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お姫様が創造  作者: ひとみんみん


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31.友達の友宏

 次の日の昼休み、チャイムが鳴ったと同時に、司は自分の後ろのほうに座っている友人・橋本友宏の方へ寄っていった。

 昨日の事を、自分なりに色々と考えたのだが、どうも自分一人で考えると煮詰まってしまう。そこで、トモに相談しようと思ったのである。

「トモ」

「よっ、どうしたイチジョー。元気ないじゃんか」

 寄ってくる司に、友宏は力の抜けた笑顔を見せる。

 その軽い笑いに司は思わず肩の力が抜けて笑い返した。

「うん、相談があるんだ。結構重大な話だと思う」

 友宏の笑顔のおかげで、司はなんとなく楽に相談を持ちかけることができた気がした。

「そっか、それは、えっと……今日は良い天気だし、皆ほとんど外行ったみたいだから、教室で話しても大丈夫か」

 教室をグルリと見回して、友宏がのほほんとした顔で頷く。

 昼の高い日差しがカーテンの合間から差し込んでいる。

 今日は、初夏の日差しが暖かく大半の生徒が中庭や屋上で食べる為か、次々と教室を出て行っていた。

 教室には、まだチャイムが鳴ったばかりだというのにわずかしか生徒は残っていない。

 遠くから、生徒の元気な笑い声や歓声さえも校舎に届いていた。何もかもが温もりに満ちて安穏としている。

 まるで、司や雪が昨日酷い目にあった事など嘘だと言っているかのようだった。

 何もかも夢だったら良かったのに、司の胸にそんな想いがふと過ぎる。

遠くの喧騒を見透かすように外をちらりと見やったが首を振って、また友宏に笑いかけた。

「弁当食べながら気軽に聞いてくれないかな」

「よっし、気軽に何でも相談室。礼は玉子焼き三切れで良いぜ」

 日当たりの良い窓近くに、二人で弁当を広げながらふざけあう。

 昨日、あんな事があっても、司の母はきちんと弁当を作り、息子に持たせるのを忘れていなかった。

「なんで、お前いつも僕の玉子焼き狙ってんだよ」

「イチジョーの母さんの玉子焼きが絶品過ぎるからだ。オレなんか今日の弁当のおかずは、昨日の残りのおでんとかだからな。もう、暑くなってきたってのにおでんって、おい、竹輪やるから玉子焼き五切れよこせよ」

 司の返事を待たずに、友宏はふやけた竹輪を司の弁当の蓋へ、ちょこんと乗っけると代わりに玉子焼きを全て取っていった。

 ボケボケ男子高生司は、その事実に一瞬経ってから気が付く。

 玉子焼きを奪い返そうと、結構必死になって手を伸ばす司の手が届かないように、玉子焼き略奪者は、弁当箱をあちらこちらへと彷徨わせる。

 余裕でニヤニヤ笑う友宏に、司は完全に遊ばれているのを悟って焦るやら困るやら忙しい。

 少しムキになって奪い返そうとするのだが、司よりも身長が十センチ近く高い友宏には敵わなかった。

 後ちょっとの所で司の指先を弁当箱が掠めていく。

「トモ! ふざけんなよ。五切れって全部じゃないか。返せって。怒るぞ」

 『怒るぞ』と、予告して必死になっている時点で、遊ばれキャラ確定の司だった。

しかし、悲しい事に本人はその事実に気が付かない。

「よーし、イチジョー。後、もう少しで届くぞ」

「ふざけんなーっ!」

 一見して、金髪でシルバーアクセをジャラ付けし、制服をいい具合に気崩した派手めの友宏が、一条院財閥の御曹司を苛めているようにも見える。

 だが、他の教室に少数残っている生徒達は、友宏と司が騒いでいるのは毎度の事のように構わず談笑を続けている。

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