表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第0章 中学~高校入学直前
8/112

「結婚不適合者」

 真由(まゆ)との一件が終わり、部屋で一人寝ていた。

 起きると、夕方の六時過ぎだった。携帯が光ってたので、開くと真由からメールが来ていた。

 なんと三件も。一ヶ月にメールが三件も来ない俺にとっては、大記録ものだ。

まぁ、内容はそんなたいしたものではなかったが。


 一件目は、「これからよろしくね。あと、夏休みとか絶対どこか遊びにいこうね。絶対だからね」

 という、まるで付き合って一ヶ月かと言いたくなるようなメール内容だった。あくまで、俺たちは、「友達」という関係からやり直しているので、こういうメールは、少し恥ずかしい。

 二件目は、「何で、メール返してくれないの(泣)」という、束縛きつくて、重い女のようなメールが来ていた。こうなると、別れる寸前のカップルみたいになるから、束縛って害悪でしかない。

 三件目は、怒りマークだけ送られていた。

 後で、メールで謝っておこうと、思った。

 俺は、「ごめん、寝てました。絶対遊びます」と返信した。


 そして、リビングに向かうと、妹の(そら)が、台所で料理をしていた。俺は気になって、

「おかえり。何作ってんの?」

「ん~、ハンバーグだよ」

 妹の笑顔が、眩しい。こんな女の子なら、モテるんだろうな。それに比べて、俺は......。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「ちょっと、病んでしまいそうになった」

「大丈夫。大丈夫」

 何が大丈夫なのか聞きたい、すごく聞きたい。

「今日も、母さんと父さんは、帰ってこないのか?」

「多分ね。最近、仕事が忙しいって言ってた」

 俺は、そんなこと聞いてないとかそんな小さいことは、言わなかった。

 そもそも、今、一番俺が暇である。それなのに、妹に料理させているって、俺って本当に何なんだって、自己嫌悪に陥りそうになる。

「バイトとか、しといた方がいいのかな......」

「しなくていいんじゃない」

「何で?」

「いや、『今』はね。大学生になってから始めても、遅くは無いと思うよ。それにこれから、高校生だよ。そんな最初から、バイトなんかしたって、授業とかついていけなくなったら、元も子もないよ」

 妹に叱られるとか、もう兄として、酷いものだ。

 でも、空の言ってることは、正しいと思う。

「せっかく頭の良い学校行ったんだから、ちゃんとしなきゃだめだよ」

「ありがとう、妹よ。兄は元気が出たよ」

「どういたしまして。お兄ちゃん」

兄妹で、仲が良いのは、非常にいいことだと思う。

「お兄ちゃん、お皿出しといて。もうすぐ出来るから」

「はい。分かりました」

「お皿に乗せるよ」

 お皿に乗ったハンバーグは、とてもよく焦げてらっしゃった。空は、まだそこまで、上手ではなかった。

「ごめん、ちょっと焦がしちゃった」

「大丈夫だよ。料理は、練習して慣れてくるもんだし、これは、練習やと思えば大丈夫やって」

 空は申し訳なさそうにしていた。俺は頭を撫でてあげた。

「結婚するまでなら、何回でも練習すればいい」

 謎の名言を吐いて、皿をテーブルに持っていく。

 ハンバーグの味は......言わなくてもいいだろう。


 四月三日。

 俺は制服を取りに、高校まで向かっていた。中学校の制服で行くべきか、私服で行くべきかどうか悩んだが、一応高校なので、制服で行くことにした。


 今度は、制服の控えと小説(ライトノベル)を持っていき、電車で読んでいた。揺られて三十分後。

 目的の駅に着き、高校まで歩いていった。

 制服を受けとる場所までいくと、私服七割、制服三割といった感じだった。

 こういうとき、すごく恥ずかしく感じるのは、何故だろう。別に間違えてはないはずなのに、何か恥ずかしい気分になる。列にならび、待っていると、ふと、あの()を思い出していた。説明会のときに、荷物を持ってあげたあの女の子。

 名前は......? 名前何だったかな? あぁ思い出せない。メモしときゃ良かった。すげぇ良い名前だった気がする。そして、順番が回ってきた。制服を受け取り、そのまま高校をあとにした。

 制服を着た人が、制服を持って帰る。

 何か面白く感じるのは、俺だけか、俺だけだな。

 その日、俺は一日中悩み続けた。


 家へ帰ると、空が待っていた。部活は、休みだったらしい。

「お兄ちゃん、制服は?」

「持ってるよ」

「一回着てみて」

「別にいいけど、興味あるの?」

「興味はあるよ」

「じゃあ、着替えるから、リビングから出といて」

「着替え終わったら呼んでね♪」

「分かった」

 そして、俺は新しい制服を取り出した。

 制服から制服に着替える。

 面白く感じるのは、俺だけか、俺だけだな。

「着替えたぞ~入ってきていいよ」

「失礼します」

「どうですか」

「普通だね」

「・・・」

「あぁ、別に良い意味で、普通だよ」

「・・・」

「ごめんなさい」

 空の感想は、普通。

 一番言われて困るのは、普通。

 良い意味の普通は、悪い意味の普通と何が違うのか、少し考えないといけないな。

 こうなったら、友達の感想を聞いてみよう。

 最近出来た友達に、メールを送る。

 返ってきたメールは、「家にいっていい?」

「出来れば、そうしてほしい」と俺は、返す。

「分かった。今すぐ行くね」


 一分後。

 ピーンポーン。

 俺は、玄関に向かう。友達が、来たようだ。

 玄関を開くと、友達の柳井(やない)真由さんが来ていた。

 俺は、

「どうですか?」

 友達は、

「普通だね。期待して損した」


「柳井さん。帰ってください」

 俺は、勢いよくドアを閉めると、向こうから

「ちょっと、率直な感想言っただけじゃん。あと、柳井さんって言わないで。真由ってちゃんと呼んで!」

「バカ、真由のバカ。もう知らない」

 俺は、すぐに自分の部屋で着替えた。


 四月五日。入学式の二日前。

 高校の始業式は、明日。

 珍しく俺は、朝早く起きてしまった。

 二度寝出来そうになかったので、リビングに向かう。

「珍しいね。(つばさ)が早く起きるなんて」

「何か、目が覚めちゃって。朝ごはんある?」

「パンでいい?」

「じゃあ、お願い」

 朝早かったので、ニュース番組しかなかった。

 しかも今は、「結婚不適合者」の話題で持ちきりだった。今日が更新の日らしいので、家に市役所から封筒が届けば、「結婚不適合者」に認定される。

 多分、多くの人が不安に思っている。

ある意味、これからの三年間がかかっているので、冗談でもからかったりしてはいけない。

 ニュース番組では、現役の「結婚不適合者」に取材していたり、アンケートをとっていたりと、注目度が高いニュースの一つである。

「パン焼けたよ」

「は~い」

 俺は、パンを食べながら、テレビをずっと見ていた。俺は、「結婚不適合者」になるかもしれないとは、微塵も思っていない。


「それじゃあ、仕事いってきます」

「いってらっしゃい」

 俺は、母さんを見送った。


 それからしばらく、ボーッとテレビを見ていた。


 すると、ストンという音が玄関から聞こえた。

 俺は、何だろうと思い、玄関に向かった。

 すると、玄関に封筒があった。

 嫌な予感がした。ものすごい嫌な予感がした。

「ありえない。ありえない。ありえない」

 そう呟きながら、俺は少しずつ、歩みを進めた。

 まさかと思った。そんなわけがないと思った。

 でも、この世のなかは、俺に対して、不親切だった。


 封筒のなかに書いてあったのは、


「水本翼さんを、『結婚不適合者』に認定することをここに記す」


「嘘だよ。俺が何やったっていうんだよーーーー」


 そして、俺の波乱の高校三年間が、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ