宴の後に
すみません。GW中多忙の為、今回はかなり短いです。
「では、今日はこの辺でお開きにしておこウ」
結局その後は垂れ麦の話で盛上がり、友好的な雰囲気のまま宴を終えることが出来た。
まぁ、ただ一人グェイア夫人だけは終始警戒する様にこちらを窺っていたけれど。
本当はグェイア総長にコウガをどう思っていたのか聞いてみたかったけど、その為には私達とコウガの関係も話す事になり、それと同時にグェイア総長にコウガの存在が知られてしまう事になる。
もし、グェイア総長も義母や義弟と同じ様にコウガの事を疎ましく思っていたとしたら、コウガの身が更に危険になることは間違い無いし、その所為でアクアディアとの関係が拗れれば、ウールズへの入国は叶わないかもしれない。
でも宴で話をした感じ、グェイア総長は国の事をしっかりと考えられる、堅実な為政者といった印象だった。
まぁ、コウガと同じで必要な事以外はあまりの喋らないし、表情もあまりの変わらないから無愛想な印象も受けるんだけど、そこはコウガで慣れてるから、ね。
「グェイア総長は立派な方の様ですね」
「そうですね。グェイア総長は立派な方でしたね」
「ハハッ・・・そうですね。コウザ殿の態度は誉められたものでは無かったですからね」
宴の帰り、私の言葉にラインさんは苦笑を浮かべた。
「あれはダメですよね。黒豹の事もありますし、ちょっと心配です」
「ええ。黒豹に関してはミーミルの方にお任せするとして、滞在期間が長くなればその分彼の敵愾心も増すでしょうし、何かしら行動を起こさないとも限りません」
やっぱり、滞在期間が長くなればその分コウガが狙われる時間が長くなる。
宴でのコウザのあの態度と、グェイア夫人のあの視線を考えると、滞在期間中にコウガが自由に出掛ける事は難しいだろう。
実際、彼等がどこまでするか分からないけれど、呪いの魔道具を使ってまで排除しようとしたのだ。次は命を狙われないとも限らない。
もし、コウガが命を狙われたら・・・。
「ですが私達も警戒は怠りませんし、コウガ自身も自衛出来る力は有りますから、それほど心配は無いでしょう」
私の不安を感じ取ったのか、ラインさんは何でも無い事の様にサラッと、でも力強くそう断言してくれて、更にフワリと笑顔を浮かべた。
「それに・・・垂れ麦でしたか。私も初めて聞きましたが、シーナさんの国の主食、私も食べてみたいです」
「そうですね。それに関しては本当に実りの多い宴でした。垂れ麦を分けて頂いたら、みんなにも食べて貰いたいです」
「楽しみですね」
「はい!」




