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お姫様が創造  作者: ひとみんみん


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40.間宮の昔話

 ――司は、自分が襲われた次の日、休みである事と『処刑者』に猶予を与えられたのを切っ掛けに、さっそく友宏のアドバイス通り護身術を習おうとした。

 ……が、当然ながら間宮を筆頭に両親から猛反発を受けた。

 全体的に線が細く弱々しそうにも見える司は、間宮や両親からすれば守る対象として認識されていた。

 両親は、間宮にも言ったように雪を守るため、自分を守るためとして何とか説得済みだった。しかし、最後まで間宮の反発が酷い。

 雪ちゃんに僕を守るためとして生み出された存在だからなのかもしれない、と司は考えていた。だから、弱気じゃ絶対に負けると思い、無理をして強気な態度を間宮に取っていた。

「最悪、少しの間は目標に当たらなくても、銃で脅せる格好がついていれば構わないです。僕にちょっとした考えがありますので」

 司は、無理を重ねて、引きつった顔でジッと見詰めてくる間宮に畳み掛ける。

 すると、意外にも目の前の美形が崩れて泣きそうな顔になった。

 なっ、泣く?

「……一昨日、具合が悪くなられてから、何故そんなにも他人行儀で私を拒否するのですか? 二回の失態で私への信頼は無くなってしまわれたのですか? 司様が家族同然だと仰ってくださった私の言葉は無に等しいと仰るのですかっ?」

「護衛長、司様はいつも態度で護衛長への鬱等しさを示してると思われますが」

 我慢に我慢を重ねていたものが切れたという感じだった。

 間宮が、いつもの冷静な仮面を崩して泣きそうな顔で訴える。

 しかし、その訴えに、いつの間にか集まってきていた部下の一人が無慈悲に申告した。

「普通の生活を送りたいという司様の言葉に逆らって、ほとんど常に警戒態勢の護衛を敷く護衛長にとうとう嫌気が差したのではないでしょうか」

「二回もしてしまった失敗はもう許されないレベルという事では」

 更に別の部下が律儀にも挙手をして追い打ちをかけると、間宮は整った顔立ちを更に歪めて下を向いた。

「あれは、私が中学三年の夏……、喧嘩で行き倒れていた私を、心優しい司様が拾ってくださった」

 間宮が俯きながら唐突に話し出した言葉に、十数名ほど集まっていた部下達は、また始まったというように苦笑して首を振る。

「えっ?」

 周りの人間は何回も聞きなれた話のように聞いているが、司にはもちろん全く覚えが無かった。司からしてみれば、間宮と会ったのは昨日なのだ。

「あ、あの、間宮さん?」

 司は、クールで渋い男だったはずの間宮の変貌振りに圧倒される。おずおずと声を掛けるが、間宮は陶酔したように語りの先を続ける。

「お優しい司様は、まだ小学一年でしたが、私に手を差し出し『ウチに来ない?』と声を掛けてくださったのです。その時の微笑みは正に地上の天使かと思われました。そのまま、私を屋敷に置いて下さいました。司様のお父上が私を護衛部隊に入れてくださり、それから三年間必死で頑張ってとうとう護衛長になり、六年間私が一番お側で護衛しております。九年間の歳月は無かった事にすると仰るのですかっ!」

 滔々と続く間宮の語りに、司(地上の天使?)は衝撃を受ける。渋く男前に見える間宮は、実はまだ二十代半ばだった。そして、司が間宮を拾ってきた設定になっていて、尚且つその記憶が間宮にある。

 うっとりと冷静なキャラを崩して語る間宮が嘘を言っているようにも見えなかった。

「時々の護衛長のそういう所も、司様は疎ましいのだと思います」

「黙れ、司様はそんな方ではない」

「あの、あの間宮さん落ち着いて下さい」

 落ち着いて冷静に見えた間宮さんが、まさかこんな台詞を言うと思わなかった。

司は額から嫌な冷や汗を垂らす。

「せめて、もう敬語は止めて下さい。私は恐れながら司様の家族であり、使用人であると自負しております」

 間宮が泣きそうな顔のままダンディな渋い声で応じる。

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