解決案とか普通は浮かばない
相談者が部活に行ってから約三十分経った。
俺も空本さんも悩んでいた。
もちろん、明日のことじゃなくて、相談の方だよ。
相談者がいなくなってしまい、現状では、解決案を頭からひねり出さないといけなかった。
そもそも、一目惚れするって今時あるのかな?
空本さんもかなり美人さんなんだけど、違うとか、あり得ないでしょ。というか、空本さんより美人さんがいるなんて、めちゃくちゃ会ってみたい。
「なに考えてるの?」
「いいえ、なんにも」
こんなこと、言ったら確実に雰囲気が悪くなり、明日に影響が出てしまう。
「とりあえず、今は、解決案考えないといえないからな。どうしようかな?」
「でも、何にも考えが浮かばないんだよね」
「そうですね」
他人の恋愛事なんか、本当にどうでもいい。
「とりあえず、この先どうする?」
「この先?」
「月曜日にもう一回部室に呼ぶとか、告白のしかたを考えておくとか」
「そうだね。月曜日にもう一回呼ぼっか」
「正直なことを言うと、この相談って、こっちは、そんなにすることがないっていうか、出来ないじゃん」
「そうだね」
「俺的には、とっとと見つけてもらって、告白でもなんでも勝手にしてくれって思うんだよ。成功したら、その勢いで、校外活動とか楽しんでもらった方がいい」
「フラれたらどうするの?」
「同じクラスの人に慰めてもらって、部活にいっそう力を入れてもらいたい」
部活に高校三年間捧げる男子なんか、超モテると思うけどな、甲子園か、国立競技場か知らないけど、やっぱり努力する人は女の子が見てくれるって。
つまり、俺も今、めちゃくちゃ知らない人の恋愛相談に乗って、解決案を出そうと努力してるから、必然的に誰かが見てくれてるんじゃないかな?
周りを見渡して見れば、空本さんしかいない。
空本さんのためにも、頑張りましょう。
俺は、誰と誰が今、付き合ってるとか正直知りたくない。
芸能人じゃないんだから……誰もお前らに興味なんか持ってねぇから!!
考え続けて、更に時が経っていく。
だんだん頭が回らなくなって、悪口が出てくる。
「ねぇ、水本君って告白経験者でしょ?」
「うん……まぁ」
「経験談教えてあげればいいんじゃないのかな?」
失敗例を教えたって何にも得るものないよ。
失敗は成功のもとだろうけど、多分俺の告白は、結構、完成形に近いものだと思うんだよ。
純粋に、好きですって言ったから多分告白としては完璧ですよ。パーフェクト、エクセレントですよ。
「告白したときってどんな気持ち?」
「この質問前もされたような気が……」
「そうだっけ?」
「多分したはずだよ」
「でも、もう一回聞いてみたい」
「まぁ、覚えてないみたいだから話すわ。どうせ暇になりかけてたし」
「お願いね」
「告白したときって、今まで溜め込んでた気持ちを吐きだしたから、すごいホッとしたんだよな。言えてよかったって思ったんだよな」
「ふぅーん」
もしかして、興味ない?
やっぱり同じ話をしたと思うよ。
そして、帰る時間になってしまった。
とりあえず、各個人で考えて、月曜日の昼休みにここで、ごはんを食べながら言い合うことになった。
「それじゃあ、水本君、また明日ね」
「うん。また明日」
明日は、空本さんと買い物というか、買い出しというか、とりあえず遊びに行く。
「はぁ、月曜日にアイデア出すのか……」
俺は、ベッドで考え込んでいた。
一目惚れした相手に告白するということ。
しかし、相手は自分を知らないということ。
この二つが今回の相談の重要な部分である。
というか、この二つしか存在しない。
そういえば、俺はどうして真由のこと好きになったんだろう? 単純に一緒にいたかったからかな?
真由のことが大好きだった自分は今も存在する。
何年も想ってた分、そんなに忘れられない。
ただ、時が経てば忘れることもできるだろう。
そんなことより、明日の買い物だな。
お金はある程度は、持っていくとして、待ち合わせの時間が昼の一時なので、昼ごはんは一緒に食べるのだろうか? それとも家で食べてから行くのか?
どっちなんだい。聞いてみよう。
「明日、昼ごはんどうする?」
早速メールで聞いてみることにした。
「一緒に食べてから行きたいです」
返信は意外と早かった。
「了解です」
まぁ、明日恋愛相談についても少しは話せるかもしれないから、こちらとしても嬉しい限りです。
明日晴れてほしいなぁ。
天気予報は、降水確率は零パーセントなのだが、実際、降る可能性は五パーセント未満であるだけで、降るかもしれないんですよ。
てるてる坊主でも作っとこう。安心したい。
しかし、やる気がないので、すぐに断念しました。
もう寝よう。寝てリフレッシュしたい。
それでは、おやすみなさい。
明日も頑張って、動こう。




