行き過ぎの
あなたとは将来が見えないわ、と言われて振られた。見たこともない将来というやつに絶望されたのだ。将来がどうなるかなんて、僕には分からない。でも彼女には僕の将来が、彼女の望むものではないと知っているらしかった。
ああ、そうか、彼女はきっと未来人なんだな、と思う。牛乳パックの口を開けて、失敗する。もしかしたら、これも、彼女に知られていたことかもしれない。
僕は彼女に振られた次の日、いつものカフェに、彼女を呼び出した。もう彼女ではないけれど、ずっと彼女といえば、僕には彼女だったので、これ以外彼女を表すための言葉はない。
呼び出した僕が言うのもおかしいけれど、振った翌日によく会えるな、と思った。
「ききたいことでもあるの?」
彼女はやはり、僕に呼び出されることを知っていた。
ここで、僕の未来はどうなるの、なんて馬鹿げたことは聞かない。それはなんか、反則というか、後出しジャンケンみたいな気がした。
「僕と別れて、君は幸せになれるんだね」
彼女が嬉しそうに笑ったのを見て、それでいいと思えた。