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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
49/112

解決案は捻ってないから

 また、月曜日が始まる。

 毎回こんなこと言ってると、自分の語彙(ごい)力の無さがバレてしまいそうになるから、これぐらいにしておこう。

 校外活動を明後日に控えているのだが、今日は相談の解決案を提示しないといけない。

 そのためには、相談者を部室まで連れていかないといけないのだが、面倒くさいのである。

 他のクラスで、そんなに親しくないの人を呼ぶとか、拷問に近いものだ。

 本日も頑張っていこうかな。


 朝から授業なのは当然なんだけど、やる気が絶妙に出てこないんだよなぁ……帰りたい。

 昼休みに部室で恋愛相談のことを話し合わないといけない。そして、そのことを相談してきた当人に言ってないのが、また問題である。

 放課後は部活があるらしいし、昼休みが一番話し合うのには、適しているといえる。

 とりあえず、今は授業に集中しよう。


 そして、昼休み。

 自分にとって今日最大の試練と言っても過言ではないだろう。むしろ、解決案を言うことの方が圧倒的に楽なことなんだけどな。

 一応、空本(そらもと)さんも付いてきてくれるから安心しておいてもいいのだと思う。

 部室に来たときのメモを渡されて、相談者がG組の滝野(たきの)君であることを確認して、教室を出ていく。

「ねぇねぇ、解決案みたいなの考えたの?」

「ある程度のことは、言っておくつもりだけど」

「それじゃあ、その辺のことはよろしくね」

「まぁ、『結婚不適合者』だから、説得力はないかもしれないけどな」

「大丈夫だよ」

 そして、目的の教室に到着する。

 一番厄介なのは、食堂に行っている可能性もあるということだ。そしたら、探すのは無理というかやりたくないという方向にいってしまう。

 さて、まずどうやって呼び出そうかな?

 オーソドックスなら、大きめの声で、「○○君いる?」と、呼んでみるのと、入口に一番近い人に「○○君ってどこの席?」とか聞いてみるのがいい。

 教室の中は、集まって食べてる人が多い。

 注目されるのは嫌だから、結局、俺は入口付近の人に滝野君がどこの席か聞いてみると、真ん中ら辺で何人かと一緒に弁当を食べようとしていた。

 とりあえず、その近くまで行ってみる。

 本日最大の山場が来ました。

会話の出だしって、めちゃくちゃ緊張するからね。

 勇気を出して、一声かける。

「滝野君って、いる?」

 よっしゃあー、何とか出来たぁ。

「あっ、この前の・・・どうしたんですか?」

「ちょっとだけ、話したいことがあって……今から昼休みの間大丈夫ですか?」

「う~ん。分かった・・・それじゃあ、ゴメン、行ってくるから」

彼の友達には悪いけれど、少しの間だけ借ります。

 そして、弁当を持って、教室の外まで行った。

「ごめん、滝野君部活やってるから、放課後よりかは昼休みの時間の方がいいかなって思って」

「あ~、お気遣いありがとうございます」

「それじゃあ、部室まで」

 そして、三人で部室まで歩いていった。


 部室に入り、最初に来たときの様に座った。

「金曜日に話してくれた恋愛相談の話なんだけど」

「はい、それで何か浮かびました?」

「とりあえず、二つだけ質問するわ」

「はい」

「一つ目、一目惚れした人を見つけたい?」

「もちろんです。そのために来たんですから」

「二つ目、明後日は朝練無いよね?」

「は、はい。ありませんけど」

「それじゃあ、明後日その人を見つけるぞ」

「えっ、どういうこと?」

 俺のモットーは、地道に確実にやることだ。

「単純な話、明後日朝早くから学校に来て、校門を通る人を一人一人見て、探し出すんだよ」

「でも、そんなに簡単に見つかるかな?」

「とりあえず、校外活動は、普段の鞄とは違うものを持っていくから、それだけで、二、三年生は、弾き出されるから、見つけやすくなるはず」

「まぁ、そうだけどさ、地味じゃない?」

「そんなこと言ってる場合じゃないから、問題は、そのあと、どうやって話しかけるかなんだから」

「えっ、話しかけるの?」

「そりゃ、そうだろ! 何のために見つけようとしてんだよ」

「水本君、どうやって話すきっかけを作るの?」

「とりあえず、見つけたらその人の前に立って、自己紹介したあとに、メールアドレスを書いたメモでも渡したりすればいいんじゃないかな?」

ここら辺は、ほとんど適当に考えて喋ってるから、そんなにあてにはならない。

「そんなわけで、明後日・・・そうだな、六時半とかに校門前に集合でいいか? 詳しいことは、その時にでも話すから」

「六時半すか? 早すぎるんじゃないかな?」

 お前のために俺頑張ろうとしてるんだろ。

 六時半集合とか、通学だけで四、五十分かかる俺は確実に五時過ぎには起きないといけないんだぞ。

 こっちの気持ちも考えろ!!

「それぐらいの時間が俺はいいんだけど」

 俺は、正直言うと、人の恋愛相談なんかどうでもいいし、やる気なんか微塵もない。

 でも、そういう部活に入ったし、相談も受けてしまったから、引き下がるのも何か悔しい。

「あとは、俺じゃなくて、滝野君が決めることだから、ここにメールアドレス書いといたから、時間決まったら連絡してね」

「ねぇ、私も行った方がいいよね?」

 空本さんも来てくれそうだ。でも、

「空本さんは普通の時間に来てくれたらいいから」

「えっ、どうして?」

「だって、可愛い女の子を探そうっていうスタンスでやるから、ちょっと居心地は悪いでしょ。こういうのは、男だけでする方がいいんだよ」

「そうなんだ。それじゃあ、バスに乗ったら、ちゃんと報告してね」

「了解しました」

 とりあえず、自分の考えを伝えたので、早く昼ごはんを食べたいんだけれど。

「そういうわけだから、明後日ね」

 というわけで、解散します。


 昼ごはんを食べていると、メールが来た。

「六時半にお願いします」

 明後日は、朝からしんどくなりそうだな。

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