51.目覚めて
司が、幾分かはっきりとした頭で目覚めると、日時は分からないが初夏の昼の光が差していた。自分では、どれくらい寝ていたのかは見当も付かなかった。
光がやけに眩しく感じて、恐る恐る目を開くと、
「司様!」
「イチジョー」
と傍らから間宮と友宏の声がする。
そちらを振り向くと、すぐ近くに間宮と友宏が、心底心配そうな顔で司を見ていた。
「ご気分は如何ですか?」
「体痛くないか? 銃で撃たれたって聞いて、オレ、心配で心配で」
護衛長と親友は、ベッド脇のスツールから立ち上がり、前のめりの勢いで迫ってくる。
「あ、うん。今は、そんなに痛くない……かも」
司はその勢いに気圧されて、ベッドの上で後ろに下がる。
背中に病室の壁が軽く当たったが、それでももう体はあまり痛くなかった。
それから司は二人から、自分が意識を失っていた間の話を聞いた。
自分が二週間ほど意識不明の状態だった事や意識を失っている間はずっと雪が看病していた事、逃げた男の行方が一条院家の護衛団が全力で追っているにも関わらず不明である事を知った。
「申し訳ございません。駆けつけるのが遅れて、司様をこんな目に合わせてしまい……。今となっては、言い訳にしかならないのですが、交代の見張りの部下が、私の寝ている間全員眠っていたという事態が起きまして……、申し訳ございません。今後は私が二十四時間見張りを……」
「いいよ、間宮さん。もしかしたら、それはあの男の仕業かもしれないし。前回も前々回も突然僕の側に居たから、何か見張りとかそういうの全然効かないのかもしれないし。それに、ちゃんと撃退できたでしょ」
『ですが』と『しかし』と尚も謝ろうとする間宮を押し留めて、司はにっこりと笑う。
「間宮さん、いつ見てもスーツだし、今だって十分寝てないんじゃない? ちゃんと寝なくちゃ。二十四時間なんて無理だよ。間宮さんは間に合ったから大丈夫」
「もしかして、あの男って、この前の男の事か? 逃げたのか?」
司と間宮のやり取りを、聞いていた友宏が口を挟む。
「うん、せっかく捕まえたのに、逃がしちゃって」
「警察には言ったのか?」
血相を変える友宏に、司は力なく首を振った。
「そ、そっか。今でも信じられないけど、銃で撃たれても平気そうだったもんな。この前の男。警察に言ったらややこしい事になるか……」
銃で撃たれても平気で、躊躇いなく銃を撃ってくる敵を警察が捕まえようとしても無理だろう。そういう事は友宏にも想像できたようで、スツールに座り込み難しい顔をした。




