解決案は捻ってないから
また、月曜日が始まる。
毎回こんなこと言ってると、自分の語彙力の無さがバレてしまいそうになるから、これぐらいにしておこう。
校外活動を明後日に控えているのだが、今日は相談の解決案を提示しないといけない。
そのためには、相談者を部室まで連れていかないといけないのだが、面倒くさいのである。
他のクラスで、そんなに親しくないの人を呼ぶとか、拷問に近いものだ。
本日も頑張っていこうかな。
朝から授業なのは当然なんだけど、やる気が絶妙に出てこないんだよなぁ……帰りたい。
昼休みに部室で恋愛相談のことを話し合わないといけない。そして、そのことを相談してきた当人に言ってないのが、また問題である。
放課後は部活があるらしいし、昼休みが一番話し合うのには、適しているといえる。
とりあえず、今は授業に集中しよう。
そして、昼休み。
自分にとって今日最大の試練と言っても過言ではないだろう。むしろ、解決案を言うことの方が圧倒的に楽なことなんだけどな。
一応、空本さんも付いてきてくれるから安心しておいてもいいのだと思う。
部室に来たときのメモを渡されて、相談者がG組の滝野君であることを確認して、教室を出ていく。
「ねぇねぇ、解決案みたいなの考えたの?」
「ある程度のことは、言っておくつもりだけど」
「それじゃあ、その辺のことはよろしくね」
「まぁ、『結婚不適合者』だから、説得力はないかもしれないけどな」
「大丈夫だよ」
そして、目的の教室に到着する。
一番厄介なのは、食堂に行っている可能性もあるということだ。そしたら、探すのは無理というかやりたくないという方向にいってしまう。
さて、まずどうやって呼び出そうかな?
オーソドックスなら、大きめの声で、「○○君いる?」と、呼んでみるのと、入口に一番近い人に「○○君ってどこの席?」とか聞いてみるのがいい。
教室の中は、集まって食べてる人が多い。
注目されるのは嫌だから、結局、俺は入口付近の人に滝野君がどこの席か聞いてみると、真ん中ら辺で何人かと一緒に弁当を食べようとしていた。
とりあえず、その近くまで行ってみる。
本日最大の山場が来ました。
会話の出だしって、めちゃくちゃ緊張するからね。
勇気を出して、一声かける。
「滝野君って、いる?」
よっしゃあー、何とか出来たぁ。
「あっ、この前の・・・どうしたんですか?」
「ちょっとだけ、話したいことがあって……今から昼休みの間大丈夫ですか?」
「う~ん。分かった・・・それじゃあ、ゴメン、行ってくるから」
彼の友達には悪いけれど、少しの間だけ借ります。
そして、弁当を持って、教室の外まで行った。
「ごめん、滝野君部活やってるから、放課後よりかは昼休みの時間の方がいいかなって思って」
「あ~、お気遣いありがとうございます」
「それじゃあ、部室まで」
そして、三人で部室まで歩いていった。
部室に入り、最初に来たときの様に座った。
「金曜日に話してくれた恋愛相談の話なんだけど」
「はい、それで何か浮かびました?」
「とりあえず、二つだけ質問するわ」
「はい」
「一つ目、一目惚れした人を見つけたい?」
「もちろんです。そのために来たんですから」
「二つ目、明後日は朝練無いよね?」
「は、はい。ありませんけど」
「それじゃあ、明後日その人を見つけるぞ」
「えっ、どういうこと?」
俺のモットーは、地道に確実にやることだ。
「単純な話、明後日朝早くから学校に来て、校門を通る人を一人一人見て、探し出すんだよ」
「でも、そんなに簡単に見つかるかな?」
「とりあえず、校外活動は、普段の鞄とは違うものを持っていくから、それだけで、二、三年生は、弾き出されるから、見つけやすくなるはず」
「まぁ、そうだけどさ、地味じゃない?」
「そんなこと言ってる場合じゃないから、問題は、そのあと、どうやって話しかけるかなんだから」
「えっ、話しかけるの?」
「そりゃ、そうだろ! 何のために見つけようとしてんだよ」
「水本君、どうやって話すきっかけを作るの?」
「とりあえず、見つけたらその人の前に立って、自己紹介したあとに、メールアドレスを書いたメモでも渡したりすればいいんじゃないかな?」
ここら辺は、ほとんど適当に考えて喋ってるから、そんなにあてにはならない。
「そんなわけで、明後日・・・そうだな、六時半とかに校門前に集合でいいか? 詳しいことは、その時にでも話すから」
「六時半すか? 早すぎるんじゃないかな?」
お前のために俺頑張ろうとしてるんだろ。
六時半集合とか、通学だけで四、五十分かかる俺は確実に五時過ぎには起きないといけないんだぞ。
こっちの気持ちも考えろ!!
「それぐらいの時間が俺はいいんだけど」
俺は、正直言うと、人の恋愛相談なんかどうでもいいし、やる気なんか微塵もない。
でも、そういう部活に入ったし、相談も受けてしまったから、引き下がるのも何か悔しい。
「あとは、俺じゃなくて、滝野君が決めることだから、ここにメールアドレス書いといたから、時間決まったら連絡してね」
「ねぇ、私も行った方がいいよね?」
空本さんも来てくれそうだ。でも、
「空本さんは普通の時間に来てくれたらいいから」
「えっ、どうして?」
「だって、可愛い女の子を探そうっていうスタンスでやるから、ちょっと居心地は悪いでしょ。こういうのは、男だけでする方がいいんだよ」
「そうなんだ。それじゃあ、バスに乗ったら、ちゃんと報告してね」
「了解しました」
とりあえず、自分の考えを伝えたので、早く昼ごはんを食べたいんだけれど。
「そういうわけだから、明後日ね」
というわけで、解散します。
昼ごはんを食べていると、メールが来た。
「六時半にお願いします」
明後日は、朝からしんどくなりそうだな。




