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天使討伐作戦

 気がつくと僕は宙を舞っていた。

 目の前に広がる景色は月明かりが入る洞窟の入口から一変、夜空に飛び散った土、つい先程処置を終えた怪我人が僕と同じように宙に投げ出されている。

 何が起こったのか分からないまま地面に土もろとも叩きつけられた。

 肺から空気が押し出され、呼吸が上手くできない。

 そんな僕に追い討ちをかけるかのように空中に散った土塊やそれに混じって頭と同じ大きさの石が大量に降り注ぐ。

 僕は急いで近くで倒れている怪我人に覆い被さった。

「キギャアァァァァ!」

 土煙が舞う中、何かが咆哮をあげた。それと同時に爆発音が響き渡る。何回か爆発音が響いた。きっと誰かが攻撃しているのだろう。爆発をくらったその何かはまた地面の中へ潜って行ったようだ。

 土石が降り止んだのを確認すると、すぐに怪我人の肩を叩く。地面に叩きつけられたせいか、意識を失っている。脊椎を損傷しているのかもしれない、すぐに包帯と添え木で応急処置を終わらせてから背負い、走る。

 何が起こったのか。

 今回はただ天竜を群れを討伐するだけだったはずだ。

 天竜の巣の近くにあるアリの巣の跡地に誘い出して一網打尽にする作戦だった。

 全て上手くいってたのに……。

 アリの巣の中に何かが隠れてたのか?

 いや、今はそんなことを考えてる暇は無い。

 とにかくこの人を安全な場所まで運ばないと。

 いや、待て。外は天竜たちが——。

 気づいた時には既に遅く、天竜が大きな口を開け、眼前まで迫っていた。

 まずい。

 避けられない。

 そう確信した次の瞬間、けたたましいエンジン音が辺りの空気を切り裂いた。

 目の前まで迫っていた天竜の首が落ちる。

 首を無くし、崩れ落ちる天竜の隣に赤紫色の毛が混じった紫黒色の髪をした長身の男の人——僕の兄弟子であるクク兄が立っていた。

 ああ、ヤバい。涙が溢れそうだ。我慢しなきゃ。

(カイ)!無事か!」

「うん!なんとか」

「マジで死んだかと思ったぞ。お前がいた洞窟からヘビミミズが飛び出してきやがったから」

 あの時土煙の中に居たのはヘビミミズだったのか。

 ヘビミミズ——名前の通り蛇の頭にミミズのような胴体と移動方法で地中を動きまわる生物だ。大型になると大洞窟を作ったりもするらしい。

(カイ)、良いニュースと悪いニュースがある」

 クク兄は回転刃つきの盾に着いた血を払いながら、真面目な顔で言う。

「じゃあ良いニュースから」

「良いニュースは、俺たちの取り分が増えそうなこと」

 そう言いながらクク兄は後ろで戦っている人たちを指さす。

 鎧の一部が砕かれ、それでも尚必死に天竜に向かって剣で抵抗している。

「死者が出たら良くないでしょ!」

「タダ乗りしてきた罰として良いだろ」

「良くないよ。というかそれを良いニュースだとして、悪いニュースは何?」

「悪いニュースはな——」

 クク兄の言葉を遮るかのようにまた地面からヘビミミズが飛び出してきた。

 その巨体をうねらせながら直立させ、僕たちを見下ろす。

 クク兄が言いたいことが理解できた。

 ヘビミミズの頭上に()()()()()()()が浮いていた。

「——天使が出た」

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