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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

指示出しラジオ

作者: カズキ
掲載日:2022/07/12

「先生の指示に従ったんです」


私は、そう言った。

私の言葉に、目の前に置かれたノートパソコンの画面に文字が浮かび上がる。


――他者に命令されたということですか?――


「えぇ、そうです。

救え、救え、と先生が言ったのです」


――アナタはそれに従った??――


「ええ、そうです」


私は文字に答えると、ぐるりと周囲を見回した。

教室だ。

私が通う、学校の教室。

真っ赤に染った、教室。

その血の主である、クラスメイトたちもまた血まみれだ。

血まみれで、たおれて、動かない。

私は視線を黒板へやる。

黒板の前には、教壇がある。

教壇の前には教卓がある。

その教卓の上には、【先生】がちょこんと置かれていた。

それはレトロ、と呼ばれる真っ黒なデザインのラジオだ。

このラジオが先生なのだ。

私に言葉をくれる先生なのだ。


私の机には文字が浮かぶノートパソコン。

パソコンの文字が消え、また新しい文字が浮かぶ。


――だから、クラスメイトを救った?――


「えぇ、救いました。

先生がそうしろ、と言ったので救いました」


私が文字に答えると、先生から雑音が流れはじめる。

ザザッ、ザーッという雑音が流れ始める。

先生から雑音が流れ始める。

それはやがて声となる。

声となって、私に語りかけてくる。


《救いましょう♪

全てを救いましょう♪》


それは、歌だった。

楽しそうな歌を、先生は歌いながら流し始める。

まだまだ救わなくてはならないらしい。


《アナタにはその力がある♪

全てを救う力がある♪》


私は椅子から立ち上がる。

パソコンの画面に文字が浮かぶ。


――まだ声は聞こえますか??――


《さぁさぁ、勇者様?

剣を手に取って、救いましょう♪

この世の可哀想な人達を救いましょう♪》


先生の声と、文字が重なり合う。


私は、剣を手に取る。

小さな、それを手に取る。

銀色のそれを手に取る。

私が答えなかったからだろう。

パソコンの画面の文字が、言葉が違うものに変わる。


――また指示に従うのですか?――


私は答えた。


「それが、正しいこと、ですから」


誰かを救うのは正しいことだ。

誰かを苦しみから救うのは、正しいことだ。

私は、それをしなさいと、【先生】から言われているのだ。

私は剣を手にして、教室を出る。

向かうのは、隣の教室だ。

問題児ばかりを集めた教室だ。

人の形をして、教壇にたち続ける偽物の先生を、剣を振るって救う。

それから、その教室の生徒たちも救う。

剣を振るって、救う。

彼らは救われていく。

私の手で救われていく。


その事実に。

その現実に。


私は嬉しくて、笑顔になった。

だって、皆、私を何も出来ない馬鹿だと言っていたのに。

そんな馬鹿な私に救われるのだ。

私しか、彼ら彼女らを救えないのだ。


気づくと、教卓の上に先生がちょこんと置かれている。

古びたラジオが置かれている。

先生のスピーカーから声が届く。


《よく出来ました♪

さぁさぁ、救いましょう♪

もっともっと救いましょう♪

哀れな子羊が、あなたを待っています、勇者様♪》


先生に褒められて、私はさらに嬉しくなった。

もっともっと、褒められるために頑張ろう。

私はまた、別の教室へと剣を携え向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さぁ先生、次の救われるべきヒトたちはどこに?(狂信者の眼光)
[良い点] 神の声が聞こえちゃった人みたいな。 あり得る話なので、怖いですよね~。 ((( ;゜Д゜)))
[気になる点] クラス毎に異常者1名入れてバトロワしてる?
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