんない、マジで意味分かんない、誰か説明してよ! なんで処刑されなきゃダメなの! おかしいよ! 誰か助けてよ! おかしい! 絶対におかしい! ありえないよ! 処刑とかふざけんな! 私が何したんだよ! ふざけんな! マジでふざけんな!


 叫んだら豚がニヤニヤしだした。目一杯豚を睨み付けた。生まれて初めてかも、こんなに誰かを殺したいと思ったのわ……


 豚は一度部屋から出て数分後に戻ってきた。部屋に入ってきたのは豚だけじゃなかったんだ


 チビちゃん!


 って叫んじゃった。私によくなついていたチビちゃんが生きてたんだ。


 凄く嬉しい!


 でもチビちゃんは首輪を付けられて、豚に引き摺られながら部屋に入ってきたの。


 チビちゃん凄い弱ってた。震えてた、可哀想チビちゃん……


 豚が急に笑い出したの。今はお前の声なんて聞きたくない!


 豚はチビちゃんを鞭で容赦なく叩き始めた痛い、やめて、助けて。チビちゃんが叫んでる、私も叫んだ。やるなら私をやれ! チビちゃんに手を出すな! って。


 でも私の声を聞いた豚は、すんごいムカつく笑顔でチビちゃんを叩き続ける。



 私を叩いても人形を叩いてるみたいでつまらんとか訳分かんない事言ってんじゃねぇよ! これ以上チビちゃんを叩くのをやめろクソ豚! やめろ! やめろよ! やめて、お願い……やめてください、お願いします。何でも言うこと聞きますから。これ以上チビちゃんを叩かないで下さい。お願いします。お願いします。



 叩かれ続けるチビちゃんと目が合った。目が合ったらチビちゃんは、凛。って言った後に動かなくなっちゃった……うそ……嫌だ。



 チビちゃん!


 チビちゃん!


 豚が私に鞭を打ってきた。


 余りの痛さに叫んだ。凄い痛かった。痛みは感じないようにしてるのに、何で、すごく、すごく、痛かった。豚が笑ってる。



 痛い、早くチビちゃんを助けなきゃ! お願いチビちゃん目を開けて! 痛い! なんでこんなに痛いの。チビちゃん、痛い、チビちゃん、痛い、痛い、チビちゃん、痛い、いたいよおねがいもうやめて……


 痛い……豚が私の頬を舐めて処刑されるその日まで可愛がってやるだってさ。


 もう一度痛みをカットしよう。ううん、痛みだけじゃなくて全てを感じないようにしよう。



 でもチビちゃんの姿を見ると涙が止まんないよ……



 処刑日もうすぐなんだって……誰か助けてよ……嫌だな……死にたくないよ……精霊ちゃん達のお墓作りたいよ。


 日本に帰りたいよ

 お家に帰りたいよ

 アイス食べたいよ

 皆とカラオケに行きたいよ。

 クラスの皆に会いたいよ。

 ママとパパに会いたいよ。


 白馬の王子様じゃなくていいからさ………誰か助けてよ。お願い……助けてよ。


 助けて……






 疲れちゃった……もう、寝るね……おやすみ。

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