表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姫様が創造  作者: ひとみんみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/64

38.二人の幸せな読み飛ばして良いやりとり

 次に、司が目を開けると、豪華なシャンデリアが視界に飛び込んできた。

 昨日と今日で、強制的に馴染み深くなってしまったシャンデリアを見て、自分が家に居る事に気付き、慌てて飛び起きる。

「雪ちゃん! ……いたっ、いたたたたっ!」

 男にやられた打ち身で体中が痛むのを感じ、司は再度ダウンする。

 満身創痍の司は、自分の部屋のキングサイズのベッドに横にさせられていた。包帯が幾重にも巻かれている。炎症を鎮める薬が塗られているのか司の体中が冷たかったり、押さえ切れない炎症で熱かったりと忙しい。

 傍らには、雪が『初めての応急処置』という本を読みながら座っていた。

 起き上がった司に、読んでいた本を放り出して顔を綻ばせる。

「司っ、気が付いてよかった!」

 仰向けになった司を雪の顔が覗き込む。

「いたた……雪ちゃん、無事でよかった。男達は?」

 意識を失う寸前まで気がかりだった少女の無事が分かって、司はほっと胸を撫で下ろした。

「間宮さんの話では、司の帰りが遅いのを不審に思って教室に駆けつけた時、男と司が揉みあってる所に出くわして追い払ったそうよ。……また、危なかったんじゃないの?」

 昨日、司が命を簡単に投げ出そうとしたことを思い出したのか、雪が椅子に深く座りなおして俯いた。

 そんな雪の落ち込んだ様子に、司は慰めようと起き上がろうとして、酷い激痛で悲鳴を上げベッドに逆戻りした。

 仕方なく顔だけを雪のほうへ向けて、安心させるように微笑む。

「大丈夫。均衡を崩すからなるべく僕は殺したくないって言ってた。均衡って何の事だかよく分からなかったけど、雪ちゃんを生み出すために、鍵となる存在が僕だとも言ってたな。だから、僕は大丈夫だよ」

「そっか、確かに私の力と対っぽいもんね。司の力って。だけど、それじゃますます司がこんな目に遭うのって……」

 語尾が消え、雪がまた暗くなってしまう。

 今度こそ司は痛みを堪えて起き上がり慰めようと、雪の肩に手を置いた。

 温かい手の感触に顔を上げた雪の大きな瞳に、痛みを堪え歪んでしまう微笑を浮かべた司が映る。

「このぐらい、か、か、可愛い、こ、ここ、婚約者を守るためだったら平気だよ!」

 どうしてもかっこよく決められずに、どもってしまった司の言葉を受けて、雪は鳩が豆鉄砲を食らったかのように目をパチパチと瞬いて止まった。気弱でどことなく惚けているところのある司が、自分から進んで雪の事を婚約者と言うのに余程驚いたようである。

 今度は司が俯く番だった。

 ただ、雪とは違い、恥かしさで顔を真っ赤にしている。暗くなってしまう雰囲気を払おうとして、ウケを狙って冗談半分本気半分で言ってみたのだった。

今は『後悔』の二文字が司の胸を駆け巡る。

 ややあってから金縛りから解けた雪が、満ち足りたようににっこりと笑った。

「ありがとう。私のかっこいい婚約者さん」

 その様子はいかにも幸せそうで、司は束の間痛みを忘れた。

 そのまま、二人はお互いの幸せな気分を共有して見詰め合っていた。

だが、遠慮がちに寝室の扉が叩かれる音で我に返る。

「あ、いけない。間宮さんが待ってたんだった」

「そっか、今回の事説明しないと」

 思いが通じ合った幸せな婚約者達は、しばし名残惜しそうに見詰め合う。

また遠慮がちにドアが叩かれ、

「司様、悲鳴が聞こえましたが如何なさいました?」

 という間宮の心配そうな声に、ゆっくりと視線を外した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ