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シーナの錬金レシピ  作者: 天ノ穂あかり
レシピ5
231/264

〈ある人影の会話

 そこはある国の聖堂。

 背後から射す月明かりに青く浮かび上がり、美しくもどこか物悲しい雰囲気を漂わせる聖女アメリア像の前に佇む人影があった。

 その静寂の中へ、荒々しく扉を開け放ち一人の男が突入してくる。


「ここに居たのかッ」

「どうかしたか」

「どうかしたかだと⁉オーディンが落ちなかったんだぞ!」

「その事ですか。アレは元々貴方の案だろう?我は手を貸したに過ぎぬよ」

「影魔獣は本当に送ったんだろうな」

「勿論。ただ、彼方の戦力が想定以上だったのだよ」

「アクアディアの一行か───クソッ!」

「だから言っておるだろう。西側から攻めよ、と。彼方なら直ぐにでも征服できよう?」

「旧帝国領は呪われた地だ」

「呪いなぁ・・・」

「───ッッ兎に角ッ!貴殿にはまだやって貰いたい事があるのだ。あまり頻繁に姿を消されては困る!」


 荒々しく聖堂へ入って来た男は、その勢いのまま捲し立てると、不都合な話題を避けるようにその場を去っていった。


「全く、呪いだなどと。領土を広げようと息巻く割りに肝の小さい。あの調子では完成体にはなれないかもな?」


 再び一つになった人影は、それでも尚話続けていた。独り言かと思われたその問いに、何処からともなく答えが返ってくる。

 

『ふん。成らねばそれまでだ。それよりも───の───がそろそろミョーサダールに着く頃だろう』

「あぁ。そろそろだろうな」

『行かぬのか?』

「行ってどうする」

『───が眼を覚ますやもしれんぞ』

「良いことじゃないか。それに───には破点が無い」

『安心するがいい。既に───を向かわせた』

「なッ!───と彼女を会わせるのは危険だと言ったろう」

『アレは手に入れるべきだ』

「彼女は───アでは無い」

『だがアレも人───だ。我は、アレの───がホシイ』

「許さんぞ」

『許さねばどうする?───に行く気になったか?』

「・・・お前はもう引っ込め」

『クククッ───では、な』


 その後、静けさの戻った聖堂に佇んでいた人影は、突如として現れた漆黒の亀裂の中へとその姿を消した。

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