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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
43/112

二人で買い物 (前編)

 現在、朝の八時。

(つばさ)~、起きてよ~、遊びにいこうよ~」

 俺の起こし方が独特な幼馴・・・友人だ。

 ほとんど、毎日会ってるから、友人であることを忘れて、普通に幼馴染として、接している。

「今日は予定があるから、また今度な」

「今日遊びたいの~」

「なぜ、今日でないといけないのか、確固とした理由を教えてくれ。明日じゃダメなんですか?」

「えっ、明日遊んでくれるの?」

 余計な発言は撤回しないと火種になるぞ。

 まぁ、明日は予定がないからいいんだけど。

「明日なら遊べるよ」

「やった~、じゃあ、今日泊まるね」

「今、結論が間違えたような気がするんだけど」

「また夜に来るね~」

「こらこら、何で泊まりに来ることになった?」

「だって、今日遊んでくれなかったから……」

 今日遊びに行けないから明日遊ぶことになったということだったよね。そうだったよね。

 泊まりに来ることは、この話のなかで、存在しない話だったよね。みんな、そうだよね。

 女の子って、一体何を考えてるんだろうか?

「あっ!! 今日誰と遊びに行くの? 前に聞いたときは、うやむやにされて、分からなかったの! 結局、どこの誰と遊びに行くのか教えなさい」

「べ、別に、あんたに教える必要なんかないんだからね!!」

「あ、あんた~? 真由(まゆ)って呼びなさい」

 そこに怒るんだ。まぁ、論点すり替え完了だ。

「泊まりに来ることを了承する代わりに俺が誰と遊びに行くのか、詮索しないことが条件だ」

「む~、怪しい~、絶対に怪しい~」

「何が怪しいのか俺には分からないな~」

「絶対、私以外の女の子と遊びにいくんだ。絶対、そうに決まってる。調子に乗ってる~」

「調子に乗ってないし、そもそも俺が女の子と休日にどこかに行くと思ってるの?」

「う~ん。思ってないけど、今日は何か女の子だと思う。女の勘っていうやつ?」

 ほんと、女の勘ってろくなもんじゃないな。


 真由には、家に帰ってもらい、俺は朝ごはんを食べて、行く時間まで、部屋でのんびりと過ごす。

「何買うのかメモしとこ」

ケータイのメモ帳を開いて、しおりに書いてある、持っていかないといけないものを入力する。


 メモを入力し終えて、服を着替える。

 なるべく、落ち着いた系の服を着ようと思っていたので、暗い色の服を選んだ。

 ファッションセンス皆無に等しい俺が、ファッション雑誌を買って読んだところで、取り入れる部分が分からないから無意味になるんだな。

 ソースは中学校時代の俺。

本屋に行ったとき、何を思ったのか買ってしまい、覚えるくらいその春のファッション雑誌を読み込んで、結局、服を買わないまま夏を迎えた。

 まぁ、自分と似たような人の服を見れば、大体それが似合ってるはずだから、参考にするのはそれ。


 そろそろ出かける時間になったので、カバンに財布と携帯を入れて、家を出た。

 一応、自転車で行くことにした。

真由が尾行とかしないか不安はあるけど、今日は、空本(そらもと)さんと楽しく過ごせることを目標に頑張る。




風花(ふうか)

「何、お母さん?」

「気を付けてね」

「大丈夫だよ。信頼できる人なんだもん」

「それは、お父さんから聞いてるわ……ちゃんと、しっかり楽しんできてね」

「うん・・・それじゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

 といっても、私は車で待ち合わせ場所まで行く。

 車に乗り、発車する。

 待ち合わせの時間まであと二十分ほど。

 このままなら、ちょうどかその二、三分前には着くはず。水本(みずもと)君なら先に来てくれてそう。

 約束の一分前に待ち合わせ場所に着いた。

そこには、水本君が待ってくれてた。

やっぱり予想通り水本君が先だった。

「風花さん、お気を付けて」

「うん。ありがとうございます」

 私は、車から降りて水本君の元に向かった。



「待ち合わせの時間の三十分前に来ちゃった」

 俺は、空本さんが真面目だと思ったから、結構早めに来るかもしれないと読んでたので、十五分前に着くつもりだったんだが、思ったより早かった。

 少しの間、暇になりそうだな。

 暇なときはもちろん、ライトノベルでしょ。

 と思ったが、荷物は出来るだけ少なくして来てしまったので、持ってきてございません。

待ち合わせ場所に早く着いてしまったときにする、暇潰し・・・それってどんなの?

こんな大喜利の問題がありそうなんだけど。


①アルゴリズム行進~、一人で行進~


②十分ごとに、髪の分け目を変える。


 二つともつまらない。発想力というものがない。

多分、空だったら面白いの考えてそうだな。

 自分のお笑い能力の限界を知ったところで、やっぱり暇だ。

 よし、ここはデートしてるカップルを呪おう。

別れろ、浮気しろ、浮気されろ、連帯保証人にでもなれ、訴訟されろ、延滞料金払え。

 こんなもんで、充分かな。あと十五分ぐらい。

 空本さん早く来てくれないかなぁ……。

携帯を確認するが、メールとかは来てない。

 そういえば、何かニュースとか無いかな?

ニュースのサイトを見ていたが、これといった記事もない。ラノベの新刊がいつ発売か調べておこう。

 毎月必ずといっていいほど、ラノベを買うので、出費が重なる。お年玉は大体それにしか使わない。

 ゲームとかもあるにはあるけど、そんなにプレイすることもない。新しいソフトも買わないので、その結果、漫画とラノベに金をつぎ込んでいる。

 五分前。

まぁ、そろそろ来てもおかしくないはず。

 部活を一緒にしているけど、そこまで遊んだりすることがないので、私服姿の空本さんは見るのが楽しみでもある。

 すると、そこに見覚えがある車が来た。

 車から女の子が降りてきた。

 間違いなく空本さんだ。

 少しずつ、緊張が走ってきた。今日は、必要なものを買いに来たというだけなので、気持ちがまだ楽ではあった。デートならドタキャンとかするかも。

「空本さ~ん」

一声かけておく。気付かれないかもしれないから。

 俺の声に気付いたのか、空本さんが小走りで駆け寄ってくる。

俺が一番気になったのは、髪型だった。

ポニーテールにしてるのが、すごい可愛かった。

空本さんの印象は、美しい女の子って感じだったのだが、今日の空本さんは、可愛い女の子だった。

「水本君、今日はよろしくね。それと『さん』付け禁止だからね」

それぐらい、いいんじゃないですか?

「はい、今日はよろしくお願いします」

「敬語もね」

「はいはい」

「『はい』は、一回だよ」

 定番のラリーが終わったところで、

「それで、昼ごはんはどこに行く?」

「いつも、水本君が行ってるところに行きたいな」

「ファミレスぐらいしか行かないけど」

「それじゃあ、ファミレス行こうよ」

「分かった」

 今は、休日の昼の一時。

 ファミレスも結構、混んでいることが多いので、待つかもしれないということを伝えて、向かう。

 待ち合わせ場所から一番近くのファミレスに、入ってみた。予想通り席はかなり混んでいて、喫煙席なら空いていると言われたが、空本さんのために、禁煙席が空くまで待つことにした。

そして、禁煙席が空いたらしいので、案内されて、向かい合って座る。

 ここまで、会話という会話はしていない。

共通の話題って何だろう? やっぱり、部活かな?

恋愛相談の件も、もう少し話し合いたいし、でも、タイミングが上手く掴めないからなぁ。

 とりあえず、メニューを見て決める。

「空本さんは、決まった?」

「ごめんね、少し悩んでて、まだ決めてない」

「急かしてゴメン。ゆっくり決めていいから」

 携帯をサイレントマナーにしておく。

「決まったよ」

「ドリンクバーは注文する?」

「うん」

 ピーンポーン。

「ご注文をどうぞ」

 俺は、チーズインハンバーグとライススープセットを、空本さんは和風スパゲッティを、そして、二人分のドリンクバー頼んだ。

ドリンクバーで飲み物を入れて、テーブルに置き、スープも入れて持ってくる。

「でも、ファミレスって久しぶりかも」

「前に来たのいつぐらいなの?」

「二、三年前ぐらいかな」

お嬢様ってファミレスに年単位でしか来ないんだ。

俺は、最後に行ったの多分、村上君とだな。

 その前は、中三の受験勉強のときに、家で勉強をするというやる気がしないときは、ファミレスまで行って勉強してたなぁ。ドリンクバーだけで、夜中の間ずっと、一人孤独に過ごしてたなぁ。

「そのときは、誰と一緒に行ったの?」

「お母さんとだよ」

「空本って、兄弟とか姉妹とかいるの?」

「ううん。一人っ子だよ」

「そうなんだ」

「水本君は、誰かいるの?」

「中二の妹が一人いるけど」

「ふぅーん。会ってみたいなぁ……妹さんに」

「まぁ、また、会う機会は設けるよ」

「よろしくね」


 頼んでいたものが来て、二人で食べていく。


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