13.お金持ち一条院家
放課後、二人は一条院家の屋敷内に居た。
一条院家の屋敷は、様々な防護システムや私設のガードマン部隊に守られている。
追われている雪は自分の安全のため、一条院家に乗り込んだのである。
「……よく僕の家がこういう風になってるって知ってたね」
司は、いつもの六畳半の狭い自分の部屋が、その数十倍は広くなった部屋の大きい窓から、屋敷の広すぎる庭を見渡した。
こんなの自分の家じゃない……。
部屋だけでなく、庭も広すぎる。
前は猫の額ほどだった庭は、噴水があり、訳のわからない彫刻が展示してあったり、温室が見えたり、車が何台も並んでいる一角があった。
更に屋敷の敷地内にはそこかしこに黒服ガードマンが立っているのが見える。
普通にどこかの警備会社の制服を着ているガードマンもいるにはいたが、ここまでガードマンを立てる必要は何処にあるのか、司には分からなかった。
ここに来るまでにも、数十名の使用人やメイドが出迎えて頭を下げられ、毛の長い絨毯の上を歩いてきた。
そういう絨毯の上を土足で歩くのも信じられない。人に頭を下げられるのも信じられない。
司は、本来なら一生どころか何回生まれ変わったって、自分はこんな目に遭うはずはなかったのに……と頭を抱える。
「お昼のトモくんの話から、多分こういうとんでもない規模に作っちゃったんじゃないかと思っただけよ」
窓辺で頭を抱えて現実をいまだ受け入れきれていない司とは逆に、雪は優雅に寛いでいる。
部屋の中央のロココ調の猫足テーブルセットに置かれた紅茶を飲んでいる。
その紅茶も、アッサムだかトワイニングだが知らないが、その中でも市場に出回らない希少な茶葉で、一条院家の上品な制服を着たメイドさんが言うには、
「是非、司様に飲んでいただきたくご用意しました。御友人様も宜しかったら是非」
だそうだ。
その賢そうなメイドさんは、お茶の支度をテキパキとこなした後、華麗に一礼して去っていった。




