表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マツさんのゲル  作者: 大正
始まりのゲル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/116

第16話:マツさんの実力 1

 side:マツ


 三郎さんがやってきてから色々な部分で無理をしていた所にも手が届くようになりつつある。三郎さんのスキルは名前を付けるとすれば【豪運】というところだろう。効果のほどはてきめんだ。二つある戦闘グループの内、多少奥まで進んでいって高品質の魔石を取るために外征する第一グループ、そして三郎さん達、近場のモンスターを数多く狩って数で補う第二グループの二種類が存在する。


 第二グループの収支がかなり良いところまで上昇しているため、日々の食事にも余裕が出てきたし服やタオル、清潔用品に回すことができている。


 三郎さんのスキル頼りになっているのはあまり大きく褒められたものではないが、そもそも戦闘グループの働き如何で食事にありつけるかどうかも怪しいことだってあったのだ。今更依存度について語っても仕方ないだろう。それ以外に入手する手段がない以上モンスターを倒して日々の糧を得る、という形で進めるしかないこの環境下でいかにして楽な生活をすることが出来るか、というのは永遠に逃れられない課題だろうな。


 あー運動したい。たまには好き放題五層あたりに潜り込んで好き放題モンスターを倒して久しぶりのレベルアップの気分で体も心もスッキリさせたいところだ。今度第一グループに紛れ込んで戦闘に参加することにしよう。たまにはそのぐらいの贅沢は許されるはずだ。


 いくら俺が怪我したら全てが終わりになるとはいえ、何もしない……いや、何もしない訳ではないが仏壇の観音様のように追いやられて祀り上げられるだけでは俺自身のストレスが増えていく。書籍を読んで仕事をしているふりをしているのにも限度があるんだ。


 俺だってまだまだ現役だぞというところをみんなに見せて、安心して外にも出られるようにしたい。その為には……まず段階を踏んでいく必要がある。


 まずは三郎さん達の様子を見るという名目でついていくのも有りだろう。戦果のほどは持ち帰った魔石の量で確認させてもらってはいるが、実際に目で見るのと聞いているだけでは大きく違ってくる。三郎さんが本当に100%魔石を落とせる豪運男なのかを実地で調査する。ついでに、衰えないように訓練を兼ねてレベルアップもしてくる。こういう路線で攻めていくほうがよさそうだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 side:三郎


「というわけで、今回は私も同行しようと思います」


 マツさんから魔石集めに同行する旨を伝えられた。


「いつも言いますがマツさんがここを動くのは反対です。もし何か緊急で事が起こった場合に対応できる幅が狭くなります」


 シゲさんは反対の立場らしい。個人的にはマツさんがどれだけの実力者か見ておきたいところではあるんだよな。


「遠出するわけじゃないから大丈夫ですよ。近場をちょこちょこと散歩がてら、第二グループに混ざって戦闘するだけです。そのぐらいの運動はさせてくれてもいいでしょう? 内にこもってばかりだと何かと陰鬱になりますし、私も気分転換の何かが欲しいんですよ」


 マツさんはこちらを時々チラチラ見ながら皆を説得しようとする。これはあれか、俺に助け舟を出せという合図か。うーん……どうしたもんかな。


「質問なんですが、ここ最近でその何かがあった、というケースはありますか? 」


 質問を投げかけてみる。全員が考えるが、意見は出ない。つまり、何もなかった、ということだろう。


「無いのなら、我々が少しの間ここから出かける間、一時間か二時間か、その間マツさんには私たち第二グループの成果をちゃんと出せているかどうか監督してもらう、というのはどうでしょうか。実際私もマツさんに向けてちゃんと頑張ってますよ、と報告だけでなく実際に見て判断してもらう事も必要だと思うんです」


 うーん、でもなあ……という声も聞こえる。もう二押しぐらい必要だろうな。


「今回出かけて何か問題があった場合、今後マツさんの自由についてはもっと厳しく管理される必要がある、ということになるでしょうが、ここ最近のところ誰かの調子が悪くなったりマツさんが居なければすわ大惨事、というケースがなかったなら、多少の外出をされても問題はないと思います。後、純粋にマツさんの実力を知りたいです」


 俺から出せる声はこのぐらいか。マツさんのほうを見ると軽くウィンクしていた。


「三郎さんは私が戦っているところをまだ見たことが無いようですし、一応ここの管理者としてちゃんとした能力を持っているんだぞ、というのを実感してもらうためにも必要だとは思うんですがどうでしょう? 」


 その場にいる全員がう~んとうなる。やがて、シゲさんがしょうがない、という感じで膝をパンと叩き言った。


「わかった、マツさんにはこっちへ来てもらおう。ただ、いつも通りのことしかやらねえぞ? 三郎さんに一発殴ってもらってその後を倒していく。階層はこの二階層だけを回る。それでええかい? 」

「助かりますよ。久しぶりの運動ですからよく体をほぐしておかないと。では、出る時間になったら呼んでくださいね」


 マツさんは嬉しそうにそういうと、戦闘の準備を始めたらしい。全員解散して行った。


「大丈夫かえ? 」

「いつもどおりにしとりゃええがね。変なことするからかえって心配させるんよ」

「シゲさんも心配性やけえな」


 そんな言葉が後に残る。マツさんはちゃんと動ける人なんだよな? もしかしたらとんでもなく運動音痴だったり、体が凝り固まってて俺達より動けないとかそんな事は無いよな?

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ