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〉ラインヴァルト
カリバの町へ向かう途中、一人の不思議な女性に出会った。
少女と言って差し支えの無い風貌なのだが、何故か女性と表現する方が合っているように思う。
青みを帯びた黒く艶やかな髪と、黒い瞳。
見たことの無い・・・少し露出が多いように思う服装。
おそらく異国の民であろう風貌だが、しかしそれ以上の妙な違和感を覚えた。
―――――――とても美しいのは確かだが。
産まれ持った能力のお陰で、私は人の性質がイメージとして何となく分かるのだが・・・彼女のイメージは今までに感じた事の無いものだった。
それはまるで、若草についた一粒の朝露。
朝陽を浴びてキラキラと輝いているが、風に揺れれば地に落ちて消えてしまう。
手を差し伸べて、その朝露を受け止めたい。
自分の手の中で守りたい。
そんな衝動に駆られた自分に驚く。
彼女を守りたい。
騎士として、日頃から人々を守る事が使命だと思っている私でも、この感情は・・・初めて感じるものだった。