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レンアイ放送  作者: 逢坂まなみ
蝶の運命
21/55

第20話

「え~!何言ってんの?」



「いや、別に信じてくれてるなら

それでいいけどさ?」



「……え?」




二人の間に不穏な空気が流れ始める。



あげはちゃんも、

とうとう不安を抱いたようだった。




「なに、え?

まさか浮気とかしてないよね?」



「さあ?放送で分かるんじゃん?

な、優実。」




そう言って龍ちゃんは階段を見上げる。



そこには、私と同じクラスの

浜辺優実はまなべゆうみが立っていた。




「……え、なに、どういうこと?」



「だから放送聞いたら分かるのにわざわざ言うことないだろって。」



「なんなの!?はっきり言ってよ!!」




修羅場だ。



完全に蚊帳の外な私は、

どうすればいいのか全く分からない。




自分の立場なら、仲良くなったばかりの子に修羅場を見られるのは嫌だ。



目の前で人が死んで、トラウマを抱えている子の前で死ぬのも嫌だ。



その仮定を本当だとして鑑みるなら、私はこの場を立ち去った方がいいかもしれない。



もし本当に龍ちゃんが浮気をしているなら、あげはちゃんは殺されてしまう。



そんな現場は、もう見たくない。



あげはちゃんが大切な人になってしまったからこそ、私はこの場を離れたかった。






そう思って、振り返ると。






また、黒パーカーの男が迫ってきていた。





かなめちゃんの時とは違う人だ。



顔は見えないけれど、

さっきの人より少し痩せていて背が低い。




やっぱり、黒パーカーの男は何人もいるみたいだ。



しかも殺す標的のもとへ

確実にやってくる。



この人たちが生徒全員の顔を把握しているわけがない。



ならば、GPSか?



それとも、まさか、先生たち……?




何にせよ、私たちの行動は完全に監視されているということだ。




あげはちゃんに気付かれないように、私はまた悲鳴も上げずその男と睨み合っていた。



不思議なもので、

もうあまり怖さは感じない。



対峙しても戦えそうな気さえする。



さっきよりひ弱そうな見た目だからだろうか。



それとも、相手の素性が何となく分かりそうだから?



もし自分が殺されそうになっても、

男を倒して生き残れるかもしれない。



そんなことを考えた。






《榎本龍太郎くんの好きな人は、

C組22番……》






放送がまた始まる。




あげはちゃんは、B組12番。



C組22番はつまり……




そこまで考えを巡らしていた、その瞬間。




あげはちゃんは、その場に転がっていた

阪本の死体から包丁を引き抜いた。




なぜか放送もいったん止まり、

少しばかりの静寂が流れる。



そのすぐ後に、優実の断末魔のような叫びが聞こえてきた。




「イヤァァァァァッ!!」



「死ね!!お前だけは絶対に殺す!!」



「おいっ!あげはやめろ!」




まるで地獄絵図だった。



包丁を何度も優実の腹に振り下ろすあげはちゃん。



それを必死に止める龍ちゃん。



優実は既に白目を剥いて、

完全に息絶えていた。




私の目の前の男は、

ナイフを持ったまま立ち尽くしている。



そして、静かにあちらの様子をうかがっていた。




「少し、少しだけ待ってください。」




私は小さく男に語りかけた。



かなめちゃんの時のように、殺意に満ちている目をしていなかったからだ。



男は、何も言葉を返さなかった。




「あげは!お前はもう死ぬんだよ!」



「まだ……まだ放送は終わってない!!」




そう言って、あげはちゃんは何度も何度も優実の腹に包丁を突き刺す。




「死んでる!死んでるからやめろ!

優実を殺したって何も変わらないだろ!」




龍ちゃんは必死に叫んだ。



あげはちゃんを後ろから押さえつけようとしているが、男の力を持ってしても何故かあげはちゃんに振り払われてしまう。



何度も何度もあげはちゃんに挑むが、

観念したのか、とうとう最後に


「黙って殺されとけよ!」


と暴言を吐いて、

逃げるように階段を昇って行った。




……なんて最低な野郎だ。



彼女にそんな言葉を投げつけるなんて。



信じられない。



仮にも一時は付き合っていた両想いの二人だったのに、何がどうして。





私がそんなことを思っていると、

あげはちゃんは龍ちゃんの肩を

ガッと掴んで階段から引きずり下ろした。



そして。




「なに他人事みたいな顔してんだよ。

テメーも殺して、私は生きるんだよ……!」




そう叫んだ。


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