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【第一話】オラリオン

「ーー、それでは、出発致します」


駅員の掛け声と一緒に汽車が動き始める

この世界にも電車のような交通機関が存在している。利用するのは久々だけど、それなりに料金が高いため、あんまり使わない


「久々に汽車を使うのもいいものじゃな。して、お主は朝から何をそんなに悩んでおる?そんなに試験が心配か?」


…顔に出てたのかリネばぁちゃんに悟られる


「いや、オラリオンに行くのが楽しみでちょっとそわそわしてただけだよ」


咄嗟に出たことを言い、窓に目を向け、朝起きたことについて考える


「(あれが夢なのか)」


小谷さんに告白される夢を見た

普通の人からすれば夢を見ることは当たり前で違和感なんて覚えないだろう。ただ俺は物心ついた時から夢というものを経験したことがなかった。いつも眠りにつけば別の世界で目覚め、一日を事細かに過ごしていた。


「(向こうの世界で目覚めなかったのは?黒崎としての人生はどうなっている?)」


初めて経験するこの事象に完全に悩まされている…だが考えても答えなんて出るわけもなく時間だけが過ぎていく



「ーー、オラリオンに到着です。お忘れ物がないようお気をつけください」


「(…ここがオラリオン…!)」


現在の時刻は16時を指している。夕暮れ時だ。駅から出ると目の前には見たこともない建物や屋台が広がっている。そして何より


「(ものすごい人の数だ)」


今までは小さな村や都市を転々としていたためか、こんなに人が多いところは初めてだ。

流石世界で最も栄えている国家だ。


「そこの者たち、許可証の提示を願う」


歩いていると渋めな男の声に引き留められる

銀色の厚い鎧を纏ったその男はオラリオン直属の護衛団『オラリオンナイツ』だ。本で読んだことがあるが、初めて見た。


「許可証ってこれのこと?」


昨日リネばぁちゃんから貰った手紙を渡した


「しかと受け取った。入国を許可する」


男がその手紙に触れると、昨夜消えた鳥のマークが再び現れた。どういう仕組みなのか…


「ただ、入国を認められるのは招待された1人だけだ。そこのおばあさんの入国は認められない…!?」


護衛団の男がリネばぁちゃんを見て驚愕している。え?なにどうしたの?


「貴方様は…まさか…ルーズ・リネージュ様!?戻ってこられたのですか!?」


ルーズ・リネージュって言ったら俺でも知ってるぞ!オラリオン魔法学校で副校長を務めていた世界でも有数のSS級魔道士だ。

でも確か数十年前くらいからオラリオンを去って旅をし始めてると聞いているが…


「俺の知っているルーズ・リネージュと言ったらすごく美女って感じのお姉さんなんですけど、何かの間違いじゃないですかね?」


そう、生で見たことはないけど、雑誌に載ってた情報とここにいるリネばちゃんは一致しないのだ。というかリネばぁちゃんの本名聞いたことないなぁ…


「見間違えるわけがなかろう!このオラリオンナイツ第七部隊隊長ゴードンの名にかけてな」


「…あとでこっそり入る予定じゃったが、ゴードンに見つかってしまっては仕方がないか…変身メタモルフォース!」


リネばぁちゃんの体が光り輝き、煙が覆う

煙が消えそこには…


「まじかよ」


思わず驚愕してしまった…だってあのリネばぁちゃんが!


「ロードにこの魔法を見せるのは初めてじゃったな…見惚れてないでさっさと行くぞ!」


そこには正真正銘のルーズ・リネージュがいた。その美貌についつい見惚れてしまった


「おっと…この姿のままだと騒ぎになってしまうな…」


そう言ってまたさっき同じ魔法を使い見慣れた老婆に戻った


「ゴードンよ、学園長にはすでに話を通しておる。わしも久々にここに滞在する予定じゃ…通してもらえるか?」


「もちろんです。貴方様を止める権限は私にはないですので…どうぞお通りください」



ーー、

「…で、リネばぁちゃんどういうことだってばよ」


宿屋に着いた俺はリネばぁちゃんと食事をしながらさっきの件について問い詰める


「見たままじゃが?」


食卓に並んだお肉を口に運びながらさらっと答えた。いや、それはそうだけども


「それに別に隠してはいなかったぞ?聞かれたら答えるしのぅ」


「ぐぬっ」


確かに聞いたことはないよ?

だって物心ついた時から一緒にいたし、リネばぁちゃんで定着してたからね!?


「そんなことより、明日はいよいよ試験じゃな。しっかり食べて早く寝るといい」


…いろいろありすぎて忘れてたけど、明日オラリオン魔法学校の試験があるんだよなぁ

もう外も暗くなってきた


「リネばぁちゃん、試験受かったらしばらく会えなくなるよね…?」


ついつい口から出てしまった言葉を聞いて、リネばぁちゃんの手が一瞬止まる


「だからその…これ作ったんだけど、今までの感謝として貰って欲しい」


そう言ってリネばぁちゃんに錬金で作ったネックレスを渡す


「ほぅ、綺麗じゃな。お主も成長したな」


そのネックレスは旅をしてる間にゲットしたクリスタルと市販で売ってた白い真珠を素材にしたネックレスだ。特に特殊な効力とかはないけど、喜んでもらえたようで嬉しい


「明日の試験受かってこい!ロードよ」


「うん!もちろん受かるよ!」


そんな会話を交わしながら寝室に戻った

いやー、そわそわしてきちゃったよ



「……で、いつまでそこにおるんじゃ?」


ロードが寝室に戻ったのを確認し、隠れてる者に問う


「…気配完全に消してたんだけどなぁ…流石は《妖艶ようえん魔女まじょ》ルーズ・リネージュだね」


何もない空間から青いシルクハットを被った20代くらいの男が出てくる


「はぁ…随分見ない間に大きくなったようじゃなアインハルトよ。何の用じゃ?」


アインハルトと呼ばれた男は向かいの椅子に座った


「いや、ルーズ・リネージュが帰ってきたと聞いてね、恩師に挨拶にきただけだよ」


そう言ってロードが入った寝室に目を向ける


「彼があの?」


「そうじゃ。まだまだ未熟なところもあるがいずれオラリオンだけじゃなく、この大陸全てを背負う存在になるだろう」


「ふーん…なるほどね…明日の試験が楽しみだよ。僕はこれで失礼するよ」


そう言い残して姿を消す

《人物録》

【ロード】

・本作における主人公で15歳

少し肩にかかるくらいの黒い髪に一重の黒い瞳、身体つきは鍛えられてるためシュッとしている。錬金魔術が扱える。どこで生まれたのか不明だが、旅に出たばかりのルーズ・リネージュに拾われ育てられる。


【ルーズ・リネージュ】

還暦を迎えた65歳のおばあちゃん

薄桃色の肩までかかる髪と青い瞳をしている。

SS級の魔道士の認定を受けており、かつてはオラリオン魔法学校の副校長を務めていた。強化魔法と変身魔法に優れており、体術に至ってはオラリオン屈指の実力を有している。


【ゴードン】

オラリオン護衛団のオラリオンナイツ第七部隊隊長で42歳。身長は185㎝あり、渋めなおっさん



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