表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
9/112

入学式

 四月七日。

 俺の高校生活の始まりの日。

 しかし、気分は最悪なものだった。


 (さかのぼ)ること二日前。


「水本翼さんを『結婚不適合者』に認定することをここに記す」


 封筒のなかに書いてあったそれは、俺の人生のなかで、一番のサプライズだった。


 その夜、家族の前でそれを見せると、全員笑っていた。俺は少しだけ泣いていた。

 このことは真由(まゆ)には言わないことにした。言えば、色々と問題が起こりそうだったから。


 高校生で「結婚不適合者」になるというのは、余程のことがない限り、そうそうあり得ないことだと思う。それにも関わらず選ばれてしまった俺は、ひどいものだ自覚する。

 認定された理由などは書かれていなかった。

 自分で見つけろ的なことなのだろうと思うが、見つけられる気がしない。


 最低三年間は「結婚不適合者」として過ごさなければならない。しかも高校三年間という人生で一番大事で最後の青春の時代に。

 まぁ、青春なんかどうでもいいんだけど。

 最も、誰にも言わなければいいだけの話だから、普通に過ごせるだろう。そう思ってた俺だったが、入学して、約一週間でその目論見が崩れるということをまだ知らなかった。


 進むこと二日。


 俺は、電車に乗って、常清(じょうせい)高校の入学式に向かっていた。

 妹の(そら)と、友人の柳井(やない)真由さんに、普通と言われた制服を着ている。新しいカバンの中には、筆箱、財布、あと小説(ライトノベル)を入れている。電車の中は混んでいるものの、ぎゅうぎゅうというほどのものでもなかった。


 電車を降りると、制服を着ている高校生でいっぱいだった。多分みんな新一年生だろう。

 俺は少しだけ緊張していた。不安もある。

 だから、みんなの後ろをついていく。すると、不安が減ってゆく。

 みんなでやれば怖くない理論が成り立つ。


 そして、学校の校門の前に着く。

校門の前の看板に、第六十五回常清高校入学式と書かれていた。

 俺は初めて高校生になったことを自覚できた気がする。

 校門を抜けると、ある一つの行列が出来ていた。俺はとりあえず、その行列の一番後ろに並んだ。行列が前に進むと、クラス分けの貼り紙があった。

 そして、貼り紙を見て自分の名前を探す。水本という名前は下から見た方が早い。

 俺はD組だった。一学年は三百人。クラスは全部で八クラスで、一クラスでは三十七人のクラスと三十八人のクラスがあった。

 特に、同じ中学の人もいないので、一人で体育館に向かうしかなかった。


 体育館は、後ろに保護者席があり、その前に新入生が座っている。右がA組。左がH組。俺は、D組のところまで行った。出席番号順で三列に並ぶらしい。

 俺の出席番号三十二番だった。そして、十一列目の真ん中の席に座った。隣はどちらも男子。少しだけ気が楽だった。両方女子だったら、地獄だろう。俺は、カバンの中の携帯の電源を切った。


 しばらくすると、教頭先生が、マイクの前に立っていて、周りが徐々に静かになっていった。


「ただいまより、第六十五回常清高校入学式を執り行います」


 司会の教頭先生が、そう言って、

「校長先生より式辞がございます」


 校長先生が、壇上に上がり話始める。

「本日は、大変良いお日柄でーーーー」

 以下省略。

 校長先生の話が終わり、壇上から降りると、拍手がほんの少しだけ喝采した。

 校長先生、頑張ってください。

「新入生代表挨拶。新入生代表一年B組 清水連(しみずれん)

「はい」

 すると、眼鏡をかけたいかにも優等生の男子が壇上に上がった。こういうときに茶髪でチャラチャラした奴が新入生代表だったら、俺はキレるよ。

 新入生代表の挨拶が始まった。

 以下省略。

 そして、新入生の担任の紹介が始まった。

 俺のクラスの担任は、見た目は、可愛いが多分、三十路手前(アラサー)の女性だと思う。名前は、森野絢夏(もりのあやか)というらしい。


 そして、入学式が終わり、俺たちは教室に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ