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お姫様が創造  作者: ひとみんみん


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25/64

25.敵登場

 ――そんな暖かいぬるま湯のような空間が、一気に汚されるような低い声が響く。

「いくらイケニエにだって生老病死を拭い去る事は不可能です。イケニエにできる事は万能に見えて実はとても限られている。朝はどうも。私の部下が失礼をしましたね。さあ、お別れのキスは済みましたか?」

 低い冷え冷えした声が、二人の硬直した脳に突き刺さる。

 司は一瞬で雪を追いかける男達の一人だと悟った。雪の繋いだ手が酷く震えているのを感じる。

 廊下の角から、少し離れた所にいつの間にか男が立っていた。

 スマートなスラリとした長身にダークスーツを纏い、長めの髪の下から声よりも更に凍てついた黒い目がこちらを見ている。

酷く美しい男だった。

だが、誰が見ても素直に美しいと感じる雪の美しさとは違い、その禍々しさに目を背けたくなるような、負を極めた陰鬱な美しさだった。

もちろんと言って良いのか、男の手には小型の銃が構えられている。

その陰鬱な美の為に、銃を持っている事さえ、ごく当たり前に思えるほどだった。その当たり前の禍々しさに、司は、一瞬無慈悲に撃たれて倒れる自分さえ想像できてしまった。

「イ、イケニエってなんなんですか? 雪ちゃんは渡しません」

 司はどうしても震えてしまう足に鞭打って、雪を庇うように前に出る。

手を放された雪が、後ろから司のトレーナーを強く握り締めた。

「ちょっと、司。離れないでよ」

震える手の間接的な温もりに、司はこの少女を守らなくては、と思う。

こちらに向いている銃口は、何もかも放り出して逃げ出したいほどだった。

けれど、雪を守る一心で男の前に立ちはだかる。

自分は、撃たれたらお終いかもしれない。

でも、せめて一回は盾になれる、とそれだけを司は思った。自分は、いざとなったら逃げ出すタイプかと思っていたが、そうではないらしいと、少し誇りに思った。


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