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チート説明受けていないんですが……  作者: ふ~ん
親孝行編
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後先見ないってのは冒険に属しているマルかバツか

こんばんは。毎晩遅く付き合いありがとうございます。では、どうぞです。

 やっぱり磯の香りがする海苔は最高だ!更に食べる直前に火で炙ることを忘れない。

 やっぱ!手巻き寿司は最高だぜ。


「蒼、そんなに美味しそうに食べてくれるんなら毎日でも作ってあげようね。ここは、魚が豊富だし米や海苔も蒼の魔法で出せるなら何時でも最高の日本の家庭料理が再現できるけど……どう?」


 俺を食べ物で釣る気である。そんなもん!……めっちゃ!気になる。

 毎日がバイの想いを込めた料理でありながら、提供されるのは見たことも聞いた事も無い物ばかり。


 俺の限界が来たら、トイレや一人になれる場所で異世界料理な下を打っている日々にちょっと嫌気が来ているのも事実。


「専属の料理人になって欲しいな」


 母はこの言葉を聞いて嬉しがっているのだか、そこへ待ったの声がある。


「蒼様本当にごめんなさい。それは、無理と思います。」


「なんで!?毎日こんな美味しいもん食えるんだぞ!?……なんだこれ?日記??」


 それからテッカから話される内容は挫折による挫折。それは、テッカが俺の料理を届ける日々の辛さを書き留めた日記が出てきた。

 試しにペラッとめくり読んでみた。


【王魔様へ初めての料理】


 今日は私の元主のナオ様が好んで食べていた、朝食のティーと一緒にレモンジャムを乗せて焼いたパンと新鮮なお野菜と王魔様が好きそうなソースをトッピングにした物を作ったの。

 ソースはナオ様がフルーツ系等で作ると仰っていたから時間は掛かったけど完成したの。


 ああ。楽しみだなぁ……だけど現実は厳しく心が折れそう。

 バイ様に差し入れが見つかると『こんな生野菜!って一角獣では無いの!』と言って回収されちゃった。


【初めての料理を今度こそ!】


 今日は初めて王魔様と繋がったの。嬉しい……普賢菩薩ふげんぼさつの加護を貰ったんだもの!今日こそ料理を食べて貰うんだから。

 今回は加護を貰ったから、逸れにちなんだ料理をしようと思うの。まずは、パオちゃん……パオちゃんは私の足の下に良く出てくる白い象の名前なの。


 パオちゃんの足の力を利用して小麦粉をある程度練って、石から抽出した炭酸水で麺を作るわ。昔、ナオ様に聞いた通り『うどん』が出来たの。

 だけど、やっぱり渡す前にバイに邪魔されて回収されちゃった。


【今日こそ初めての料理を!】


 今日は最悪。料理に手をつけると目の前にアイツが……死ね。ほんと、死ねば良いのに。


……

 ページをペラララって見るとソレ以降【死】の文字がコマ送りみたく踊り狂っているような。


「なるほど。これは第二魔王領の新しい憲法を作る必要があるな!……その名も『料理番交代制』と言うのを。

 中身は、同じ人が次の日も料理を作ってはいけない!というのにしよう。」


 多分テッカには勿論の事、バイ以外の人なら誰でも喜んでくれるハズと期待の眼差しを向けたのだが喜んでいなかった。


「今、この状態が幸せと感じますが!……ううう」


「そうだよ!魔王さまはもっと僕等のこと理解してよ!」


(何が!?)


「何がとは。それは、簡潔に言うと契約している人が了承しないと実行出来ないのです。」


 ジュンが俺の心を読み取って答えを出した。それに続くような感じでアルプラも同じような事を言う。


「今、バイさんが居ないのは心地良いけど……これは王魔君一人じゃあ決められないからねぇ。」


 道は一つ!


「……呼び出すのが少々遅いのでは?」


「安心しろ。バイが託したアレは食べたからな。」


 バイはキョロキョロと周りを見て、階層の変化や食事の進み具合などを視察している。食事はとっくに終わっていると理解したのか、バイは話し出した。


「反応はありますね。では、あと二百十巻き用意してございます。さあ召し上がってくださいです。」


 俺の話に!憲法を言わなきゃ……その想いが通じたのか、様子が変な王魔に気付いた。


「まさか!?半魚人の幼少期にしか生えないコケに体に拒否反応があったのですか!?」


「え?」


「半魚人の幼少……つまり産まれ落ちた時のヘソの緒に苔がまとわり付いて、カサカサになると取れ落ちるのです!知らないのですか!?」


「知らんわ!」


 『さあ!早くお腹を見せるのです』と真面目にてんやわんやしているバイに、外から目線を感じるので言わなきゃならないことを切り出す。


「ソレ、今言う事ですか?」


「うん。」


「現状分かってます?」


「だいたい。」


 深いタメ息をいつてからバイに色々注意が来た。それは『何故!この階層が水に浸かっているのか?』『更に、周りには獰猛なワニを思わせる魔物がウヨウヨとしているのは何故』『テッカの結界があるから今は安全なだけ!』等々おっしゃる。


「いやだってさぁ。他の人達の料理食べてみたいんだもん!これは決定事項だからな『料理番交代制』を実施する。」


 乗り気じゃ無いらしい。だけど俺の言う事は聞くから……バイは了承する。


「了承しましたが、ここは一天王領地ですから意味はありませんよ。」


 シレっとバイに応えるが如く!


「そう言うと思っていたわよ!ここで名言するわ。私一天王は、第二魔王と提携し支え合って行くことを宣言します!……ミドリちゃん来てぇ」


 ミドリが出現したところで、バイは当初目的だったのも有ったが、内容と指針が違う事にイライラしつつも、コレには同意する。

 一天王と第二魔王が手を結んだ日となった。そして、一天王より今日は良い日なのでこのダンジョンを俺の領地とし頂く事になった。


 イエーイ!……喜んでいたのも束の間。ある言葉で王魔は闇へ落ちる事となってしまった。

 ある言葉とは


「わかりました。料理番は当番制ですね……分かってます?ホタテの料理の事を。」


「あ……ホタテかぁ」

(忘れていたよ……うん!忘れてた。)

こんばんわ。ありがとうございました。明日もよろしくです。

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