21.追いかけられる理由
「そうだね。じゃあ、向こうから長椅子持ってきて寝るよ」
――二人がかりで長椅子を寝室に持ってきながら、司は気になっていた事を口にする。
目の前の女の子にまた嫌がられてしまうかもしれないが、重要な問題である気がしたのだ。
「ねぇ、雪ちゃん。どうして君を追っている男達は、捕まえてから殺すなんて矛盾した行動を取るんだろう?」
長椅子はほぼ司が持っているに等しかったが、今の言葉で、雪は完全に長椅子から手を放して考え込んだ。
豪奢なベッドに座って小首を傾げている様子は愛らしかったが、バランスを崩した司は、軽く腰を痛めそうになる。
「ちょ、ちょっと雪ちゃん」
「そういえば、そうね。追ってくるのが怖くて、訳分からなくて必死で、あんまり深く考えてなかった」
雪は、その美しい弓なりの眉を顰める。
必死で考える雪の様子に、司は無理もないかもしれない、と考えた。
考えている内に追いつかれて殺されるかもしれないのだ。考えるのは、まだ余裕がある内に有効な手段だった。
「捕まえてから殺そうとするなら、殺すことだけが目的じゃない」
「あ、やっぱりそれ本気にしたのね。ええ、多分。考えると、また怖くなってきたけど、捕まえた時にどう殺すか相談してたし。何かあるのかな」
さっきは口に出すだけで泣きそうだった雪は、司が雪を守る事を再度認識して安心したのかもしれない。意外にこだわりなく口を開いた。
「かといって、雪ちゃんのモノを作り出す力が目的というわけでもない」
「んー、それが微妙なのよね。利用しようとはしてないんだけど、あの雰囲気は」




