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チート説明受けていないんですが……  作者: ふ~ん
再度転生編
295/406

クロスは絡み縺れ合う

今晩は。

「良いですか?新八様。あのような虫遊びは今後一切やめて下さい!

 緊迫した状況では、あのような行為は命が幾つ有っても足りません!」


「虫遊びじゃないやい。異種格闘技の代表例だい。」


 立ち直ったバイさんは、再度俺に説教もとい世のありかたを言い聞かせる。

 しかし、熱い想いがたぎる虫への情熱にはバイの言葉は余り通じないのは話していて理解に至ったようだ。


 理解はする!だけど……今は私のターンのハズ。だからか、俺の反論には食い付いて来る一方だ。


「今なんと?」


「俺のヘラクロスのボンバーは世界を取れるぜ!」


「ボンバーという名をつけたので?」


「おう!この、はち切れんばかりのトゲトゲしい甲冑の様なクロスは圧巻!……更に!この出し入れ可能の角は、勝利のエックス斬り!まさに爆発を生じると言って良いかもしれない。」


 少し間があった。


 バイは何やら考えて事をしている。

 眉間に人差し指を当ててグリグリとしているので、俺もバイの眉間にグリグリと当てた瞬間!?

 

「閃きましたわ!」


「何を?」


 『私……閃きましたよぉ』とニヤ付いているバイは、ちょっとイッちゃってる女性に見えたりもする。

 そんなイッちゃっている女性を目の前にして俺は、俺という夫は平然と『どうしたのかな?』と見守る。


 それは、俺が夫だから。

 見慣れてるバイであり、これは嫁が『天啓を得た』という時に極めて稀に見るものだ。


 別に珍しくも無い。

 有るパターンとすれば、大きな壁にブチ当たった時、折れない自我が……負けたく無い(自分の言い分が正解な時な程に発動)時によく見られる。


「そのボンバーさん……強そうですね。」


「ああ!こいつは今しがた沼の王者にも勝ったからな。」


「知ってましたか?このヘラクロスオオカブトは戦うのはメスだって事を。」


「……そんなわけあるか。こいつは歴としたオスだ。最強のオスで有り、最強のエックス斬りを放つ俺の愛虫のボンバー君だ。」


「イエ。メスです。」


 『そんなハズ無かろうが!』と反論するも、この嫁が!システムが嘘っぱちを言うハズもない事を知っているのは重々知っている。

 だけど!俺の知る知識では、カブトムシという角付きはオスという奴だ。


 立派な角……しいては、男の立派なアレを模索するような。

 俺にピッタリと合致するような、それでいて角に俺は何時でも憧れて追い求めていたんだ。


 今では、俺と同等の角もある。そして、ヘラクロスは二本の脇差しも付いているから……侍の念を込めてボンバーという名を!


 だから!ボンバーってなんだよ!?という突っ込みはお控えなすってくだせぇ!


「例えメスだったとしても」


「メスでボンバーですか?」


 ここで嫁に形勢逆転されてしまう。全てを持って行かれた感じとなった。

 その後『この異世界の虫事情の事などは、私システムの領域です』と言われた時は俺にはもう……戦う余地なんて無かったんだ。


「落ち込んでいるところスミマセンが、いつまでアノ半身骨折した小人を置いておくのですか?

 小人だからか、何処かの虫の羽音程しか騒がしく有りませんが……少し邪魔で鬱陶しいです。」


 レオナよ、いタイミングである。

 俺の底無し沼の様に落ちて行く気持ちは、レオナの声にてリアルに戻って来ることが出来た。

 気持ちを新たに新規一転!俺の心は少し浮上した。


……

「どうか!この怪我を治療してください。」


「あい、わかった。」


 最初の粉砕骨折小人は、どうやら仲間に助けられずに放置されたようだ。

 いや、違うか……放置ではない。近くにレオナとダイアが見守ってくれていたから、二十の小人さん達は見捨てるしか無かったのかもしれない。


 そんな非情な同種族に反旗を翻した様に、俺達に洗いざらい話してくれる。


「えーと……ここを進むと、妖精の国エルドラドがあると。

 そして、妖精の国はピクンという爺の村長と聖女が二人いる。名前は不明と。」


「それと!アレオ御姉様が女王を守る近衛兵と言っていたな……信じられん。」


「まあまあ……。

 それも大事な情報ですが、王の側近が第二魔王の鈴木マサシというのがキモですか。」


 上から順に、ダイア・レオナ・バイである。


 因みに俺は、そいつの怪我を治療した後は俺の心が少しでも浮上するようにボンバーの特訓に精を出している。

 たまに『流石は俺のボンバーちゃんだ』という誉める言葉を発しているので、多少はメスというのを受け入れているようだ。


「それで?そのピクン爺に認めさせる方法はあるのでしょね?」


 どうやら話は、結構進んでいる。

 話の内容としては、小人というのは二種類存在するようだ。一つは手乗りサイズの者。もう一つは、魔物が魔族化するように小人も妖精化に成るらしい。


【妖精化】

 手乗りサイズから、人の形を模して変化する。それほ、進化と言っていい。

 大きくなり、もっと待機中のマナを取り入れやすくなる。その過程で背中に羽が生える。その羽で自由に飛び回れ、且つエルドラドの為!主人の生活の為に日々を羽ばたく。


「そのピクン爺をなんとかスル事で認めさせてくれるとは。

 一体、どういう事をすれば良いんだ!?」


 遠くの方で、小さな小人と三人が囲って話合いをしている中。

 俺は、シバとホタテとホタテのデンドン君とカメシャファーとでボンバーに渇を注入している所に思いがけない情報が聞こえて来た。


「ピクン爺の大切に育ているリボンに勝てたら……あるいは」


「リボン?」


「リボンとは、妖精国最強のヘラクロスオオカブトの名前だよ。」


 そう!異種格闘技戦の再来であり、俺のスターへと架け橋となるかもしれないという事。


(バイよ。目の周りがヒクついているぜ)


 俺の笑みが見えたと同時に、バイの顔を俺の瞳が注視させた!そして見た。

 それを見たとき、俺は天高くボンバーを担ぎ上げたんだ。まさに勝利の雄叫びだ!!

 

明日もよろしく


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