表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姫様が創造  作者: ひとみんみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/64

58.撃ち合い

 その途端に、司の大勢集まっていた護衛の者達が、室内に飛び込んだ。

 室内にいる男達と護衛の者達が撃ち合い、どちらも次々と血を流して倒れていく。

 たちまち辺りに鉄錆びの臭いが充満して、室内が流された血で汚れていく。散った鮮血がコンクリートの灰色に混ざって妙にリアルな濁った色に変る。

 無言の静寂に銃を撃ち合う音だけが響いた。

 室内にいる男達もまさか防御も無しに、飛び込んでくるとは思わなかったのだろう。冷たい目が驚きに彩られている。

 陰鬱な男も手を止めて、護衛の者達を撃っている。

「あなただけの手を汚すわけにはいきません。私たちは、司様を守る為に居るのですから」

 最後に間宮が口の端だけで微笑んで、室内に突っ込んでいく。走る風で黒いスーツの裾がはためく。

 間宮の黒いスーツの広い背が、司の視界を数瞬埋めた。

 走る間宮に伸ばした司の手は、届かなかった。

「おい、気持ちは分かるけど、イチジョーは津川さんを助けるんだろ」

「でも、だって、間宮さんたちが」

「今、司が入っていってもどうにもならないよ」

 友宏が血の気の引いた顔のまま、泣いて間宮の後を追おうとする司の腕をきつく指が食い込むほどに掴んだ。

「この雪ちゃんを殺そうとする男達は居なかった!」

 司が、そう叫ぶと消えて数は減るものの、後から後から冷たい目をした男達がどこからともなく現れる。その様子は、司の消す力に抗っているかのようだった。

 むしろ、力に頼って消せば消すほど、男達が現れてしまうのでついには司も黙る。せっかく消す力を持っていても役に立たない、と痛感する。

 一方、数の減った護衛の者達も、司を守るように周囲にいつの間にか現れては室内に突入していく。物理的な撃ち合いでは、男達も少しずつ数が減っていくのだった。

 広い教会のような室内は、あちこちが倒れた男達で埋まっていく。

「イチジョー……」

 慰めるように声をかける友宏に、司は要らないというように首を振ってみせる。

「間接的な力で、雪ちゃんを守ろうとするのは、やっぱり間違ってた」

 小型のグレネードランチャーとナイフを構えて司も室内に入っていこうとするのを、友宏が引き止める。

「待てって、撃たれるぞ」

「前も撃たれて無事だったから大丈夫だよ。僕は雪ちゃんを守る為に、雪ちゃんと一緒に居る為にここにいるんだ。だから、死なないし、雪ちゃんも助ける」

 強い確信の意志の篭った瞳が友宏に向けられる。

 必死に追いすがってくれる友人に、司は心からの約束を告げた。

「そ……んな……」

 その強い意志に圧倒されて、友宏の司を掴む手は緩んでいた。

「トモはここで無傷で待ってて欲しい。トモは僕たちの平和な日常だから」

 司は友宏の腕を振り払い、弾の飛び交う広い室内に走りこんでいく。

 そこには、何が何でも雪を救うという強い意思があった。

 友宏は、さすがに喧嘩慣れしているとはいえ、銃弾の飛び交っている中に丸腰で入っていく勇気は出ないのか、ドア近くに呆然と立ち尽くした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ