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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第0章 中学~高校入学直前
7/112

再出発

 約一年ぶりに面と向かって、会話した俺と真由(まゆ)

 何故真由が俺の家を知っているかというと、家が向かいにあり、昔からの幼馴染だったからである。


「久しぶり」

 彼女の言葉に俺はそう返した。

「ちょっと話が、したかったの・・・いい?」

「上がるの? それとも玄関でこのまま話す?」

「上がらせてもらっていいかな?」


 俺は彼女を家に上げることにした。

 彼女をリビングまで連れていき、ソファーに座らせる。

「飲み物は、コーヒー牛乳でいいかな?」

「それでいいよ」

 俺は台所に行き、新しいコップを取り、コーヒー牛乳を注いだ。それをソファーの前のテーブルに置く。

「・・・」

「・・・」

 俺と彼女の間に、冷たい沈黙が流れる。

 そして、俺が口火を切った。

「話があるんじゃなかったの?」

「あぁ...うん...」

 俺は待つ。彼女が話始めるまで待つ。

「高校は、どこに行くの?」

 多分、彼女は、本題に行く前に、世間話を入れようと思ったのだろう。

常清(じょうせい)だけど」

「常清なんだ...高校は、別々なんだね...」

「真由は、松野南(まつのみなみ)なの?」

「うん...家から近かったから」

「そうか...」

 会話が途切れる。今までは、互いに言い合えた仲だったが、俺が彼女に告白したことによって、それが出来なくなってしまっている。

「・・・」

「・・・」

 また、沈黙が流れる。

 だが、今度は、彼女が口火を切った。

「あのね、実はあの日のことを謝りたかったの」

 あの日というのは、俺が告白した日だろう。

「別に、謝る必要は無いと思うよ。俺が勝手に告白しただけだから」

 俺からすれば、今さら謝られてもどうしようもない。

「私は、あの時、(つばさ)の告白に驚いたの。翼が私のこと好きだったって信じられなかったの」

「ひた隠しにしてたからな」

「私ね、別に翼のこと嫌いだなんて、一度も思ったことはないからね。むしろ好きだったと思う。だから告白されたとき、すごく嬉しかったの」

「確かに、告白したときにすごい嬉しいとか言ってたな。それでも俺は、振られたけどな」

嫌みっぽく言った俺は、本当に駄目な男だと思う。

「私は思ったの。翼とはこの先ずっと一緒にいたいなって。でも、もし告白にOKしたら、付き合うことになるじゃん。もし別れたら、もう会えなくなるって思ったの。幼馴染の関係は、全部消えてしまう。私はそれが嫌だった。嫌だったの」

「だから、告白を断ったのか...」

 なんともいえなかった。

 だとすれば、俺の中に一つ疑問が出てきた。

「一つ聞いていいか?」

「何?」

「じゃあ、お前が卒業式のときに手を握って、歩いていた男は何なの? 彼氏なんじゃないの?」

「何で、その事知ってるの? 見てたの? だとしたら、あの人は、私とは別に何の関係もないよ」

 不信感が(つの)る。

「何の関係もない人と、卒業式に手繋いでいるってありえないぞ。普通だったらその二人はカップルだと思うよ」

「本当に何の関係もないの! 信じて......」

「信じてって言われたって、事実だということは認めるんだ」

「それは...」

 俺の中で、女というものが分からなくなる。

「お前の言っていることの意味が分からない。俺とずっと一緒にいたいと言えば、俺以外の男と普通に手繋いだりしてるし、それで信じてって言われて信じるやつがいると思うか? 俺は思わない。例えそれが、幼馴染であったとしてもだ。一つだけ事実を聞かせてくれ。卒業式のときの男と、今現在付き合っているのか?」

 彼女は何も言わない。図星である。

「つまり、お前が言ってたことは、全て嘘であるということだ。俺と一緒にいたいということも、幼馴染の関係が消えることが嫌だということも、そもそも告白自体、本当は迷惑だったんじゃないのか?」


「それは違う」

 彼女の声は、低く、そして震えていた。

 それでも俺は止めない。

「何が違うの? 本当に一緒にいたいと思ってたら、付き合うと思うよ。もし別れたらってあの時、言ってたけど、付き合う前に別れること考えている時点で、おかしいじゃん」


 俺はヒートアップしていた。


「俺は嘘はつかない。お前が好きだったということを否定したりはしない。ただ、今、お前のことを好きになることはない」


「結局、ずっと俺の片想いだけだったんだろうな」

 ふぅと息を吐き、少し休んだ。


「女なんか嘘つきだ。女なんかもう信じない」


 全てを出しきったぐらい俺は喋った。今日が今までで、一番言葉を出したと思う。


 彼女を見ると、泣いていた。

「言い過ぎたかもしれないが、俺が思っていることだ」

 それから、しばらく時間だけが流れた

 彼女は、手で涙を拭い、一言だけ言った。

「ねぇ、友達からならやり直せる?」


「俺は別に平気だけど、だって友達が一人増えるから」


「じゃあ、全部やり直す。この言葉は嘘じゃない」


「俺は信じてないけど」


「本当だからね」

 俺たちは多分、最悪のバッドエンディングだけは回避した。結末は、バッドだったけど。


「じゃあ、私、帰るね」

「玄関まで見送るよ」

 そういって、俺は玄関まで彼女を見届けた。

「そういえば、メールアドレス教えて」

「メールアドレス交換しただろ」

「昨日メール送ったら、そのまま帰ってきたけど」

 多分、卒業式の次の日に、登録してたアドレスをほぼ消して、メールアドレス変えたから、こうなったのかなとは、絶対言えない。

「赤外線でいいか?」

「私、受信するね」

「じゃあ、送信するわ」

「登録できたから、今度は、送信するね」

「空メール送ればいいんじゃないの?」

「何か嫌な予感がしたから」

 そう言い、俺は、受信し登録した。

「じゃあ、またね」

「じゃあ、また」

 俺たちは仲直り(?)をして、再出発することになった。


 本当なら、もう二度と元には戻れないと思ったし、再出発もできなかったと思う。

「俺は、本当に駄目な男だ」

 二回も、女の子を泣かせている俺はそう思う。

「俺は、『結婚不適合者』なんじゃないのか?」

 そう言い、少しだけ笑った。


「そんなわけないか」


 そして、俺は自分の部屋に戻った。

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