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お姫様が創造  作者: ひとみんみん


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44/64

44.また男しつこく登場

 しばらく一同が思い思いのお茶の時間を楽しんでいると、雪が、

「完成。司、さっそく着けてあげる。手出して」

 と光を散らして輝くブレスレットを掲げた。

「うん、ありがとう。綺麗だね」

 細い白い指先で器用に着けてもらったブレスレットは、司の手首の周りで光を反射して鮮やかにきらめいた。

「んじゃ、ブレスレットが完成したとこも拝めたし、帰るわ。お茶とケーキご馳走様」

 友宏が微笑ましいやりとりを続ける二人を見守りつつ、ヘラヘラと笑いながら立ち上がる。

 窓から差し込む日の光は、落ちる寸前のオレンジに染まっている。もう帰る頃合だと判断したのだろう。

 感動した面持ちでブレスレットをぼーっと眺めていた司が我に返り、友宏を見送る為に立ち上がる。

 当然、司を護衛する間宮も付随して立ち上がり、雪も司にくっつく形で立ち上がった。

「送るよ」

「お、何々、全員でお見送りか。悪いね。豪華なイチジョーのウチ、一人で歩く勇気ないから家の玄関まで送ってくれると助かる」

 一庶民である友宏は、使用人やガードマンが山ほどうろついている一条院家に、やっぱり気後れがするのか司の申し出を断らなかった。

 皆でぞろぞろと部屋の外に出ると、昼でも豪華絢爛に照明の灯された明るい廊下に出迎えられる。

 友宏の懸念を裏切って廊下には人っ子一人居なかった。

 間宮が驚いた顔をして、携帯端末に手を伸ばしかけた所で唐突に止めた。

 司はそんな状況に違和感があったが、元々お金持ちというわけでもなく、家にぞろぞろ人が居る感覚にも慣れていない。

「あのさ、間宮さ……っ!!」

 今日は人が少ないみたいだけどお休みなのかな、と司が間宮に話しかけようとした所で、何か得体の知れないものが来るような気がした。

 司はとっさに左隣に居た雪を抱き込むように抱え込み、間宮が同じく気配を感じたのか司と友宏の前へ、瞬時に着ていたスーツの上着を翻し防ぐ。

 ガシャァン!! と派手な音を立てて、前庭側の窓ガラスが砕け散り、辺りに舞い散る。

 とりあえず、誰にもガラスの破片はかからなかった。

 しかし、一同は破片とともに廊下へ降り立ったものを見て目を見張った。

「お前は……」

 間宮が即座に拳銃ホルダーから拳銃を取り出し構える。

 皆の視線と間宮の銃口の先には、雪を追いかけている男達のリーダーであるあの陰鬱な男が立っていた。

「こんばんは。元生贄と生贄。そしてその取り巻きのお二人。少しばかり猶予をあげましたが、生贄を渡す気はできましたか? こちらも急いでいるんですが」

「何度来たって答えは同じだ。雪ちゃんは渡さない」

 陰鬱な男に司はそう言い捨てると、震える手でパーカーの下に付けていた拳銃ホルダーから拳銃を引き抜き、間宮と同じように構える。

 人に向けることには抵抗があったが、撃たなければ大丈夫と自分に言い聞かせる。

 廊下には、この時間見張りの護衛部隊の人たちや掃除のメイドさんが居るはずだ。

 なのに、何故か四人の他には誰も居なかった。更に司はもっと早く気付いても良かったことだが、前回頼りになった犬たちも居なかった。

司も戦力にならないと、間宮が三人を守りきるのは無理だろう。何よりも司は、自分も雪ちゃんを守って戦いたいと思った。

「トモ、ごめん。気持ちはありがたいんだけど、この人普通の人じゃないんだ。下がって」

 友宏が小型のナイフを出し、構えたのを見て、司がいつになく強い調子で警告する。

「でも、オレも!」

「ごめん!」

 司の厳しい目に友宏は渋々、間宮の斜め後ろに僅かながら下がる。

 雪は、やっぱりいつもの強気な彼女らしくなく青くなって、司の斜め後ろに寄り添う。怯えていても完全に後ろに下がるわけではないのが、彼女らしかったが、司はそんな彼女が更に心配になった。

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