表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『夢の風船』『鉤の遊び』

作者: イプシロン

『夢の風船』


ぼくは自由に、なりたくて、

夢の風船、膨らませたよ。

赤鬼みたく、頬赤く染め、

夢を吹き込み、結び目つくり。


それとばかりに、空に飛ばせば、

風船は、ふわふわ飛んで、

ゆるーんと、落ちた。

ぼくは何度も、繰り返したよ。


蜂に刺されて、ぱちんと破裂。

ぼくは悲しく、俯いた。

裸のお腹に、結び目ひとつ。


お臍がぼくに、微笑んだ。

きみもまた、風船さ。

大地はそれを、見護ってたよ。



『鉤の遊び』――柳田國男「遠野物語」より


「屁ぇひったんは、誰かいな?」

童のひとり、問いかけり。

「屁ぇひったんを、当てましょう」

巫女(いたこ)の娘、(かや)を手折って、


鉤を作りて、目を閉じた。

童たちは車座くんで、

ぐるりぐるりと輪を描き、

声を揃えて謳ったよ。


なむさいむさい 

べろべろの鉤は

とうたい鉤で

だれやひった、かれやひった

ひった者に、ちょっちょ向け


娘、目を開け、鉤を手に、

「ひったんは、しゅうちゃんですね」

云われた男子(おのこ)、驚いた。


「ひったん誰や、問うたるとき、

おらは気づいてしまったさ。

人のせいには、ならぬなり」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ