今だ。ヤれ!
こんばんわ
良い頃合いだろうという事で、更にグムグムと大きくなると雲海で見通しが悪くても、遠くから見れば何だアレ?と思い始める大人達がチラホラと出始めた。更に大人の声は、リコ一家の大黒柱である者に異変を知らせるのだった。
「何処だリコ!?まだ仕事時間じゃ無いぞぉ!川で何を遊んでいる。魔物が現れたか?……違うな。門番の奴等が居ないという事は、ソノ宙に浮く青い蛇は魔物では無さそうだな。」
リコの家から上半身裸の男性が勢い良く出て来ると共に、リコを叱りつけるのだった。『お父さん』とリコから発せられると、上半身裸でギャランドゥが目立つ男性はリコへと近付いて行き途中で、男の目線の先にはナオミへと移った。
「リコ君と遊びたかったの!何も、リコ君のせいじゃ無いもん!」
必死にリコと自分を庇うかの様に正当化しようと必死でギラギラに盛っているギャランドゥお父さんに訴えるのだ。
そんな様子を俺は、更に更に斜め上から目線を下ろし見守っていた。どうやら、リコのお父さんは俺が何処かから沸いて出て来た岩だと思っているらしく、俺の腹に手を当て『ナオミちゃん、俺達は夜の警備を任されていて俺の家が最終防衛ラインだ……』とペラペラ話し込んでいた。
「では、コレからどうするので?」
ギャランドゥお父さんは、何処からか聞きなれない声を掛けられた方向を見た。
「お前、誰だ?」
"ハーン!"と子供が大人であるかのような大人の声を真似し、ソイツの周りからキラキラと何か光り輝くとシュパパーンとウォータースプラッシュの様に鮮やかに舞いを見せてから『私?私は……』とキレッキレッのポーズを取りながらタメて言い放つ。
「ドラゴンパーティーの荷物持ち!影の荷物持ちとは私の事よ!」
「(うん。そうだな。)」
ソイツは、川の上で踊り舞って見せたのだ。なんて優雅であり、なんて尺を稼いだのだろうか。
間違いなく"お前誰?"と言われた瞬間、有頂天となっていた俺達ドラゴンパーティーの荷物持ち名をウミは尚もキラキラ演出を継続していた。
何秒だろうか?リコのお父さんが、荷物持ちを何往復と上下見ていたのが斜め上から見て取れる。
「そうか。リコ!川で遊ぶと夜は起きれ無くなるぞ」
何のタメに上下見たんだ!?彼女は浮いているよ!俺は叫びたい。いや!伝われ俺の気持ちを。
「おいおいおいおいオイ。ドラゴンパーティーなんだぜ……無視はいけねぇなぁ。」
俺はな、相手が大人の男なら普通に話せるのさ!
突然上空から投下された言葉と音量に、開いた口が閉じる事は無い。更にお腹に手を当てていたが、早々と離れて行かれた。
驚いて声すら発せ無いリコのお父さんを見て、ヤらなくてはいけないであろう説明をしたのだ。
『俺か?俺はドラゴンパーティーのドン!』と言うと共に周囲の川のみを無重力にさせる。周りに川の粒と稚魚やドンデンが、ウミのキラキラ演出と相乗効果となったに違いない。
お父さんが地面に川が無いと理解してから、俺はババババッと足さばきを見せた。これは、最近歩ける様に成ったからでタダの自慢である。
そして、その足さばきが止まると同時に『名を新八って言うのさ』と言ってみせた。
しかし、お父さんは止まっている。
「俺達な、村長にコカトリスの討伐を任されたのさ。そして、ナオミがリコ君と遊ぼうとしている。俺のホタテに乗った時点で、コレはもう……とっ友達なんだよ!ナオミはどうかは知らないけどな。
が!俺は全力で、リコ君がナオミと遊べる環境を作ってヤるって決めた。だから、あんたは見ていて欲しい。」
☆「ナオミちゃんも、きっと友達と思ってくれているよ」
「(ありがとう大日さん)」
そう言った瞬間、更に大きくなって行くのだった。
それから、新八は村の周りを手でドーナツ状に掘ると続けざまにイナリとイチャラブした川へと繋げた。
途中、ドーナツ状の横幅が開けて行きリコん家が俺の手によって潰れた。更に、他の川の守りをされていた人や川方面の門番の門と家を三軒程潰してしまった。
これは、至って真面目にしているが手は大きいんだもん!仕方がない。
小さい彼等は小さく騒がれ『俺の家がぁ!』と聞こえて来た。
「大丈夫。俺は村長宅を詳しく見ているから、直ぐに直せる。」
☆「村長宅に入ると同時に、予め逃走経路を調べたお陰だな。」
最初に壊したリコん家にフォローとして『通りまーす』と大きな手で引っ掻く様に土を掘り進み、『家は村長と同じ家を建てますので退いて下さい』と言いながら退避する人達を見てから、バキバキ壊し予め広く取っていた村の周囲に村長宅と同じ物を想像魔法で四つ建てて見せたら所でリコのお父さんはホッとしていた。
まだまだ!
「終わったから、宙に浮いているドンデン達を下ろすぞ。皆!心してかかれよ。」
"今だ"と声は掛けて無いが、荷物持ちが名アクションをした後ポンッとコカトリスを出現させた。
「あ、大きい。」
ソコで、初めて目の前にコカトリスを見た感想を俺が発言したのが衝撃だったのか『お前の方が大きいだろうが!』とリコのお父さんはイキイキと発言された。
「なんだココは?……ほう、旨そうなっアブゥゥ」
コカトリスの蛇さんは辺りを見渡し、欲望のままに発言しようとすると突然上から巨大な手が降りて来て水中へ押し付けるのだった。
「あ、蛇が空気を吸ってるよ。」
「そうか。じゃ」
押し付ける手を一旦解除すると、蛇の頭を摘まみそのままコカトリスの両足を一緒に掴んで水の底へと引きずり込んだ。
「ハハハ。そんな羽ばたいても水は重いだろう。」
そう言いながら、もう片方の手で水をすくって首一つのみ出た鳥の頭にゆっくりソッと水を掛ける。
「……」
☆「新八っちん。その半殺し、頂けないよね?村の人がドン引きだよ。」
☆「そうだぞ。ドンデン君もドンデンの子供も固まっているぞ。」
……じゃあ、どうしろってんだい!?
なんやかんやで、釈迦のアドバイスを聞き手を緩めた。そして、俺はその通りに実行する。
「俺が両手で押さえ付けているから!早く稚魚達に攻撃させるんだ!」
結局、最初のヤリ方で弱らせた。
そして
「エリザベスちゃん達が大きくなったぁ!」
大電魚を抱き抱えながら、子供達の元気で嬉しそうな声が聞こえて来るのだ。俺は、良い行いを又もしてしまったようだぜい。
今はもう縮んで、いつものスタイルだ。
「言うの遅くなったけど、大電魚は魔法を使う。水面上飛ぶ鳥を風魔法を使用し打ち落とすし、水に侵入すればたちまち餌食となろう。」
「それは、少し違いますよ。」
そう言うのはリコ君。そう言えば、大電魚の危険性を言っていたな。
その後、特に興味も無く"大電魚とは"を聞かされた。
俺が知っているのは"肺呼吸・鯰・初級魔法"である。
リコは思い知ったのだろう。もう、夜に警備をしなくて良いと思ったに違いない。お父さんと又一緒に遊べたり訓練が出来ると思ったから、こんなにもリコから笑顔が溢れ出ていたのだ。
「(任務完了!)では、な。」
アバヨと、ビッ!と挨拶をしホタテに股がり消えて行く。
着いたのは見慣れた村長宅、家の中から嫁の匂いを確認しドタドタと走り、村長そっちのけでバイちゃんの元へ駆け寄った。
「一天王から依頼貰いましたよ。ほら見てください。コカトリスを殲滅すると、統制が崩れる為城壁を作る依頼を頂きました。期間は十日で金貨三百です。
新八さんなら、一天王城の城壁を見ていますから余裕でしょう。」
それはそれは、ニコリ微笑む嫁は天女の様だった。
俺は、そんな嫁を裏切るなんて出来ないのだ。
「了解した!コカトリスは沈めたから、次は城壁だな」
『行ってくる』と伝えると即座にヴン!と外へ出た。
明日もよろしく。




