第二滴 ドラキュラのドラ息子
「あー今日もめんどくせぇなぁ。どーやって過ごそっかなぁ...」
「失礼します。ウラト坊ちゃま。」
「あ?ラミアかぁ。どしたの?」
「ご主人様がお呼びでございます。至急、城の門まで来いとのことです。」
「親父が?何だよ...城の外に出ろってか...めんどくせぇ。もうちょっとで行くって伝えといてくれよ。」
「......かしこまりました。」
、、、
キィキイ バサバサバサバサ
ドドドドドド!
「おそぉぉぉーーーい!!!!」
「な、なんだよいきなり!」
「いきなりではない!すぐに来いと呼んだはずだ!!それが20分も遅刻するとは何事だ!」
「だからもう少ししたら行くって...」
「ええぃ!うるさい!それでもドラキュラ公爵家の跡取りか!!」
「んなこと言われても...」
「ヴァンパイアの三大勢力!ヴァンピール、吸血鬼、そして最も大きな勢力である我らバンパイア!そのバンパイアを率いるドラキュラ公爵家の未来が一人息子のウラト!お前にかかっているのだぞ!」
「はぁ...」
「それが毎日毎日ただ遊んで寝ての繰り返し!自分で血を吸いもしないばかりか全く働こうとしない!!」
「俺は......吸血して眷属は作りたくないんだよ。」
「ええぃ!嘆かわしい!!今日、この門の前に呼んだのは他でもない!お前には日本で三年間、修行をしてもらう!!」
「そうっすか。」
「...って、はああぁぁぁ!?」
「日本の高校というものへ行けば一般教養から社会性などの基本的な事は学べるだろう。」
「おいいぃぃーー!!」
「母さんがいない分、甘やかし過ぎてお前を育ててしまったからな。これくらいはせんと!」
「嘘だろ!?お、俺は部屋に戻るぜ!」
「もう少しで日本に送ってやる。残り時間は好きにするといい。」
、、、
「何言ってんだ何言ってんだ何言ってんだ何言ってんだ、あんのクソ親父は!」
バァン!
勢いよく部屋のドアを開けたのはいいが...
「え゛え゛っ!!」
部屋の中が綺麗に本一冊も、ないほどに空っぽだ。そしてちょうどよく後ろから鼻歌を歌いながら使用人がやってきた。
「ウラトさま〜♪片付けと配送終わりましたよ〜♪」
「セ、セルビア!これはどうなってるんだ!」
「どうなってるって...坊ちゃんがいない間に部屋の荷物をまとめておけってご主人様に言われたんだよ。なんでも坊ちゃん、日本に行くんだって?大変だなぁ!ハッハッハ!」
「サ、サリアまで...。」
成程、大体話は読めた。俺が城の外に出て親父と話している間に、この親父の使用人ども3人で勝手に俺の引越し準備を進めてたってことか!行かざるを得ないように...ハメられた...完全に。
「どうだ?ウラト。今日からベッドも何もないこの床に寝るか?」
「あーもう!わぁかったよ!!行きゃあいいんだろ行けば!!」
「荷物はもう送らせてある。ただ行くだけではダメだぞ!?高校でしっかり3年間過ごすこと、そして吸血で眷属もしくは伴侶をつくること...だ!わかったな!?」
「ふ、二つ目は無理だぜ!?」
「この二つの条件ができないようならドラキュラ公爵家として認める訳にはいかん。なんとしてでもやって来い!!」
「......ちくしょう、あーもぅめんどくせぇ!!!!」
、、、
「ようやく行ったか。」
「やれやれ...ワシらのドラ息子がようやく外の世界に出たぞ?
お前が生きていたらこれで良かったと言ってくれるか?
なぁ、カタレシア...。」
ドラキュラは伯爵というのが一般的ですよね。しかし伯爵というのは階級を示す言葉ではなく〜様と言ったような称号だそうです。この話では階級の貴族として登場させたいがために、あえてドラキュラ公爵家としています。