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レンアイ放送  作者: 逢坂まなみ
都市伝説
3/55

第2話

私がちょうど卵焼きを飲み込んだ時、

スピーカーがキィィィィィンと

不快な音を鳴らした。



思わず耳をふさぐと、

クラス全員が同じ行動を取っている。




美咲、初回からなんてミスをぶっかましてくれたんだ。



でも美咲はミスさえ笑い話にしちゃうんだから、今頃新しくできた友達と


「やらかした~!」


なんて言って笑っているのだろう。



いいなあ、そのコミュ力。



私も欲しいや。




なんて思っていると。






《本日の放送は、こちらで行います。

放送委員の生徒は、各自お昼休みを過ごしてください。》






スピーカーから、変声機を通したような

耳障りな声が聞こえてきた。



腕のあたりがぞわっとする、

不快な声だ。



私は思わず肩をすくめた。





「ただいま~。」




私が顔をしかめていると、

美咲がスキップで帰ってきた。




「何、今の放送。」



「知らな~い。

なんか放送室に着く前に流れたから、

普通に戻ってきちゃった。」





面倒だったしちょうどいいや、なんて言いながら、美咲は私の膝の上に座ってお弁当を食べ始めた。



美咲は、さっきの放送を何とも思っていないようだった。





「え、ねえ。

さっきの放送、変じゃなかった?」



「変って?何が?」



「いや、その、声もそうだし、

内容も全部。」



「そうかな?まあ、こちらで行いますのこちらって誰だろう~とは思ったけど、別に変じゃないと思うよ?」



「うーん……そうかな……」




唸る私を見て、

美咲はぷはっと笑った。




「瑞季さ、いつも思うけど考えすぎ!

深く考えないで放送聞こうよ。

なんか楽しい企画かもしんないじゃん。」





美咲はそう言って、

また豪快にお弁当を食べ進める。




確かに。



いつも楽しそうな美咲とは対照的に、

私は何かと考え込んでしまう癖がある。



それは、中学生の時に美咲に指摘されて、

初めて気付いたことだった。



その時も、こんな風に



「気楽に行こうよ!

その方がきっと楽しいって!」



と言われた記憶がある。




せっかく美咲がそう言ってくれたのに、

全然気楽に生きれてないじゃん、私。



美咲の言う通り楽しい企画かもしれないのに、なんでも疑ってかかるのは間違っている。




それでも、私のモヤモヤは消えなかった。



誰か分からない人からの放送ということだけでなく、もっと深い何か。



それが、私を待ち受けているような気がしていならなかった。





「何するんだろうね~。

でもなんか、普通に業務連絡的なやつだと思うけど。」




美咲は一人でそんなことを言っていた。



説明的な口ぶりに、私を安心させようとしているのが透けて見えて、申し訳なくなる。



考えすぎるのはいいけど、このモヤモヤは

美咲に悟られないようにしよう。



あまり美咲に心配をかけたくない。



とにかく、次の放送が来るまでお弁当を食べてリラックスするのが一番だ。




そう思った矢先だった。






《これから、レンアイ放送を始めます。》






また、奇妙な声が教室に響いた。



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