大黒柱
こんばんは。お疲れ様です。
こういう、面白い話を書こうとすれば本当に書くほうの心情に中身が左右されますね。嫌なもんです。けど、ゴールに向かって、行くだけなんですけどね。
目標であるホタテを見つめて、ハァァと手を回し始める。これは、いくら路地裏だからと言っても結構恥ずかしい諸行だろう。でも、全く恥ずかしく無い。
何故ならば、目線を少し下に向ければウミが忍者モードに"天より恵みが降って来たのだ"という感じに、頭を下げながらも両手の手の平は天へと差し出している。
ウミには特に反応せず、対して力まず『えい』と声が発せられた時、ソレハ降臨した。
「御父様、カワイイです」
目の前のホタテを掴んで自分の大きさを測る。ホタテの使用方法は、お腹周りをメジャーの様に測る感じだ。
ちょっと、ホタテの方が長い。
シバの"カワイイ"という言葉には、内心は嬉しいが表面上には反応しないのが得策だろう。
「お前もカワイイぞ。」
と思ったけど、今は見た目が可愛く無くても娘なのだ。当然の如く言うだろう。
「ありがとうございます。御父様が小さくなると、際立って羽が更に可愛く見えます。」
よせやい。お前の方がカワイイって。
「……は?羽?俺に羽があったっけ?」
突然の"羽がカワイイ"という発言には驚いた。何故なら、俺は生まれた時から背中には羽が無いものだと思っていたからだ。飛べないというのを自負している。というか、歩け無いしな。
「いつもパタパタしてるよー。」
ホタテからの理解不能な発言は置いておく。
シバが『ありますよ』と言うと『ちょっと掴んで引っ張りますね』と言って見たんだ。
それは、俺の顔面より少し小さく弱々しく見えた。
「ちょちょチョイ。引っ張り過ぎじゃ無いかい?ちぎれちょうよ。もっと大切に扱って欲しいな全く!」
シバちゃんは、ドラコンだけどニコッと微笑んで
「大丈夫です。超巨体の体がゴロゴロしたり、背中を地面に擦り付けても全くダメージがありませんとお見受けします。
更に言えば、ホタテお姉ちゃんが言った通りに寝そべっていても下敷きになっていても、無理矢理ジタバタという感じでパタパタしてますので。」
とても優しいシバちゃんは、詳しく説明してくれた。そして俺は感付いたのだ"このままの話の展開へと発展してはいけない!"と。
何故ならば、俺の羽を誉めてくれるのは嬉しい……飛べないけど。
もう一度言う。何故ならば、シバちゃん本人が羽が見当たらないからだ!コレは、突っ込んではダメなパターンなのだ。
「そうか。ならば!俺達は冒険者ギルドへ出発だ」
因みにシバのドラゴンを詳しく説明すると、白いドラゴンと何回か言っている通り、ほぼ全身が白の肌となっており体型はステゴザウルスの刺が無い感じとなっている。簡単に言うと、ツルツルのステゴザウルスで手は俺と一緒の五本指だ。目と爪の色だけは、ホワイトパールのように光っている感じだ。
ステゴザウルスよりも手足が長い感じもする。だって二足歩行が出来ているんだもの。
俺が元気良く発言した直後、ホタテが『ってか、新八っちん歩けないのにどうやって行くの?』という発言に対して。
フフフ。何故俺がこんなにも小さく!こんなにも元気ハツラツとして張り切ったと思っている?何も考えて無いと思ったのかい?まあ、見てろって……。
「俺は、俺こそが正真正銘のドラゴンなのだ!そう、俺達は最強のドラゴンパーティーなのさ。」
もうギルドへと入り、俺はカウンターの上に立ち目の前のお姉さんに種族とは!ドラゴンとは何たるかを言い聞かせる。そのあとのニヤリは忘れない。
「ふ~ん」
そう言うと、ポテッとなっている俺の腹をツンと押した。
「わー。シバ!シバァ。」
シバは、フヨフヨと飛んで行く俺を掴んで再びカウンターへ置いてくれる。
そう!フヨフヨとあるが、俺が天才的に空気を読む男というのは知っていると思うが、あえて言おう。
俺は小さく成ったと同時に、人との行き交う人混みを邪魔にならない様に、あえて!小さくなったのだ。それにより、ドアでも向こうからのスレ違いが可能になった訳だよ。
それとコレも言わねばな。俺は歩けないが魔法は使えるが、別に目立とうとも思わない信念を持っている。それは決して折れないプライド!又は天才的な空気読む男として有るのだと自負している。
だから
「じゃあ、重力魔法でちょっと浮くからホタテの尻尾を掴むな。よし!ホタテ、行っけぇー」
ついでに、浮いているけど自分の足を歩いている風に動かすのも忘れない。
先頭のホタテが宙に浮いて、クネクネとしながらここまで来たのだ。
「ドラゴンねぇ……!?」
コノ姉さん、俺の話を全く聞いてくれないし、危機感も全く感じられない雰囲気だったのに、突然お姉さんはギョッ!?となり席を立った。
「新八さん。遅れてすみませんでした。」
振り返れば、普通のトレーディングカードゲームに出て来そうな普通の赤が特徴の西洋風ドラゴンだった。
『え?誰?』と成りつつも、誰か分からない
「私です。テッカです。」
え?なぜドラゴンなの?とか言う野暮な事は聞かない。だって、いつも『神ですから』とか言うもん。
「そうか。では、テッカよ。あとは頼んだぞ。」
うん。なんも説明してない。
けどイケル。
俺は、もう一つの大黒柱を手に入れた。
そして、難無く話は進み
「どーれ。聞いてヤるわいのぉ」
「では説明しますね。今あなた方は、冒険者になろうとしている所です。私達ギルドは、あなた方の意気込みを見たいのです。意気込みと言いましたが、どうやって私達ギルドに意気込みを見せるのか?それは簡単です。
この街にとって良い事をしてください。」
そう言ってカウンターにドンッと何か置いた。この拳があと数センチで、俺に当たっていたろう。しかし、俺は武道をそれなりに極めているからな……モーションが素直過ぎる!避けるまでもない。
見ると袋の中には青色のメダルが入っていた。
まだ、お姉さんの話は続く。
「良い行いをしたら、助けた人にこの青メダルを渡して下さい。この青メダルは、自身の名前を売る目的もありますが、此方から報酬として街の御手伝い分を支払いますので。ノルマは1ヶ月で百回、つまり百枚となります。
あと、例外があります。火事や外で魔物に襲われた際、人の命を助けたという報告があった場合は、特例処置として青メダル三枚……つまり三回分のみで、無条件でギルドへ入会出来ますので!ぜひ頑張ってください。」
「まかせて頂こうか!」
お姉さんはジロリと俺を見下ろし、スッと真正面を向き直した。
突然、お姉さんの目からは優しいが詰まった目線が飛び出したのだ。下から見ていたんだもん!絶対そうだ。
「失礼と存じますが、その古代文字のような紋様は……」
「ええ。神竜です。」
ガタッと立ち上がり、顔面蒼白となるお姉さんは素人なのだろう。
そんなもん、日夜"神なんです"って言ってるヤツなのだから"神なんです・しかも竜"って言っているみたいなものだ。神云々はどうでも良い、スルーだ。
俺はバッと百枚入っている小袋を取って"行くぞ"と淡々と言った。
「ところで。ドラゴンパーティーと言っていましたが……このウミとか言うのは何です?」
そう言われて突如として、空からキラキラと何かが光り落ちて来た。雰囲気、だんじりに付いているモールの切れ端だ。だんじりは激しく動き回るから、小さい切れ端が道路に落ちてキレイに見える。
だんじりは置いて
「私は只の荷物持ち……そう!赤竜様の荷物持ちなのです」
クルクルと回り、御辞儀をしクックックと笑って見せた。
「でも、荷物は持って無いように見えますが?」
「荷物持って無いけど!荷物持ちなんだよぉ!」
何言ってんだお前。冒険者なら荷物持ちは必須だろ。
次いで『そうなのよぉ!』と半ギレでウミは訴えかける。その形相は、目が底辺のヤツを見るかのようにも見えた。
「はいはーい。ウミちゃんウチの大事なメンバーです。なので、私達のパーティーに喧嘩売る度胸が有るんでしたら……」
キラン!と目が光ると、体の模様が光り出したのだ。ギルドの人達は慌てて謝り出した所を見るに、雰囲気普通のカードでは無いようだ。
あの慌てっプリ……URか。ラメは入っているな。
颯爽とギルドを出ると、俺達は街の外へと来ていた。
そうだ。俺とテッカは夫婦の契りをするために、大地が芽吹く所へ出て来たのだ。
まあ、チャチャって契約してあとはノリで、ソソイ!ってSEXするだけなんだけどね。
読んで頂きありますがございます。明日も、よろしくです。




