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お姫様が創造  作者: ひとみんみん


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32/64

32.ヒロインは人気者

 そこで、友宏のキラキラした金髪が、後ろへ滑らかな白い指先で引っ張られた。

「ねぇねぇ、トモくん。私のフィアンセで遊びすぎないでくれるかな」

 後ろに男女十数名を引き連れた迫力の美少女が、いつの間にか司と友宏のすぐ近くに立っていた。

 今日も美少女は、テレビの向こうでしか見られないような美しさを惜しみなく放っている。

 不満げに唇を尖らせて、友宏の髪を思いっきり引っ張っていてもその美しさは露ほどにも損なわれていなかった。

「雪ちゃん」

「様子見に来て良かったわね。司、完全に遊ばれてるじゃない」

 若干息を切らしている司の濃紺のブレザーを、雪が慣れたような手つきで形を整える。ずれていたネクタイまで直し、

「終了!」

と司の肩を軽く叩いた。

「ありがとう」

 二人の新婚のようなやりとりに、周りが『雪ちゃん、可愛い』とか『一条院にはもったいない』とか野次を飛ばす。

「この人たちどうしたの?」

大量のギャラリーに当然司は疑問を持った。

「昨日と今日で友達になったの。皆でお昼屋上へ食べに行くとこ。司も来る?」

「そうなんだ。すごい数だね。……僕は友宏と話があるから遠慮しとくよ」

 男女問わず、雪に周りの人間が熱い視線を寄せているのは心配になった。

けれど、その視線は純粋な好意によるものだと思い、当初の計画通り友宏への相談を優先させる。

「そう? 分かった。また後でね」

「うん……」

 雪が『また』と言いながらも、名残惜しいように司の制服の端を握っているので、しばし二人は見詰め合った。

「早く行こう、津川さん。私、昨日津川さんがお弁当持ってきてないって聞いて、サンドイッチ作ってきたの!」

 二人の濃密な雰囲気に割ってはいるように、取り巻きの女の子が声を上げる。

 憧れの目で一心に雪を見つめている。ギンガムチェックの包みを掲げて、雪の腕を引っ張った。

「俺は購買でおすすめのジュース買ってきた」

「私、マドレーヌ焼いてきたから!」

「田舎から送ってきた蜜入りの林檎持ってきた」

「私なんかチョコレートケーキ作ってきたし!」

 雪を取り巻く男女のギャラリーが口々に色々なことを言って張り合い、雪を引っ張る。到底昼だけでは食べきれないような食品類が雪の前に掲げられる。

「じゃ、また!」

 雪は、周りの人間に色々話しかけられ、忙しそうに別れを告げて出て行った。

 嬉しそうに笑っている様子からして、まんざらでもないのだろう。

 その移動を開始する取り巻きと共に、教室に残ってお昼を食べようとしていた生徒が、釣られるようにお弁当を急いでまとめ、後をふらふらと着いていく。

 雪を取り巻く集団は、屋上に着くまで大集団となっているだろう事は容易に想像できた。

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