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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
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展覧会とかよく分からない

 よくよく考えれば展覧会に行くときの服装とかって決まり事とかあるのかな?

 それは適当にググるなりヤホるなりすればいいだけだから、昼過ぎだとごはんは食べなくていいのかな? 向こうに行ってから何かしら食べに行くとかあるかもしれない。いや、車で行くってことになってたし、途中で食事処に寄るのは無いだろう。

 とりあえず、お金の方は準備をしておこう。

 そろそろバイトとかしてみようかな? 最近友達と遊びに行ったりしてるから、金がどんどん消えていく・・・これって、単純に自慢になるんじゃね?

 友達多いアピール的なやつ。まぁ、村上君ぐらいしか遊んだことがないんだけどな。

 俺は携帯でググり、自分のいる市の近くでどんな展覧会が開かれているのかについて軽く調べた。


「美術館みたいな感じなのかな」

 調べてると独り言が出てくる病気なんです。

「なんか凄そうな感じだな」

 こればかりは行ってみないと魅力が全然分からないと自分に言い聞かせています。

「印象派とかちょっと調べとこっかな~」

 何一つ分からないジャンルは何でもいいから調べておいた方がいいと自分のなかでは思っている。

 知らないから教えてよりも調べてみたけどよく分からなかったから教えてくださいって言った方が、ちょっとばかりはマシだと思い込んでいる。

 実際はどうかは分からないけどね。


 それから二時間ほど調べて(主にネット)、明日に備えるべく早めにベッドで寝ることにした。

 ふと、真由(まゆ)がこのベッドで寝てたんだなぁと考えてしまった。ダメだと分かっているけれど、どうしても匂いを嗅ごうとしてしまうのが俺の・・・いや、男の習性である。

少しだけうつ伏せになり、それからすぐに寝た。



 翌朝。

 朝の七時に目覚ましをセットしていたので、七時に目を覚ました。あたり前体操ですかね?

 二度寝をしないように、リビングに向かう。

 五月が始まり、世間ではゴールデンウィークが終わったら祝日なんか二ヶ月ぐらい来ないと嘆いているとかいないとか。

 昼の一時に駅前に待ち合わせになっているので、駅前には三十分前集合ぐらいが理想的で現実的だ。

 駅前で適当に昼ごはんでも食っておこうかな。

 今日の目的は展覧会に行くだけなのかな? もしかしたら、他にも別の場所に行く可能性もあるかもしれない。この約束って、ほとんど何も決まってないのに進行してたんだな。非常にビックリです。

行き当たりばったり感が拭えないのはさて置いて、しばらくはゆっくりしておこう。

 学校の駅前までなら、三十分ほどで行けるから、十一時半ぐらいに家を出れば、確実に到着する。


「お兄ちゃん、どっか出かけるの~?」

「ちょっと出かける約束してるから、昼ごはんは適当に自分で作っとけよ~」

「了解で~す」

 (そら)はリビングに来るないなやそう告げて、冷蔵庫から牛乳を取り出し直接飲んでいた。

「朝ごはんは~?」

「今日は駅前で朝昼兼用の食事にするから、作ってない」

「えぇ~」

「料理の練習だと思って頑張りなさい」

「食べてくれる人がいないんだもん」

「家に友達でも呼んだら?」

「それは面倒かも」

「それもそっか、まぁ、呼べるなら呼んで遊んでてもいいけど、帰るの夕方ぐらいになりそうだし」

「晩ごはんはどうするの?」

「どっか行こっか」

「やった~~」

「そんなに嬉しいか? 喜んでもらえて良かった」

「行きたいところあるから連れてって」

 そんな言い方されたら、スキーに連れていっちゃいそうですよ・・・これ分かってもらえてるかな?

説明すると、ちょっと昔に「私をスキーに連れてって」っていう映画があって、それを思っただけ。

 そんなことはどうでもよくて、俺は財布の心配をしなければならないのだ。

 最悪の場合、妹と割り勘。兄としては恥ずかしいの一言に尽きてしまう。

「しばらく家で一人かぁ、お母さんとどっか買い物でも行けたらなぁって思ってたんだけどなぁ」

「なら、今度の空の休みの日に俺が一緒に買い物に付いていってあげようか?」

「それはいいや、服とか買うつもりだし、結構時間かかっちゃってお兄ちゃん退屈になっちゃうからお母さんと一緒に行くよ」

「お、おぅ」

 つまり、俺は邪魔であるというわけだな。

 それには全然反論できない。なぜなら、女性の服の買う時間は必ずと言っていいほど長くなる。男からすれば、退屈で暇だと感じるのは必然だ。

「なるべく早く帰ってきてね」

「分かってる。空」

 まるで、嫁だな。新婚夫婦だな。

「さてと、着替えてくる」



 自分の部屋で着替えを終え、財布と携帯をポケットに入れて待ち合わせ場所に向かう。

 空からいってらっしゃいのお見送りの言葉を頂戴いたして、少し暖かくなった外の空気を吸い、歩き出した。



「はぁ、やっと着いた」

 駅前に待ち合わせ時間の約一時間前に着いた。

 あくまでも予定通りである。ここから昼ごはんを適当に食べて、時間を潰していく。

 空本さんでも、一時間前に来るというのはあり得ないだろう。だいたい十分前に来るタイプの人だと俺自身は何となく認識をしている。

「今からランチタイムだからかなり混みそうだな」

 混みそうとコミュ障。似ているかも。

 コミュ障は混みそうな場所には絶対に行かない。

 そんな通説を立てて、俺は空いていそうなレストランを探していた。どこも混んでいたら、コンビニで何かしら食べればいいだけの話。添加物万歳。


 やっと、空いていたファミレスを見つけ、店内に入り注文をする。早めに料理が来れば何でも良かった。とりあえず、スパゲティを食べて、ドリンクを少し飲んでからすぐに店を出ていった。


「今で、十二時三十五分か」

 あと二十五分。モテる男は五分前。モテる女は五分遅れてくるらしい。テレビでやってた。本当かどうかは証明もされてないけど。

 俺は約束の二十五分前(昼ごはんを食べてれば)。

 つまり、俺は現実でモテる男の約五倍もモテてしまうというのか。よっしゃあ~・・・虚しい。

 モテる奴は時間とかそういう以前に、圧倒的なコミュニケーション能力がある。だからモテる。

何故、俺は今、自分で自分を追い詰めたんだろう。

一瞬だけ死にたくなった。


水本(みずもと)君~」


 空本さんの声が右からやって来て、僕はそれを左に受け流すこともなく、俺は右の方を見た。

 空本さんが手招きをしていた。

その近くに空本さんがいつも乗っている車があり、俺はその方向に歩いた。

 空本さんはかなり可愛かった。明るめの色で、春らしいコーディネートと言えばいいのだろうか。


「今日はよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

「そろそろ本気で敬語直そっか」

「多分、卒業まで無理だと思う」

「ですますだけでもやめてほしいなぁ」

「出来るだけ気を付けま・・・す」

「それはどうしようもないから、これからね」


 俺たちは車に乗り、展覧会に走り出した。


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