2話 【バァル星系宙域、第3訓練エリア】
地上エリアに降りず、先に訓練を始める。
『3時方向にターゲットを発見。距離は3.9宇宙戦闘距離。タイプは攻撃型2。回避型1。こちらに向けて突撃加速中』
策敵のAIクルーから報告、メイン画面の隅に詳細が書き込まれた窓が立ち上がる。
「全艦攻撃準備!回避行動を取りつつ近寄ってきた所を一斉射撃で仕留める!」
そう命令を下すと、新たに購入&再編した機動艦【クリューデアビスⅡ】を旗艦とするAI艦10隻が一斉に動き出す。
と、そこに。
「おーい紅夜!ターゲット見つけたならコマンドリンク頼む!間接射撃で援護するから」
通信回線が開き、ヘリントンの機動艦【アクリス】率いる5隻が俺の左後方、0.5宇宙戦闘距離に展開する。
「分かった、このままリンク繋げる。いくぞ!」
目標に向かって艦首転回完了、各艦回避行動準備を行いながらターゲット補足。だがそれと同時に突出してきた攻撃型ポッドが低出力ビームを数発発射。
放たれた多数の閃光が宙域を切り裂いて艦隊に迫る。しかし既に回避行動を取っていた艦隊には命中せず、そのすぐ脇を虚しく通り過ぎただけであった。
「目標ロック!撃て!」
先ほど攻撃してきた攻撃型ポッドに向け、お返しとばかりにビームキャノンを発射。ポッドは回避行動を取るが距離が近すぎた為に間に合わずに数発が命中。
ダメージ判定が一定値を越えたと判断したポッドは短く撃墜信号を発信してその機能を停止させた。
「よし!一つ撃墜!」
しかし喜んでいる暇は無かった。艦隊上方から回り込んできたもう1機の攻撃型ポッドが右翼に展開させておいた護衛艦の1隻に攻撃を仕掛ける。
『護衛艦G-1に命中。損害判定は中破』
オペレーターの報告。その最中にもポッドは更に回り込んで目標に止めを刺すべく攻撃準備、俺は急遽G-1に全力回避するよう命令するが間に合わないタイミング。だが。
『攻撃型ポッドに攻撃が命中。撃墜信号を確認』
「いよっし!貰った!」
通信画面にヘリントンの姿が現われガッツポーズを取る。
「おおう!助かった!」
礼を述べながら俺はダメージ判定を受けた艦に後方へと下がるよう命令。残るは回避型ポッド1機のみ。
『2時方向に目標を発見。距離1.2宇宙戦闘距離』
策敵からの報告。
『回避運動を取りながら本艦に接近中。右翼展開中のA-1と後退中のG-1による攻撃は回避されました』
「艦隊周囲にABP散布!ヘリちゃん、そっちから狙撃出来る?」
へリントンに打診、すぐさま『OK!』と返事が帰ってきた。
「俺の完璧な精密射撃を見せてやるぜー」
ABPを散布した直後に回避型ポッドからのビームガトリング攻撃が始まった。
本来は防御系兵装である為1発あたりの威力は非常に低いのだが、長時間攻撃を浴び続けると流石に無視出来ないダメージになる。
だがその弾幕の嵐はABPの防御膜によって拡散、無効化して幾つもの小さな光となって宙域を照らしていた。
「まだか?」
「…よし、行動パターン把握、捕らえた!」
短いやり取りの後、へリントンの【アクリス】が後方から長距離ビーム砲を放ち。
『命中。撃墜信号を確認。ミッションクリア。おめでとうございます』
オペレーターが祝辞を述べると同時、片隅に表示されている経験値表示画面に経験値が加算された。
訓練の前に行っていた宙域探査分の経験値も合わさり、双方の艦のAI能力が少しだけ向上。
「よし訓練終了。俺はこの後バァルに降りて買い物するけど、ヘリちゃんはどうする?」
俺のその提案にヘリントンは『いいね』と賛同。
訓練用ポッドが運営に回収されたのを確認した後、二人でバァルの宇宙港へ向かう事となった。




