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第三話

後半、視点が変わります。

 近隣の街を援助するようになりしばらくすると、自然とシュガーブルクは

周辺の街の緩やかな連合体の盟主的役割を担うようになった。

大戦で疲弊した街達は、できることならあまり戦争はしたくなく、利害の

整に共通の友好街であるシュガーブルクを頼ることが増えたのだ。

シュガーブルクとしても、戦争続きだと施設の発展に注力できないことも

あり、積極的に仲裁を展開。

街達から感謝されると共に、評判が高まって、シュガーブルク所属を

希望するプレイヤーが増え、街の規模が頭ふたつ他の街よりも

大きくなったことが要因であった。

だが、アーネストは強権的な命令を発動することを嫌い、街の代表者を

定期的にシュガーブルクに招いて、会議を行った上で決めるスタイルを

堅持した。


 シュガーブルクは、周辺の街と比較すれば大きいとはいえ、複数の街が

連合すれば、簡単に対抗できる規模でしかないのだ。

反感を持たれるのは損でしかないし、権威主義的に振る舞うメリットが

そもそもない。

短期的には、尻馬に乗りたがるプレイヤーを集めることができるが、

長期的には、勤勉な所属者にまで反感を与えて、移籍や引退されるだけに

なる。


 代表者が傲慢になって衰退した街の例は珍しくはないのだ。


 アーネストのやり方は、好感を持って迎えられ、シュガーブルクが直接

援助していない街からも仲裁依頼が来るようになる。

アーネスト自身は、シュガーブルクの仕事ができなくなるために、

外交漬けを好ましくないと発言していた。

だが、間接的にはシュガーブルクの評判を高め、運営が出した

ハンドブックでも列強扱いされるようになり、シュガーブルクに所属する

ことを目的に黄昏のガンブ始める新人が出るなど、ゲーム全体に存在感を

及ぼすことに繋がっていた。


 列強諸街もいつのまにか出来上がっていた無視できない勢力に脅威を

覚え、外交関係を求めたり、視察団を送ってくる。

そしてますます多忙になるアーネスト。

移動は、転移の魔方陣ですぐに行えるとはいえ、日の大半を

シュガーブルク以外で過ごす生活になっていった。


 アーネスト以外にも外交ができる人材がいれば、肩代わりして

もらうこともできるのだが、子供のお使い程度のことしかできない配下に

任せるわけにもいかず、かと言って育てる時間もない。

いっそのこと、リアル外交官がログインして、シュガーブルクに登録して、

シュガーブルクに所属してくれないかと


 誰にも愚痴を言えないまま、ログアウトしたのであった。




 私は、佐東武さとう たけし

佐東ゴールデンサービスのCEOをつとめている。

私は、小さい頃から努力家で、運動はあまり得意ではなかったが、勉強は

できた。

東大に入り、様々なことを学んだ。

色々な仕事もした。

ある時は、一流企業の本社で請われて仕事をしたこともある。

ある時は、人の流れを管理する仕事をしたこともある。

ある時は、無から有を創造する仕事を手伝ったこともある。


 だが35才を機に、佐東ゴールデンサービスを設立してからは、

会社経営一本になっている。


 佐東ゴールデンサービスは、業界のシェアトップ独走を誇り、信頼の

実績ナンバーワンを邁進している。

とはいえ、基本部屋を出なくて済む執務体制を整えているため、私が

この部屋を出る必要は殆どない。

VR技術の発展で、取引先と直接会う必要もないし、私のようなVIPが

行くとなると、気を使わせてしまい申し訳ないからな。


 だが、役所は違う。

役所は頭ごなしに呼びつけてくるのだよな。

寛大な私は、嫌な顔を見せずに対応するが、いつか役人どもに報復して

やりたいと考えるのは、自由であろう?

なに、手は打ってある。

今は、儚き夢を楽しむがよい。


 そろそろ、次のプロジェクトに取りかかるべく、準備をせねば

いけないな。

必要なものはすぐに揃うが、何事も準備を怠ってはろくなことにならない。


 しっかりせねば。

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